面接官がそっと教える「採用を決める瞬間とその理由」
採用コンサルタントの渡辺 徹です。
経営者や採用担当者が「その人を採用しよう」と思う瞬間はいつなのか、気になりませんか?
実はこの原稿を書いている日、私は宮城県内のある企業の面接に立ち会っていました。
そこで今回は、面接の現場で感じたことを含め、よりリアルな面接官の視点をお伝えします。
面接官はどこを見ているか
企業の採用活動とは「仕事をする仲間探し」。仲間に加えるかどうかをジャッジするのが面接官です。
一緒に仕事をする上で、その人のことを知ることはとても重要です。面接を通して、その人がどのような人なのか、一緒に働く姿がイメージできるかどうか、を面接官は見ています。
面接での注目ポイントは、経歴や仕事の能力だけではありません。応募者がどれだけ素晴らしい経歴を持っていても、話していて印象がよくなかったり、会話のキャッチボールができなかったりするようでは一緒に働きたいとは思われないでしょう。
コミュニケーションでしか採用は決まらない
就職活動では自己分析をして、自分のことをしっかり語ることが大事だといいますよね。
- これまでどのようなことをしてきたのか(過去)
- 今どのようなことを考えているのか(現在)
- 今後どういうことをしたいと思っているのか(将来)
その人の歩みや考え方を知る上でこれらは重要です。自分のことをしっかり語れるようにしましょう。
そして、もう一つ大切な要素があります。それは会話を通じて伝わる「人となり」です。気持ち良い会話ができる、素直さがある、笑顔がある…… など、一緒に働きたいと思ってもらえるかという点も忘れてはいけません。
昨日私が立ち会った面接では、その会社の経営者は相手との会話の中で採用を決めました。コミュニケーションを通して、応募者の考え方を知り、話す姿勢や雰囲気からその人の人柄を知る。その上で「仕事が任せられそうだな」「社内の雰囲気に馴染みそうだな」というイメージを膨らませているのが、隣に座っている私にも伝わってきました。
このように、自分をどう伝えるか、相手にどう伝わるか、ということが採用のポイントなのです。面接時のコミュニケーションが採否を決める、ということですね。
コミュニケーションは2つある
普段、私たちがコミュニケーションと呼ぶものには、下記の図のように2つあります。
仕事を例にあげて考えてみましょう。
自社の商品プレゼンが優れていても、相手との関係構築がうまくいっていなければ納得して購入してもらうのは難しいでしょう。反対にどれだけ相手と気持ちが通い合っているとしても、商品の魅力を具体的に伝えられないと商談はうまくいきませんよね。
面接においても全く同じことがいえます。
ご自身の経歴・実力・資格などをプレゼンテーションし相手に理解してもらうこと(中身の伝達のコミュニケーション)も、面接官と関係を構築し熱意を伝えること(気持ちの伝達のコミュニケーション)も、両方大切なのです。
「もし、どちらかを選ぶなら?」と問われたら、気持ちの伝達コミュニケーションを優先する方が良いと私は考えます。いきなり本題に入られても、相手は驚いてしまいますから。
まずは相手との信頼関係(ラポール)を築き、そこから相手に受け入れられやすい形でご自身のことを語っていけると良いのではないでしょうか。
より良い面接コミュニケーションのために
もうお気づきかと思いますが、コミュニケーションが重要視されるのは面接に限った話ではありません。
縁あって入社した職場で行う仕事においても、同じことが言えるのです。新しい環境に馴染むには、まず相手を知ることが大切です。上司・先輩・同僚を観察し理解を深め、受け入れてもらうことから始めてみましょう。
面接というと、どうしても自分を着飾らなくてはいけない、自分をよく見せなくてはいけない、と思いがちですがそうではないのです。
ここまで述べてきたように、最も大切なのは相手との関係を築くこと、そしてご自身の持ち味を表現することです。人間関係の基本であるコミュニケーションの観点から、面接にのぞんでみてください。
おわりに
自己分析をサポートしてほしい方、面接練習をご希望の方、就活や転職について誰かに相談しながら考えたい方は、ぜひキャリア・コンサルティングをご活用ください。
専門家があなたのお話を伺いながらお手伝いをいたします。