仙台ラーメン男子「だし廊」原田佳和さん

カラフルな暖簾が揺らめく、おしゃれな外観。2017年9月に南町通りに移転オープンした「だし廊」は、その名の通り、「だし」にこだわったラーメン店。
「自分が楽しいと思える仕事をしよう」とサラリーマン生活に終止符を打ち、2016年に開業を果たしたオーナーの原田佳和さんをご紹介します。

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カラフルな暖簾が目を引く「だし廊」

―「だし廊」開店までの経緯を教えてください。

大学を出た後、ITコンサルタントをしたり、医療系のMR(メディカル・レプリゼンタティブ)をしていたんです。もともと、いずれは自分で何か始めたいという思いがあったのと、大学生のときにやっていたラーメン店のバイトが楽しかったんですよね。それで「自分が楽しいことを仕事にしよう」と、ラーメン店を始めることにしました。その時は、ちょうど実家がある広島に赴任していたので、会社を辞めて広島のラーメン店で2年ほど働かせてもらって。自分のお店を出す1年前くらいにだしソムリエの資格を取得しました。

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だしソムリエの資格を持つ「だし廊」店主 原田佳和さん

―なぜ仙台だったのでしょうか?

大学の4年間を仙台で過ごしたことと、妻がこちらの出身だったからです。土地勘もあるし、ちょうど妻が出産のタイミングだったので、仙台でお店を出すことにしました。

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だしの旨みが引き立つよう、食材や調味料も厳選している

―さまざまな種類の「だし」でスープをつくっていらっしゃるんですね。

商品開発していくうちに3種類あったらおもしろいと思って、飛魚だし、貝だし、鶏だしのラーメンをつくりました。今は、根菜だし、海老だしを加えた基本5種類があります。素材のおいしさを最大限に引き出して、だしを取っています。

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だし廊のオススメメニュー「飛魚だし醤油そば」

―麺も自家製麺だと伺いました。

平麺、中細麺、夜に使う全粒粉の中太ちぢれ麺の3種類を使っています。ここにしかないものをつくりたいなと思ったら、必然的に自家製麺になりました。やっぱり自家製麺の方がおいしいですよね。毎日、製麺のスタッフがお店で打っています。小麦は、いろいろ試してみて、だしに合うものを選んで使っています。僕は大学が理系出身なので、理系的に考えてこの組み合わせがいいかなと。

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ラーメンをつくる様子を見ることができるカウンター席のほか、テーブル席も

―実際にお店を開店されてから1年以上が経過しましたが、ここまでの感想は?

予想以上に楽しくやらせてもらっているなと思います。僕は本当に人との出会いに恵まれました。今いるメンバーは、前の店から一緒に働いていた仲間であったり、募集をかけて応募してきてくれた人たち。「楽しくなきゃ仕事じゃない」と思っているので、みんなが楽しく仕事ができるようにしたいなと思っています。

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チームワーク抜群の「だし廊」スタッフの皆さん

―お店のシンボルもユニークですね。

大きな丸がどんぶりで、白いのは「だしのしずく」なんです。そのだしのしずくが集まって黄金の花が咲いている様子を表しているんです。よく「家紋ですか?」って聞かれるんですけど、そんな意味が込められています(笑)。

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「ご来店、お待ちしております!」

だし廊-DASHIRO-

│本店│
住所:〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町2丁目2
営業時間:11:00~15:00、17:00-~21:00(L.O15分前)
※スープがなくなり次第終了
休廊日:不定休
TEL:022-204-4890
URL:https://www.dashiro.com/

だし廊ロゴ

麺好きの方におススメ

1月の東北地元ごはん
「仙台恵方巻」

171218暮らす仙台
171218暮らす仙台

小さい頃に「恵方巻」なんて聞いたこともなかったし、スーパーマーケットの戦略に踊らされているだけだよね!…なんて友達と話していても、「縁起もの」と言われると、ついついのってしまいます。

調べてみると、関西地方で続けられてきた風習で、東北でも最近行うようになったそうです。
せっかくなので、仙台ならではの食材を集めて「仙台特産恵方巻」をつくってみました。

171218暮らす仙台

市販の太巻によく入っている「でんぶ」の甘さをイメージして、甘辛い「しそ巻」を入れてみました。
ホヤが意外にやさしくおだやかに感じます。
人参は干し椎茸と醤油で煮てください。
ちぢみほうれん草は茹でて絞り、醤油をちょこっとたらしておくと、丸かぶりしても味がしっかり感じられます。

ぜひ、「仙台恵方巻」をお試しください!

10月東北地元ごはんライン

東北地元ごはん恵方巻き06

東北地元ごはん恵方巻き07

料理教室「紫山のごはん会」主宰
フードクリエイター 佐藤千夏

2002年より創作料理の教室を自宅で開催、素材を活かしたシンプルなレシピとセンスあるテーブルコーディネートが話題に。ほかに商品開発やセミナー講師、料理写真スタイリングなどで活躍中。
HP http://www.mgohankai.info

佐藤 千夏

撮影・デザイン/Pontic 渡邉樹恵子

女性らしさ、主婦的感覚を活かしたデザインを心がけています。 商品開発、パッケージ、撮影、販促ツール等、ワンストップで承ります。
MAIL:kie_pontic@me.com

樹恵子さんロゴ

後編|マッチ箱マガジンで巡る仙台さんぽ(全3回)

マッチ箱仙台時間イラスト

最後に向かったのは仙台でさまざまな文化を生み出してきた「rock cafe PETERPAN」。このお店の歴史とこれからについて、ジュンコさんが長崎由幹さんに聞いてみました。

|rock cafe PETERPAN

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音楽好きのみならず、コーヒー好きにも愛されているカフェ。
「居心地のよさがいい」とジュンコさん。

ジュンコ:お店は45年を迎えたんですよね。
長崎さん:はい、そうです。このお店は両親が20歳くらいの頃にオープンしているんです。
ジュンコ:ずいぶん若い頃から始められているんですね!
長崎さん:むしろ若いノリで始めたんだと思いますよ。その当時からは時代に合わせてゆっくり変化し続けていると思います。あ…、でも変わっていない部分もあるのかもしれません。

|大きな音に包まれながら、居心地のよい時間を過ごす

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ハシゴ酒の最後には、ジントニックをチョイス

ジュンコ:音楽を聴きながらコーヒーやお酒が楽しめるスタイルは変わらないんですか?
長崎さん:昔はもっと音楽をじっくり聴いていたみたいですね。今みたいに音楽を聴くことが手軽ではなかったので、一生懸命音楽を聴きに来るというか。もちろん今も音楽が中心にありますが、お客さんも多様化していて純粋にカフェとして楽しまれる方もたくさんいらっしゃいますね。

|好きな音楽に包まれる贅沢

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店名が刻まれた椅子。
深い飴色に、積み重なった長い歴史が滲み出ているよう。

ジュンコ:1グループで1回、好きな音楽のリクエストに応えてくれるんですよね? そのルールはどうやって決まったんですか?
長崎さん:いろいろなお客さんが来るので、それに合わせているとほかのお客さんが取り残されてしまう。僕らとしてはすべてのお客さんにハマるような展開をつくりたいと思っていることもあって、1グループ1回だけのリクエストを受け付けることにしたんです。
ジュンコ:リクエストをお願いする方は多いですか?
長崎さん:いや、あまりいないですね。3割、いや、もっと少ないかな。
ジュンコ:私も以前、勇気を振り絞ってリクエストをお願いしたことがあります(笑)。
長崎さん:そうそう、みんなやっぱり言い出しづらいみたいですね(笑)。昔は1グループ1回なので、友達同士が1人ずつお店に入ってきて、それぞれが好みの音楽をかけてもらう、なんてこともあったみたいですよ。
ジュンコ:ここでレコードをかけてもらうこと自体が、特別なことだったんでしょうね。

|数万枚のレコードにも歴史が積み重なる

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壁一面に並べられたレコードの数々。
さまざまなジャンルの音楽に触れられる貴重な場所だ。

ジュンコ:レコードは何枚くらいあるんですか?
長崎さん:諸説ありまして、大雑把に言ってたぶん2~30,000枚くらいですかね。
ジュンコ:今どこに何が置かれているか把握するだけでも大変そうですね…。
長崎さん:そうなんですよ。忙しくなるとレコードを別のスリーブに入れてしまって、好きなレコードほどなくしちゃったりもして…。お客さんのリクエストがない時は、世代や服装、雰囲気などあらゆる情報を加味して選曲しているんですが、喜んでもらえると嬉しいですね。ジュンコさんなら…、きっとどんな曲でも聴き込んでくれるでしょうね。

|これからのPETERPAN

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1972年から1995年まで発行していたというフリーペーパー。
デザインやレイアウトは長崎さんの父・正稔さんが手がけた。

長崎さん:そうそう、昔このお店でフリーペーパーを出していたんですよ。音楽レビューが書いてあるんですけど、音楽評論家じゃない人たちのレビューがこれだけ残っているって相当貴重だと思うんです。製本できたらなあと思っています。
ジュンコ:これは宝ですね! いつか本にまとまるといいなあ。

|いろいろな活動の場になれたら

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フリーペーパーに見入る長崎さんとジュンコさん。

長崎さん:この当時に「ZINE」って言葉があったのかどうかはわからないけど、このときすでにこんなメディアをつくって発信していたことがすごいですよね。このお店がもう一度何か仕掛けるとしたら、こういう方向性かなとは思っています。今の空気を維持しつつも、もっと、いろんな活動の場になればいいかな。本腰が入るタイミングを待ちたいですね。
ジュンコ:またいろいろな人が交差するお店になりそうですね。その時を待っています!

rock cafe PETERPAN

  • 仙台の音楽&カフェ文化を築いたロックカフェ。音楽に耳を傾けながら特別な時間を過ごせる。カクテルからウィスキーまで揃う種類豊富なアルコールのほか、自家製のケーキも人気。
  • 住所:仙台市青葉区国分町2-6-1
  • 営業時間:15:00~22:00(金・土曜は~24:00)
  • 定休日:月曜
  • 電話番号:022-264-1742
  • URL: http://peterpan-rock.com

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イラストレーター 佐藤ジュンコ

福島県出身、仙台市在住。書店勤務時代に不定期発行されたフリーペーパー「月
刊佐藤純子」が評判を呼びイラストレーターの道へ。マッチ箱マガジンでは「松
島」「白石」「仙台時間(21 時~24 時)」を担当。著書に「月刊佐藤純子」(2015年)、「佐藤ジュンコのひとり飯な日々(コーヒーと一冊)」(2015
年)、「仕事場のちょっと奥までよろしいですか?」(2017 年)など。

佐藤ジュンコさん_PROFILE

フリーライター 及川 恵子

1982年気仙沼生まれ。石巻育ち、仙台在住。大学で建築を学んだのち、出版社勤務を経てフリーライターへ。グルメ取材、インタビュー、レビュー、レポート、なんでもお任せあれ。知ること、書くこと、人に会うことが好きです。それと、音楽と旅と猫も好き。
mail:keikooikawa[at]me.com

及川プロフィール

中編|マッチ箱マガジンで巡る仙台さんぽ(全3回)

マッチ箱仙台時間イラスト

「鳥平」でおいしい焼き鳥を楽しんだあとは、こちらもジュンコさんの行きつけである「菅原酒店」へ。122年もの歴史がある酒屋では、店主の前田尚養さんとのおしゃべりと、お酒が大好きな老若男女が訪れるのでした。

|菅原酒店

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お酒好きの仙台市民でこのお店を知らない人はいないはず!

ジュンコ:このお店に来るお客さんは、みんなおしゃべりが好きですよね。
前田さん:やっぱり僕との会話が楽しいんでしょうねえ(笑)。お客さんは僕たちのしょうもない話を聞いてくれるし、まあ僕も「しょうもないなあ」と思いながらみんなの話を聞くことも多いよ? ま、お互いにね(笑)。

|ここは会話が楽しい場所

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気さくな人柄の前田さん。
テンポのよい会話のなかで笑い声が絶えない。

ジュンコ:お客さんどうしはお店に来ているうちに、自然と顔を覚えちゃうみたいですね。
前田さん:なんかね、常連どうしが友達になっちゃうのよ。ここで知り合って結婚したカップルもいるよ。
ジュンコ:私はこのお店のつながりでお仕事の依頼が来たこともありますからね。そういうつながりがあるのもうれしいところです。

|私はいつも、琥珀エビス!

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私はいつも、お腹が「ちゃぽんちゃぽん」になるまで飲んじゃいます。

ジュンコ:このお店には週に1度は来ているかな。おいしい日本酒がたくさん揃っているけど、私はひたすら「琥珀エビス」を飲んでいます。隣になったお客さんとお話するのも楽しくて、「私たちもう1軒行きますけど、一緒にどうですか?」なんて声を掛けることもありますよ。

|このお店とジュンコさんの絵は似ているんです

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前田さんがリーダーを務めるインストバンド「Zndada ORCHESTRA(ズンダダ オーケストラ)」。ジュンコさんがフライヤーを手がけたことも多数。

ジュンコ:前田さんとはもう3年くらいのお付き合いになりますかね。友人と一緒にこのお店に来たとき、前田さんのバンドが今ちょうどライブをやっているよって教えてもらって。それを見に行ったのが初対面だったのかな? 何度かライブを見に行っているうちに、フライヤーを描かせてもらうようにもなりました。
前田さん:僕らがやっているバンドと、ジュンコさんの絵って共通点があるような気がしているんです。ユニークでピースフル。このお店の常連がジュンコさんの個展に行ったりすることがよくあるけど、やっぱりそういうつながりがあるからなんじゃないかな。

|米の甘みが楽しめる「甘旨SAKE」がコンセプト

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地酒をはじめ、全国各地から厳選した日本酒が揃う。
3種の飲み比べセットもある。

前田さん:このお店には甘口の日本酒を置いています。すっきりしたお酒だと、何か料理を食べたくなりません? うちにはフードを置いていないから、甘い酒を揃えていて、ほぼ毎日ラインナップが替わりますね。
ジュンコ:お酒の味を楽しみつつ、かわいいグラスで飲めるのもいいですね!

|これからも老舗酒屋ならではの役割を担っていく

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お客とスタッフのテンポのいい会話は隣で聞いているだけでも楽しい。

前田さん:お店自体は今年で122年目。日本酒スタンディングバーとしてのスタイルになってからは7年目になりました。この時代でも、古くからの酒屋の役割ってあると思うんですよ。「ちょっと荷物置かせて」とか、「薬飲むから水ちょうだい」とかね。そういうのを受け入れるのもこのお店の役割なのかもしれないなと思っています。
ジュンコ:これからも変わらずに楽しいお店のスタイルを続けてほしいです!

菅原酒店

  • 創業明治28年。仙台の中心部で街の変化を見守り続けている老舗酒屋。店内には日本酒スタンディングバーのスペースがあるほか、珍しい種類のタバコや宝くじを販売している。
  • 住所:仙台市青葉区一番町4-3-1 菅原酒店ビル1F
  • 営業時間:9:00〜21:00(金曜、祝前日は〜23:00)
  • 定休日:無休
  • 電話番号:022-222-6381
  • URL:https://twitter.com/maedanaokiyo

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イラストレーター 佐藤ジュンコ

福島県出身、仙台市在住。書店勤務時代に不定期発行されたフリーペーパー「月
刊佐藤純子」が評判を呼びイラストレーターの道へ。マッチ箱マガジンでは「松
島」「白石」「仙台時間(21 時~24 時)」を担当。著書に「月刊佐藤純子」(2015年)、「佐藤ジュンコのひとり飯な日々(コーヒーと一冊)」(2015
年)、「仕事場のちょっと奥までよろしいですか?」(2017 年)など。

佐藤ジュンコさん_PROFILE

フリーライター 及川 恵子

1982年気仙沼生まれ。石巻育ち、仙台在住。大学で建築を学んだのち、出版社勤務を経てフリーライターへ。グルメ取材、インタビュー、レビュー、レポート、なんでもお任せあれ。知ること、書くこと、人に会うことが好きです。それと、音楽と旅と猫も好き。
mail:keikooikawa[at]me.com

及川プロフィール

前編|マッチ箱マガジンで巡る仙台さんぽ(全3回)

マッチ箱仙台時間イラスト

仙台にゆかりのあるイラストレーターたちがつくり上げたマッチ箱マガジン。それは、マッチ箱に入った小さなガイドブック。今回は佐藤ジュンコさんが手がけた「仙台時間(21時~24時)」を片手に、おいしいお酒が楽しめるお店を巡りながら夜の仙台を散歩します。

|鳥平

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「このお店はおだやかに楽しんで帰れるお店。ご年配の常連さんが多く、仲良くなれると嬉しい」とジュンコさん。

まずは、昭和の香りが残る焼き鳥店「鳥平(とりへい)」へ。ジュンコさんが足繁く通うこの店は、店主の十倍(とべ)渉さんをはじめ、スタッフのみなさんが家族のようにあたたかく出迎えてくれます。

|ジュンコさんが惚れ込んだ手料理の数々

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ジュンコさんの定番はサバ味噌、卵焼き、ポテトサラダ。
思わず目移りしてしまうメニューがずらり。

ジュンコ:最初にこのお店に来たのは、まだ書店で働いていた頃。焼き鳥はもちろん、卵焼きやおひたし、サバ味噌とか、家庭的な手料理が大好きです。このお店は、居酒屋と家のちょうどいい中間な感じがするんです。今ではもう、「私のホーム」ですね。あ、ビールをひとつお願いします!

|最初は謎の人物でしたね

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店主の十倍 渉さん。

雑貨のデザイナーという一面も持っている。

十倍さん:ジュンコさんがお店に来たばかりの頃、イラストレーターだってことを知らなかったんです。時々お店でノートに絵を描いているのを見かけては、「何してる人なのかなあ」って思っていたくらい。それくらい「謎の人物」でした(笑)。
ジュンコ:そういえば絵を描いているときに、「漫画家なの?」って話しかけられたこともありましたね。それがきっかけでおしゃべりをするようになって、いろんなところでお店を紹介させてもらうようになりました。

|絶品のナンコツはここだけの味わい

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「ナンコツ」(1本200円)。1日10本限定なので、確実に食べたいなら開店後すぐの来店がおすすめ。

ジュンコ:さっそく焼き鳥をいただきましょう! カリッと焼かれた「皮」も好きだけど、「ナンコツ」もおいしいですよね。どちらもこのお店でしか食べられない味と食感なんです。
十倍さん:そうそう。うちのナンコツはほかにはない食感だと思いますよ。豚1頭から2つしか取れない希少な部位を使って、仕込みに2時間かけていますからね。だから1日10本限定なんです。
ジュンコ:え! そんなに貴重だって知らないで、「わー、不思議な食感だー!」なんて思いながらたくさん食べていました。今まで食べたナンコツに詫びたくなります…(笑)。

|「じゅんこちゃん」の名でボトルキープ

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ボトルにイラストを描くジュンコさん。
焼酎のボトルが一気にポップな雰囲気に!

ジュンコ:いつもここで注文するお酒は瓶ビールか日本酒。焼酎のときはポットごとお借りして、お湯割りにして飲んでいます。友達と一緒に来ると、すぐになくなっちゃう(笑)。みんなでお湯を注ぎながら、楽しく飲むのが好きです。

|変わらないこと。そして変わっていくこと。

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「大豆ハムカツ」(540円)。大豆で作られていながら、歯ごたえや味わいはハムそのもの。

十倍さん:このお店は今年で38年目。焼き鳥のタレも38年継ぎ足して使っています。もしかすると、それを知らないで食べている人も多いかもしれないですね。
ジュンコ:秘伝のタレだから、あんなにおいしいんでしょうね。そういえば今年メニューを新しくしましたよね? まだ食べたことのないメニューがいっぱいあるなあ。
十倍さん:そうそう。(2017年)4月にメニューをリニューアルして、ベジタリアンの方や食事制限をしている方でも安心して食べられるヴィーガンメニューも加わったんです。あ、ジュンコちゃんはまだ「大豆ハムカツ」はまだ食べたことなかったよね? ぜひ食べてみてよ!
ジュンコ:これは大豆だって言われないとわからないくらいハムの食感そのものですね! おいしいなぁ。

|ジュンコさんの名店をファンも巡る!?

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「引越し先をこのお店の徒歩圏内で探したこともあるんです!」と語るほど、「鳥平愛」にあふれるジュンコさん。

十倍さん:そうそう! 今年の夏にジュンコちゃんのファンだっていう方がお店に来てくれたんですよ。3人でいらっしゃって、カウンターで飲んでいったけど、ジュンコちゃんが紹介しているお店を全部まわっているみたいだよ。
ジュンコ:え、うれしい! でも私の行きつけのお店に全部行っていたら、いつまでもキリがないかもしれないなあ(笑)。

鳥平

  • 昔懐かしい雰囲気のなか、多彩なアテとお酒を楽しめる一軒。県庁裏の立地ゆえ、サラリーマンを中心に愛され続けている。手間ひまかけた料理はもちろん、ヴィーガンメニューも好評。
  • 住所:仙台市青葉区上杉1-4-32
  • 営業時間:17:00~22:00
  • 定休日:土・日曜、祝日
  • 電話番号:022-265-9780

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イラストレーター 佐藤ジュンコ

福島県出身、仙台市在住。書店勤務時代に不定期発行されたフリーペーパー「月
刊佐藤純子」が評判を呼びイラストレーターの道へ。マッチ箱マガジンでは「松
島」「白石」「仙台時間(21 時~24 時)」を担当。著書に「月刊佐藤純子」(2015年)、「佐藤ジュンコのひとり飯な日々(コーヒーと一冊)」(2015
年)、「仕事場のちょっと奥までよろしいですか?」(2017 年)など。

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フリーライター 及川 恵子

1982年気仙沼生まれ。石巻育ち、仙台在住。大学で建築を学んだのち、出版社勤務を経てフリーライターへ。グルメ取材、インタビュー、レビュー、レポート、なんでもお任せあれ。知ること、書くこと、人に会うことが好きです。それと、音楽と旅と猫も好き。
mail:keikooikawa[at]me.com

及川プロフィール