開業者インタビュー

合同会社fluir(フルイール)

飲食

ビジネスグランプリ2018 奨励賞 ~新たなビーチタウンへの狼煙 七ヶ浜カフェレストランSEA SAW~

御社の事業の特色・強みなどについてお聞かせください。

菖蒲田浜海水浴場の目の前でログハウスのカフェレストラン「Art Cafe Bar SEA SAW(アートカフェバー シーソー)」を営んでいます。開業前のマーケティング調査で人がなかなか来ない場所であることは最初から分かっていましたが、それでも七ヶ浜のビーチには地形的な優位性がありました。

ビーチが機能するためには避難場所やインフラが必要で、七ヶ浜より下は平野になってしまうので常設でオープンさせるのは難しいはず。ですから私たちは「仙台圏で一番ビーチに近いカフェレストラン」という言い方をしています。富士山は日本一高い山と知っていても2番目に高い山はみんな覚えていないのと一緒で、「一番」という売り方ができるのは非常に強いと思っています。

全てに物語を持たせていることも強みです。魚介など地域の食材を使ったメニュー、丸森の藍染め職人さんに作ってもらっているランチョンマット、内装に使っている岩手の早池峰の杉。トイレにはおむつが替えられるスペースを大きく設け、2階にはカーペットを敷いて子どもを寝かせながら食事ができるスペースもあります。「女性や子どもが癒やされる場所にしていく」という町の未来コンセプトを店の全てに反映させています。

起業の経緯やこれまでの歩み、苦労したことなどについてお聞かせください。

2012年にJICA(国際協力機構)の有償ボランティアとして東北に入り、七ヶ浜と出合いました。ボランティアで夏祭りの音響を手伝ったとき、震災後の海でどんな音楽をかければいいのか分からず、悩んだ揚げ句にかけたのがボブ・マーリーの「One Love」。若者たちがいい表情をしているのを見て、人が楽しみ癒される空間を作るなら、自分にもできることがあると思ったのです。

その後、地域の方と100年後の七ヶ浜を考えるワークショップでまとめあげたのが、七ヶ浜を「仙台圏の週末リゾート」にするという未来コンセプトでした。そのために我々にできることは、若い人たちにまた来たいと思ってもらえるようにイメージを変えていくことではないかと思い、2013年から「セブンビーチフェスティバル」というビーチスポーツと音楽のイベントを開催し始めました。

一方で、イベントは一日の景色でしかないので、常にその未来コンセプトを感じられるような、新しい七ヶ浜町が始まっていく狼煙(のろし)になる場所として「SEA SAW」の計画も同時に進め、日本財団さんから支援を得て2016年5月にオープンさせました。

七ヶ浜に将来こういう価値ができる、ということは現場にいないと感じることができませんが、お金を持っている人や決定権を持っている人は首都圏にいますので、その価値を伝えていくのに苦労しましたね。

今後の展望や一緒に取り組みたいビジネスパートナーは?

これまではビーチのイメージを変えていくのが私の仕事でしたが、今は景色を作っていくのが仕事だと思っています。一日の景色としての「セブンビーチフェスティバル」、日常の景色を作っていくための「SEA SAW」、そして次にウエディング事業を展開していきます。写真を撮る人、映像を作る人、メークをする人、洋服を作る人、そういうクリエイターと一緒に、この自然景観を利用しながら、思い出のビーチや自然の中で安価に挙げられるウエディングを一つのパッケージにして提案できればと考えています。

もう一つは、ここで何かに挑戦したいと思う起業家が集える土壌を作っていくことです。起業家誘致の制度を町や国と連携しながら構築したいと考えており、それをコーディネートする団体として仕事ができればと思います。

今までとは価値観が変わっていくこれからの社会の中で、次に人が豊かさを感じられるライフクオリティーは何かを一緒に模索できる人と協働していきたいです。特にファイナンス系の方、マーケティング分析の専門家、そして立案ができる人が欲しいですね。

これから起業を目指す方へのメッセージをお願いします。

仕事には、ご飯を食べるためのライスワークと人生を充実させるライフワークの2つがあります。初めから全てをライフワークにすることは難しいですが、ライスワークをライフワークに変えていくことはできると思います。

以前、インターネットで「IKIGAI」(生きがい)の図というものが話題になりました。「自分の好きなこと」「得意なこと」「ニーズがあること」「お金になること」の4つの円が全て重なるところに生きがいがあると。この図に当てはめて、自分で戦略を作って仕事をしていくといいかなと思います。私も自分に足りないところをどう加えていくのか、それをいつまでにやっていくのか、そのためには何が必要かを常に考えながら挑戦しています。

開業者情報

社名
合同会社fluir
代表社員
久保田 靖朗
開業
2014年
HP
https://www.seasaw.me/
電話
022-355-9119
所在地

宮城郡七ヶ浜町菖蒲田浜長砂20-8

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