本当にあった、応募書類のNG例
就職活動は企業とのコミュニケーションです。コミュニケーションというと、面接をイメージされる方も多いのではないでしょうか。
実は応募書類の段階から、企業とのコミュニケーションは始まっています。
今回は、採用現場での体験をもとに、とかく見落とされがちな「応募書類」の作成ポイントをお伝えします。
応募書類から伝わる「印象」
就職活動におけるコミュニケーションの切り口は大きく2つ。それは「印象+中身」です。そして応募書類にもこの「印象」と「中身」の視点が必要です。
まずは印象から触れていきましょう。
基本的なことですが、応募書類とはあなた自身を表すものです。しわくちゃの服、汚れた靴で面接に行く人がいないように、書類においても「身だしなみ」を整える必要があります。
封筒、履歴書、職務経歴書、これらが汚れていたり、しわくちゃになっていたりするケースがあります。また、何重にも折り目がついた履歴書を目にしたこともあります。おそらく、別の会社で不採用になった履歴書を使い回しているのでしょう。
確かに履歴書の中身は大きく変わるものではありませんが、採用担当者は見抜いているものです。「その企業のために作る」姿勢が大切です。
また、こんなケースもありました。
到着した応募書類の封筒を確認したところ「郵送料が足りません」のシールが貼られているのです。仕方なく企業側がその送料分を支払いました。たった数円の話ですが、印象を左右する要素になったことは間違いありません。
過去にはとても丁寧な字で記載されていた履歴書を見たこともあります。ですがよく見ると、元号が「成平」と間違って記載されていたのです。丁寧な字とのギャップで、ガッカリしてしまいました。
これらの例はある意味、笑い話のようにも思えます。そんなことを気にするなんて…… と思うかもしれません。
しかし、仕事の現場とはこういった細かいところで差がついてしまうものなのです。仮に、これが事務職の応募だった場合、誤字脱字だらけの履歴書や汚れた書類を提出する人に、仕事を任せようと思うでしょうか。
採用担当者は、面接だけではなく採用活動におけるすべてのコミュニケーションを通して、応募者がどんな人なのかを判断しているということを忘れてはいけません。
大切なのは「相手=企業に合った表現をすること」
続いては中身についてです。
応募書類において多くの方が悩むのは志望動機や自己PR、そして職務経歴書の作成ではないでしょうか。
昨今、いろいろな対策の本やネットの記事もありますので、文章の作り方のヒントは簡単に手に入ります。ですが、本当に大切なことは「相手=企業に合った表現をする」ということです。
首都圏にある企業の採用担当者と地方企業の経営者の視点。これらは全く異なるものです。
以前あった話を紹介します。
地方のある企業に届いた応募書類。一見すると素晴らしい経歴が並んでいます。私は、応募者が自分のキャリアを棚卸しして、一生懸命記載したのだなという好意的な印象を持ちました。しかし、その企業の採用担当者は「自分の能力をこんなに主張することに、少し違和感を覚える」と批判的に捉えているようでした。これは、私もある意味、反省をしたエピソードです。
志望動機や自己PRの作成にセオリーはあります。しかし、伝え方によっては、自慢している、自己評価が高すぎると受け取られる場合もあるのです。これは非常に難しい話ですが、相手がどんな企業なのか、どんな人物を求めているのかを意識して文章を作るように心掛けましょう。
面接と同様に応募書類も企業とのコミュニケーションであることがお分かりいただけたでしょうか。
印象と中身、そしてこれらはお互いにつながっているものです。大切なことは「受け手に向き合う」ことです。
対面でのコミュニケーションは、いざとなればその場で取り繕うこともできますが、応募書類は一旦手を離れてしまうとコントロールできません。
採用担当者は、非常に多くの応募書類を見ています。その中で「この応募者に会ってみたい」と思わせなければ、面接にたどり着くことは難しいでしょう。
書類の向こう側にいる採用担当者のことを意識して取り組んでみてください。
そうすることで、相手にとって読みやすく、分かりやすい書類がどういうものかが見えてくるはずです。あなたの魅力が最大限に伝わる応募書類の作成をしていきましょう。
おわりに
応募書類の添削をご希望の方、就活や転職について誰かに相談しながら考えたい方は、ぜひキャリア・コンサルティングをご活用ください。
専門家があなたのお話を伺いながら、お手伝いいたします。