服部コーヒーフーズ株式会社
「仙臺杜の香り本舗 塩珈琲豆大福」

服部コーヒーフーズ株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。

第3回 「仙臺杜の香り本舗 塩珈琲豆大福」入賞

昭和30年(1955)、自宅の一部を改装して自家焙煎コーヒー豆を販売したことから始まる服部コーヒーフーズ株式会社。現在は、東日本地区全域の飲食店にコーヒーやチーズ、さらには調味料までも販売する、仙台を代表する食品卸会社です。

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そんな服部コーヒーフーズが、2015年に立ち上げた新ブランドが「仙臺杜の香り本舗」。コーヒーに合うスイーツを提供しようとスタートしました。

同社営業部の課長で栄養士、フードコーディネーターでもある磯谷綾子さんは「弊社は、コーヒーを中心とした卸がメインの会社です。コーヒーを知っているからこそつくれるスイーツがあるのでは、とのことで2015年にスイーツブランド『仙臺杜の香り本舗』を立ち上げました。その第一弾として誕生したのが、『塩珈琲豆大福』です」と話します。

販売当初はお土産として、仙台駅のおみやげ処での限定販売でしたが、「新東北みやげコンテスト」で入賞してからは、さまざまなチャンネルでの販売を開始。
なんとJALの国内線のファーストクラスのデザートでも採用されました。

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写真:左から磯谷綾子さんと鈴木亜紀さん

その開発秘話を伺うと、同社営業部の鈴木亜紀さんは「実は、この商品は、弊社の社長のアイディアで開発が進んでいったんです」と教えてくれました。

コーヒーに合わせるスイーツというと、ケーキやクッキーなどの洋菓子をイメージする人が多いはず。そんな中、服部冬樹代表取締役社長は「コーヒーに合う和菓子があってもいいのでは」と発案。服部コーヒーフーズとして初めて小売り向けの商品開発にあたることになりました。

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「最初は飴を考えてみたり、洋菓子系も出たのですが、『和でいきたい』という社長の意思のもと『大福でいこう』、となりました。一番苦労したのは、塩と小倉餡とコーヒー味のバランス。白餡だとすぐにコーヒー味がつくので簡単なのですが、小倉餡のつぶにこだわってしまったので、味を調えるのが大変だったんです」と、磯谷さんは明かします。

あんこの中には、コーヒーと伊達の旨塩が入っていますが、なぜ塩を入れようと考えたのでしょうか。「実は、コーヒーにひとつまみ塩を入れると美味しくいただけるんです。それを大福でもやってみよう、と試してみました。実際にやってみたら、塩を入れると甘味がスッと引くので、甘いものが苦手な方でも美味しく召し上がっていただけるものになったと思います」と、鈴木さん。

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味付けに欠かせないコーヒーは、もちろん自社製品。『杜の香り』という服部コーヒーこだわりのブレンドコーヒーの微粉末を使用しています。レギュラーコーヒーの粉を入れるとざらつきが出るので、この微粉末に落ち着きました。」と、磯谷さんは教えてくれました。

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餅生地にもこだわりました。鈴木さんは、「大福に合う、柔らかいお餅を求めていて。あまり柔らかすぎても包めないですし、固くても伸びが悪くて包めないんです。さらに、餅の生地に豆が入ったことで穴が開いてしまう。そんな中でも、一緒に取り組んでいる製造元の協力もあり、餅らしい、柔らかな食感のお餅をつくっていただくことができました」と。

さらに、大福の中に入るクリームも、あんこに合う味わいで2種類をブレンド。乳脂の割合で味が変わるため、コーヒーとの相性を何よりも優先させました。

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真っ白なパッケージは、服部社長のこだわりだったといいます。「お菓子は、汚れの問題もあって、白いパッケージがないんですね。ですが『塩珈琲豆大福』は、真っ白なパッケージを塩の結晶に切り抜きして、下地に赤を敷いたんです」と、磯谷さん。

デザインを担当したのは、パッケージ資材を扱う企業のデザイナー。何案かデザインを出してもらいながら、「塩の結晶を入れられますか?」「コーヒー豆の形に切り抜きできますか?」などとのやりとりを半年ほど重ね、インパクトのあるパッケージが完成しました。「ネーミングももちろん、デザインの白と赤が目立つので『これはなんだろう』と手にしていただくことが多いのかな、と思います。デザインの力は本当に大きいと思いますね」と、鈴木さん。

販売開始から、4年目。最初はあえて「服部コーヒーフーズ」の名前を表に出さなかったのだといいます。
「食べて、パッケージを見て『あ、服部コーヒーフーズさんなんだ、だからコーヒーね』と反応をくださるお客さまも多くて」と、磯谷さんは笑います。
磯谷さんも「『塩珈琲豆大福』という名前で味の想像がつかないようで、食べると『おーっ』という反応をいただくようです。これは弊社社長の『思いがけなさ、驚きを加えたい』という思いが実現したもの。今後も、意外性や食べた感動を追及しながら新しい商品開発ができたらいいですね」と目を輝かせます。

この商品は、直営店の「エビアン エスパル店」でも、塩珈琲豆大福とサイフォンで丁寧に淹れたコーヒーとのセットで提供しています。

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さらに、新商品のリリースも決定。
その名も、伊達の旨塩とベルギー産クーベルチョコレートを使用した「COCO 小町」。香ばしく焼き上げたココナッツをコーヒーと高級チョコレートでコーティングした一品で、一口食べればクセになるスイーツです。

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これからも、服部コーヒーフーズは、自社の強みを活かしながら、消費者をあっと驚かせるような商品をつくり続けていくことでしょう。

服部コーヒーフーズ株式会社

住所:〒980-0014 仙台市青葉区本町1丁目3-21
営業時間・お問い合わせ:9:00~17:00
定休日:土・日曜日・祝日
TEL:022-214-8010
URL:http://www.hattori-cf.co.jp/index.html

杜の香り本舗ロゴ

グリーンパール納豆本舗
「ナットチーネ/ナットメン」

有限会社大永商店グリーンパール納豆本舗は、仙台市産業振興事業団が主催する、新東北みやげコンテスト受賞企業です。
第3回 「ナットチーネ/ナットメン」 入賞
第4回 「蔵政」 インバウンド特別賞

宮城県南部のまち、村田町。蔵王連峰を望み、“蔵の街”として知られるこの場所に、昭和21年(1946)から納豆づくりを行っている「グリーンパール納豆本舗」があります。

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 もともとは、薪炭業として始まった商いでしたが、「父である先代が“やってみたい”ということで、商売替えしたんです」と、大沼賢治社長。

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 最高級の北海道産大粒大豆を使用した看板商品の「グリーンパール納豆さっぽろ」をはじめとする、こだわりの品質の納豆をラインナップしているだけでなく、納豆を使ったユニークな商品開発も話題となっています。

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 その中のひとつが、2016年の「新東北みやげコンテスト」で入賞した納豆パスタ「ナットチーネ」と納豆ヌードル「ナットメン」。

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 この商品の開発を始めたきっかけは、2004年のアメリカ進出。大沼社長は、「あちらで飲食業に携わる日本の方が、お土産用に弊社の納豆を買ってくださって、それが日系スーパーのバイヤーの方にわたったんです。それで、『取引をさせてほしい』と連絡をいただきました」と話します。こだわった本物の納豆を探していたというバイヤーの話に、大沼社長は「現地の人の反応を見たいので、販売場所の前で試食販売をさせていただくことにした」のだそう。そのスーパーに来るカスタマーは、6割が日本人もしくは日系人。

「ところが、日系人以外の人たちは、試食には喜んで来るのに、口元まで持っていくと『こんなの食べ物じゃない!』と顔をしかめるんです。すごくショックでしたね」と大沼社長。

 そしてそのとき、現地で食に携わる人から「アメリカで納豆を広めるなら、アメリカ人が食べやすいような形にしたほうがいい。日本人が考えるような食べ方で納豆を持ってきても、失敗しますよ」というアドバイスをもらったそう。そうして大沼社長が「世界中のみなさんが食べる食べ方」ということで、最初に考えついたのがパスタでした。

 帰国後、納豆をパスタにしようといろいろな製麺所を当たった大沼社長ですが、「ところが、やってくれるというところがなかったんです。納豆を乾燥させて粉にして持っていくのですが、『麺の中に納豆の菌が入ると、ほかにどういう影響があるかわからない』という話でした」。

 しかしながら、大沼社長のこの挑戦は、思わぬ副産物を生み出しました。

「納豆を乾燥させて粉にする段階で、ドライ納豆ができたんです。それがすごくおいしくて。そしてそれを、大人の方がお酒のおつまみにできるようチョコ納豆にしました」。

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 しばらく暗礁に乗り上げたままの納豆パスタでしたが、震災後、ある展示会で運命的な出会いを果たします。
宮城県内で米粉麺をつくっている方と隣り合わせのブースになり、「話してみたら『やりましょう』と言ってくれたんですよ」と、大沼社長は当時を懐かしむように振り返ります。

 納豆のプロと製麺のプロ、この両者がお互いに話合いと試作を重ねること4年。ついに、納豆ヌードルが完成しました。
「きっかけはアメリカ進出をもくろんでのことでしたが、『日本でも売っていいよね』と。それで最初は細麺のヌードルをつくったんです」。

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 宮城県産の大豆を使った納豆に、宮城県産のササニシキ。このオール宮城の細麺ができた後に、太麺のパスタも完成。それが、2015年のことでした。

 そしてその翌年の2016年、ついに大沼社長は、アメリカへの再進出を果たします。それが、同年カリフォルニア州ロサンゼルスで行われた東北フードフェアでした。バイヤー向けにランク付けでは5つ星を獲得。現地でシェフを集めての試食会でも、高い評判を得ました。

「『こんなに素晴らしい麺を発明したおまえは、ノーベル賞ものだ』とか、『ナッツが入っているのか?』など、いい面での反応があって、うれしかったですよね」。

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 こうして、納豆ヌードルと納豆パスタは、ロサンゼルスで話題に。現地バイヤーからは全米展開も提案され、今後のビジネスも大きく飛躍しそうだといいます。

 商品が完成したあと、大沼社長はパッケージデザインも「プロの力を借りよう」と決意。
デザイナーさんにお願いはしたいけれど、どこにお願いしたらいいかわからなかったし、納豆に関してのフィルターがまったくない人がよかったんです。僕は納豆屋なもんで、納豆脳になっているしね(笑)」。

 大沼社長は何人かの作品を見て吟味した結果、合同会社Sky Stars.にデザインを依頼することになりました。クリエイティブチームは、大沼社長、デザイナーを含めた計5人。

「チームの方々がどういう環境でつくっているのかを見たいということで、2、3回見学にいらっしゃって。『三角経木に入っているものはないのですか』と聞かれて、『昔は全部そうだったんですよ』と言ったら『じゃあ、パッケージは三角にしましょう』と。それで三角のパッケージになったんです」。

 こうして、デザイン性の高い三角形のパッケージが完成。商品名もチームで考え、「ナットチーネ」と「ナットメン」が完成したのです。

「最初に話をしてから完成までは1年くらいかかりましたかね。でも、本当にお願いしてよかったと思っています」。

 ところがここで、思いもよらぬ反応が小売店からありました。

「デザインは気に入っていただけるのですが、置き場所に困る、と。お土産屋さんやデザイン重視のセレクトショップ向けというように取られてしまったんです。それで、またチームの力を借りて、翌年に和紙に入ったものを発売しました。和紙パッケージのものは、デパート、量販店、マクロビショップなどで販売していただけるようになったんです」。

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 この“チーム・ナットチーネ”は、、2017年にも再結成します。「大粒納豆をつくれないかと考え付いたんです。というのも、宮城県の農家の方から『大粒の大豆をつくっているのだけれど、なんとかならないか』と持ち込まれまして。全国的には小粒のほうが売れるのですが、震災のときにお世話になったみなさんに、元気な姿を見せたい。新商品PRしたい、という思いで『蔵政』をつくりました」。

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 宮城県産の粗塩を振って食べる「蔵政」のパッケージデザインもSky Stars.が担当。
「男気のあるようなものにしてほしい、とお願いしました。ネーミングは、蔵のまち村田と政宗公から一文字ずついただきました」。

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 大沼社長の思いと努力が実り、この「蔵政」は平成29年全国納豆鑑評会特別賞(京都府知事賞)を受賞。また、同年の仙台市産業振興事業団主催「新東北みやげコンテスト」でもインバウンド特別賞を受賞しました。

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 大沼社長は言います。「クリエイティブの力を借りて、商品開発をしてよかった。その道のプロの力を取り入れたチームワークによっていいものができたと確信しています。今後、商品開発を考えていらっしゃる企業さんには、絶対に勧めたいですね。私たちも、今後は必ずチームでやりたいと思います」。

有限会社大永商店 グリーンパール納豆本舗

住所:989-1305 宮城県柴田郡村田町大字村田字町98
営業時間:9:00-17:00
定休日:土曜日・日曜日
TEL:0224-83-2034 FAX:0224-83-2948

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