採用担当者が教える「求人票から紐解く社風」
採用コンサルタントの渡辺 徹です。
就職活動において「業種研究・職種研究」という言葉をよく耳にします。
業種研究は、世の中にあるたくさんの業界・業種を理解し視野を広げることで、自分が行きたい業種を絞り込むために行います。
職種研究は、その仕事の性質や範囲を理解し、自分の強みや経験が活かせるか、そして自分に合う仕事かどうかを判断するため行います。
ではその他に、就職活動を始めるうえで大切なことをご存じでしょうか。
それは「会社研究」です。会社の社風は業種・職種以上に、働くパフォーマンスに大きな影響を及ぼすものです。
今回は、求人票からその会社の社風をつかむコツについて一緒に学んでいきましょう。
「良い社風」とは何だろう
転職・就職を希望している方のお話しを伺っていると、みなさん口を揃えて「社風の良い会社で働きたい」と話をされます。
では、良い社風とはどういうことでしょうか?
結論から言うと、社風に「良い・悪い」はないのです。私たちの性格や価値観が一人ひとり違うように、会社も全く異なる特徴を持ちます。
社風とはその字の通り「会社に吹く風」です。
一日・一週間・一ヶ月の大部分を過ごす会社の環境が、自分に合わないものでは仕事をしていて辛くなってしまいますよね。
自分に合った会社を見つけるために、まずは自分の価値観を明確にし、それをベースとして探すことが大切です。
“どんな環境だと自分は働きやすいか”を考え、業種や職種だけに囚われず、その会社がどんな社風なのかを紐解いていきましょう。
求人票には社風が書かれている?
求人票は条件のみを確認する、という方も多いのではないでしょうか。
しかし、多くの方が就職、転職後に悩むのは条件以外の部分です。入社後のギャップを防ぐためにも、応募の段階でできるだけクリアにしておきたいですよね。
私はこれまで、就職・採用支援の現場でさまざまな会社や求人票を見てきました。そこで分かった社風を紐解くカギは、次の2つの項目です。
一つは「職場の人数」そして、もう一つが「仕事を進めるスピード感」です。これら2つを縦横の軸におくと下記の4つのパターンが生まれてきます。
あなたはどのパターンがしっくりきますか?
もちろん、すべてがこの通りではありませんが、大枠を掴むという観点では参考にしていただけると思います。
社風がわかる求人票の項目は?
では、求人票のどの部分を見ればその会社の社風が見えてくるのでしょう?
下記の項目をチェックし、気になる企業のホームページなどからも情報収集してみましょう。
創立 |
仕事を進めるスピード感に影響を与える。 ・歴史が長ければ、比較的落ち着いている。 ・歴史が浅ければ、スピーディーなことが多い。 ・歴史が長くても社内ベンチャーなどはスピード感がある場合も。 |
人数 |
職場の人数は、上記の4つのパータンで表したとおり社風の大きな軸になる。 会社全体の人数だけでなく、就業場所の人数も併せてチェックする。 |
業種 |
業界ごとに特徴があり、社風にも影響を与える。 大きく分けて8つに分類できる(業界を細分化したものが業種)。 ⑴メーカー ⑵商社 ⑶金融 ⑷小売 ⑸サービス ⑹ソフトウエア/通信 ⑺マスコミ ⑻官公庁/公社/団体 |
仕事内容 |
業務の種類や幅は、仕事のスピードに影響を与える。 内勤か外勤かによっても時間の使い方が大きく異なってくる。 (内勤)勤務先の建物内部で仕事をすること。 (外勤)営業や集金、配達や警備など社外で仕事をすること。 |
給与 |
給与額はその職種に対する「会社側の期待」である。 ・給与額が高い場合は業務負荷が大きかったり、スピードを求められることが多く、相応の責任を伴うことも多い。 ・給与額が高くない場合は定型的な作業を担当することが多い。 |
このように求人票からも様々な情報を読み取ることができるのです。
もっとも、「風」はその場に行かなければ感じることができません。
イメージを膨らませたら、実際にその会社を訪問してみましょう。そして、経営者や社員の方と触れ合う機会を積極的に作ってみてください。
もし、会社説明会を行っていなければ「見学させてほしい」と連絡するのも一つの方法です。
先にも書きましたが、社風に「良い・悪い」はありません。大切なのは、自分の価値観に合うかどうかなのです。
自分自身でリアルなものを感じとり、決断しましょう。
そうすることで、きっと納得のいく自分に合った求人がみつかるはずですよ。
おわりに
自分にあった仕事が自分ではよくわからない方、誰かに相談しながら適職について考えたい方は、ぜひキャリア・コンサルティングをご活用ください。
専門家があなたのお話を伺いながらお手伝いをいたします。