エントワデザイン株式会社
「仙台弁こけし手ぬぐい(いぐすぺ3色)」

エントワデザイン株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。宮城のご当地キャラクター「仙台弁こけし」のグッズや企画をプロデュースしています。

第3回「仙台弁こけし手ぬぐい(んだ)」入賞
第4回「仙台弁こけし手ぬぐい(いぐすぺ)」特別賞

 「んだ」「やっぺす」など、仙台人にはおなじみの言葉とともに、愛らしい表情を見せてくれる「仙台弁こけし」。今や仙台名物になりつつあるほどの人気を誇るこのキャラクターの作者は、宮城在住イラストレーターのジュゴさん。

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 2014年の冬に誕生したという、この「仙台弁こけし」は、LINEスタンプから始まったのだそうです。

「ちょうど、LINEスタンプが一般の人でも制作・販売できるようになったタイミングだったので、何かスタンプをつくってみたいなと考えていました。そんな中、私自身が3世代の家庭で育ち、日常の暮らしの中で仙台弁が使われている環境にいた経験が活かせないか…と考えたんです。若い人が仙台弁に触れる機会が減ってきているので、面白がってもらえるのではないかという想いがありました。こけしは、東北の田舎の家には必ずある身近で素朴な工芸品なので、こけしに仙台弁をしゃべらせたら面白そうというアイデアから『仙台弁×こけし』の組み合わせを思いつきました。また、若い女性を中心にこけしブームが起こっていた時期でもありました」とジュゴさんは話します。

 「LINEスタンプはたくさんの種類があり、何もしなければ埋もれていってしまうため、Twitterで田舎暮らしの日常や仙台弁のことを『仙台弁こけし』が毎日つぶやくようにしました。新聞記事をシェアしたり、イベントをお知らせしたり、地元の美味しいものを紹介したりと、宮城・仙台に関することをいぎなし訛った仙台弁で発信しています。Twitterは双方向のコミュニケーションができるので、ファンのみなさんとの親睦を深めることもできます。今ではフォロワー数が18,000人を超える(2018年12月20日現在)アカウントとなり、その中から新たな交流も生まれました」と、エントワデザインの佐藤寛和さんは話します。

 「歌手のやなせななさんが仙台弁こけしを気に入ってくださり、ライブイベントで配る用に仙台弁こけしの缶バッジが欲しいとおっしゃってくださったんです。それで『NPO法人南相馬ファクトリー』という福祉作業所を支援している団体を紹介いただき、そこで缶バッジを製作することになりました」。

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 こうしてグッズになった「仙台弁こけし」は、マグネット、トートバッグなどこれまでに15種類ほどのアイテムとなって販売されました。日本郵便株式会社とのコラボレーション企画、「仙台弁こけし オリジナルフレーム切手セット」は今年の夏に第3弾が発売されました。

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 文字だけでは伝わらない、生の仙台弁(実際の訛りやイントネーション)を広めたい、ファンのみなさんと直接交流してみたいとの想いから、会話ができる着ぐるみをつくりました。

 河北新報社のPR大使としてCMに出演したり、ゆるキャラグランプリに出場したり、東急ハンズ仙台店で一日(いづぬづ)店長をしたりと、仙台弁をしゃべる着ぐるみは大きな存在感を放ちました。

 仙台市長選の投票啓発キャラクターに採用されたときには、地下鉄に乗って投票を呼びかける姿を新聞やニュースで取り上げていただき、大きな話題にもなりました。

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 これほどまでに愛されるキャラクターになった秘訣は何なのでしょう。

 「仙台弁にあまり馴染みがない人も、可愛らしいイラストや独特のゆるい世界観で、ほっこりできるところではないでしょうか。地元宮城を離れた方が懐かしがってグッズやLINEスタンプを使ってくださることも多いようです」と、佐藤さん。

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 LINEスタンプからスタートしたキャラクターが着ぐるみとなり、今や仙台のアイコン的存在になりつつあります。

 佐藤さんに、今後の「仙台弁こけし」の展望を聞きました。

 「これまでリリースしているLINEスタンプは、今では18弾目になりました。まだまだ手探り状態ではありますが、イラストレーターのジュゴさんと一緒に『仙台弁こけし』をより楽しんでもらうために取り組んでいます。いつかアニメーションを制作できたら面白いなと思っています。また、4コママンガ本もリリースできたら…と考えています」。と笑顔で答えてくれました。

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仙台弁こけしのプロデューサーを手がける、エントワデザイン株式会社 代表取締役 佐藤寛和さん

 これからも「仙台弁こけし」は、たくさんの人たちの心をほっこりさせてくれることでしょう。

エントワデザイン株式会社

住所:〒981-3625
    宮城県黒川郡大和町吉田字八合田24-1
TEL/FAX:022-346-0238
URL: http://entowa.jp

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撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャルのほか、広告、雑誌、ウェブなど幅広く手掛けている。

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有限会社ファーム・ソレイユ東北(お茶のあさひ園)
「kitaha」

有限会社ファーム・ソレイユ東北は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。

第4回「kitaha」入賞
第5回「東北生まれ紅茶のクッキー」入賞

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 北上川を望む高台に広がる、約1.5ヘクタールの茶畑。

ここが、北限の茶葉として知られる桃生茶の産地です。この場所は、北上川からの水蒸気が適度な湿度を与え、高地にあるために気温の寒暖差が大きい、茶葉にとってはまさに“奇跡の場所”。肉厚で、端麗な味わいの茶葉が育つのです。

 この桃生茶を、東北初の和紅茶にしたのが、石巻市に店舗を構える有限会社ファーム・ソレイユ東北(お茶のあさひ園)です。

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 まだ夏の気配を残す9月のある日、この茶畑では2018年最後の茶摘みが行われました。お茶のあさひ園店長の日野和惠さんは「宮城では、5月から9月まで茶摘みを行います。今年は急に暑くなってしまったのと、そのあとの台風などで雨が多くて…。思ったよりも収穫が少なかったんですよ」と話します。

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 実は、伊達政宗公の時代からあったという桃生茶。しかしながら、一時廃れてしまい、100年ほど前にこの茶畑を所有する「鹿島茶園」が復活させました。3代目主人で、この茶畑の管理をしている佐々木浩さんは「肥料を入れて、草を刈る。水はやらずに、自然のままに。生産できるのは、生の葉っぱで5,000キロくらいだね」と教えてくれました。

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 昭和47年(1972)創業のお茶のあさひ園で、和紅茶「kitaha」の開発が始まったのは、東日本大震災がきっかけでした。和惠さんの娘である朱夏さんは「父である社長のアイデアでした。どうしても石巻というと震災というイメージがあると思いますし、実際に私たちの店も津波の被害を受けました。そんな中で、私たち石巻の人間が元気に頑張っているということを発信したかったようです。

 でも、私たちにとってもゼロから商品をつくるなんて初めてのこと。そもそも、和紅茶ってどうやってつくったらいいのか分からないし、どこに、誰に、何を頼めばいいのかかもわからなくて。それでも『紅茶をつくりたい、つくりたい』と言っているうちに、村松二六さんとつながることができたんです」。

“日本の紅茶の第一人者”である村松氏が桃生茶の茶畑を観察した際「これは紅茶にも合う」とお墨付きをくれたのだそう。

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 というのも、先述の通り、この場所は寒暖の差が激しく北上川の恵みを受ける“奇跡の場所”。その環境は、紅茶の名産地であるスリランカにも似ているのだとか。

 そして、静岡にある村松氏の丸子紅茶で、東北初、そして東北発の和紅茶の製造が決定しました。

 そこから、あさひ園での試行錯誤が始まりました。

 茶葉を摘み、クール便で丸子紅茶に茶葉を送ると「あちらについたときには、もう茶色く変色していたり、枯れてしまっていたり。お茶の葉っぱって、摘んだ後に熱を持つので、その熱で変色してしまうんです。その後はドライアイスと一緒に送ってみたりしたんですけど…。結果、今年からは自分たちで12時間以内に静岡まで届けることにしたんですよ」と、朱夏さん。

 コストは上がり、量産は難しくなってしまいますが、それでも美味しい和紅茶をつくりたいとの思いで、石巻から静岡まで車を走らせます。

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こうしてできあがったkitahaは、ふわりとした甘味のある上品な味わい。「紅茶は封をあけるとすぐに風味が落ちるのですが、この紅茶は時間が経つほど甘くなるんです。空気に触れることで美味しさが増すのでしょうか。おすすめは、80度くらいのお湯で3分ほど蒸らして飲む方法。先日、仙台からいらした紅茶に詳しいお客様が『仙台は軟水で石巻は硬水なので、石巻の水道水で飲んだ紅茶のほうが美味しい』とおっしゃっていました。水を変えて飲んでみるのも、面白いかもしれませんね」と、和惠さんは笑います。

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 ロゴやパッケージデザインは、仙台市産業振興事業団の支援を活用し、石巻在住のデザイナー渡邉樹恵子さんに依頼。茶畑から望む北上川の風景を見事にデザインに落とし込みました。

「先ほども申し上げた通り、ゼロから商品をつくるのは初めて。どうやってターゲットを決めるか、値段はどうやってつけるのかなどの基礎知識から教えていただきました。デザインについても、主人は『我々の持っていない知識をお持ちの人たちだから、すべておまかせしよう』と話していました。そうしたら、期待以上のものができあがってきて…。感動でした」と話すのは、和惠さん。

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 kitahaは、その後も引き続き、仙台市産業振興事業団の支援を受け、和紅茶を使ったスイーツ(*)「東北生まれ紅茶のクッキー」も開発。フードコーディネーターの佐藤千佳さんの協力を得てできあがったレシピを石巻市内の就労支援施設「パーラー山と田んぼ」で製造しています。
(*)現在「東北生まれの紅茶のクッキー」はクッキーボール「ふわとぼうる」に変更になりました。

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 さらには、「東北生まれ和紅茶の琥珀糖」もつくりました。朱夏さんは「クッキーは“すぐに手を伸ばせるもの”としてつくったのですが、うちはやっぱりお茶屋なので。お茶席にも出せるものということで琥珀糖もつくったんです」。

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写真:静岡に向かう有限会社ファーム・ソレイユ東北の社長で日野家の大黒柱・雅晴さんを囲んでの家族ショット

 朱夏さんに今後の展望を伺うと「父は『チョコレートをつくりたい』と言っていました(笑)。私は、お菓子をつくった際に余ってしまう茶葉でストールをつくりたいな、と考えています。飲むkitaha、食べるkitahaができたので、今度は着るkitahaをつくりたい。そういうシリーズをつくっていければいいな、って」と笑顔を見せてくれました。

kitahaの詳細はコチラ

kitaha-纏-もどうぞ

有限会社ファーム・ソレイユ東北
(お茶のあさひ園)

住所:〒986-0828 宮城県石巻市旭町10-8
TEL:0225-22-2887
営業時間:10:00~17:00
定休日:日曜日・祝日
URL:https://ocha-asahien.co.jp/

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