加藤嘉八郎酒造株式会社
「山形カクテルふるふるラ・フランス」

加藤嘉八郎酒造株式会社は仙台市産業振興事業団が主催する、新東北みやげコンテスト受賞企業です。

第5回「山形カクテルふるふるラ・フランス」アイディア特別賞受賞

 山形県鶴岡市。米どころであるこの土地で、明治5年(1872)創業の老舗の酒造があります。それが「大山」の名で親しまれている加藤嘉八郎酒造株式会社です。加藤清正の流れを汲む由緒正しきこの酒造は、鳥海山・出羽三山の伏流水と最上川の清流の恵みを受けた銘酒の数々を生み出してきました。

加藤嘉八郎酒造様①

写真:「大山」の愛称で親しまれている加藤嘉八郎酒造

 日本酒好きの間では、どちらかというと、硬派なお酒のイメージを持たれる加藤嘉八郎酒造で、日本酒以外で初めて開発に踏み切った商品が「山形カクテルふるふる」です。その誕生秘話を醸造担当の加藤嘉隆さんに伺うと、「きっかけは『山形カクテルミーティング』でした。これは『ゴッツォ山形』の佐藤智也氏と映画『よみがえりのレシピ』監督の渡辺智史氏が立ち上げ、3年連続で県のやまがた若者チャレンジ応援事業に採択された団体。山形の農家さんが後継者不足などの様々な問題により、果樹畑を伐採し、果物を廃棄しなければならない状況に追い込まれることもある中で、“単なるドリンクパーティではなく、生産者のお話を聞き、バーテンダーのオリジナルカクテルを楽しみながら、山形の果物の新たな可能性を皆さんと一緒に創りあげていこう”というものなんです」と、教えてくれました。

加藤嘉八郎酒造様②

写真:醸造担当の加藤さん。実年齢よりも10歳以上は若く見える外見の秘訣を聞くと、「毎日の晩酌でしょうか(笑)」とのこと

 もともと加藤嘉八郎酒造は山形カクテルミーティングのメンバーではありませんでしたが、「カクテルを作るときに、地の酒ということで大山のSAKEカクテルのベース用日本酒の『MOTOZAKE(基酒)』純米を使ってもらっていたんです。応援事業が終了した後、『山形カクテルミーティングの情報発信にも有効な商品を作ったらいいのでは』という話が持ち上がったそうなんです。そのときに、地元の山形地酒卸問屋の『株式会社武田庄二商店』さんを通じて、お話をいただいたのが商品開発のはじまりでした」。

 カクテルのベースとなる日本酒は作っていたものの、リキュールの製造免許をもっていなかったため、加藤さんは少し躊躇してしまったのだそうです。しかしながら「お話を伺ったら、とても意義のあることだと感じたので、すぐにリキュール製造の免許を申請しました(笑)。その申請から始まり、『山形カクテルミーティング』さんと『株式会社武田庄二商店』さんと弊社で共同企画し、どういった商品を作ろうかという話し合いを重ねたんです」。

加藤嘉八郎酒造様③

写真:加藤嘉八郎酒造の人気の酒。中でも高濃度仕込みの特別純米酒「十水」は、米のうま味がぐっと濃縮された銘酒。燗酒コンテストで最高金賞、ワイングラスでおいしい日本酒アワードでも2年連続最高金賞に輝きました

 日本酒ベースのカクテルでありながら、今までにない商品。なかなかハードルの高いこの課題にヒントを与えてくれたのは、「山形の石焼き屋」さんとの出会いでした。「石焼き芋、焼きとうもろこしなどを作っているお店で、工房に石焼きプレートがあるんです。そこでは、農家さんから頼まれて、果物を石焼きにしてグラニュー糖を加えるだけの石焼きジャムも作っていて。ジャムなら甘みもあるし、果肉もあるから、これをカクテルにしたら面白いんじゃないかって思ったんですよ」。
 これまでにない、という条件もクリアした石焼きジャムを使ったカクテル。しかも、ジャムとお酒を合わせたときに層になることから「カクテルシェーカーみたいにしようとか、どんどん話が広がっていきました」。

加藤嘉八郎酒造様④

写真:高品質の酒が造れる自社開発した『OS タンク』。シャフトに四本の羽がついており、衛生的かつ均一に攪拌できるので、発酵のばらつきが少ないそう。蔵人は目で見て香りを嗅ぎ、もろみを管理。蔵人が判断したのちの攪拌は装置にまかせる。「大山」のおいしい酒の秘密は、職人の技プラス最新技術にありました

 ところがここでひとつの問題が浮上します。「うちには酒の充填機があるけれど、ジャムの充填機はない。なので調べてみたら、高いんですよね。まだ形もない商品のために設備投資するのも難しくて・・・」。そこで加藤さんは、国のものづくり補助金への申請を試みます。「なんと採択されました!それで、補助金を利用してジャム充填機を購入したんです」。
 こうして生産体制も整ったところで、加藤さんはレシピの最終的な仕上げをプロに依頼することに。「東京の銀座にある世界初の日本酒カクテル専門店『SAKE HALL HIBIYA BAR』を運営され、『MOTOZAKE』の生みの親でもある名門の『日比谷Bar』さんとご縁があったことから、石焼きジャムとうちのお酒をプロのバーテンダーに送ってレシピを作っていただきました」。

加藤嘉八郎酒造様⑤

 こうして完成した「山形カクテルふるふるラ・フランス」。よく冷やしてから、シェイカーのように振って飲めば、まるでバーにいるような雰囲気を味わうことができます。このユニークなアイデアが評価され、2018年の「新東北みやげコンテスト」で特別賞に輝きました。「賞をもらってから酒屋さん、お土産屋さんからお問合せをいただいて取り扱い店が増えたんです。この春から東京のアンテナショップでも取り扱いをいただくようになったんですよ」と、加藤さんは笑顔をのぞかせます。

加藤嘉八郎酒造様⑥

 現在は、りんごフレーバーもリリースし、お客さまからの評判もとてもよいのだそう。加藤さんに今後の展望を伺うと「山形はデラウェアの産地なので、ぶどうでぜひ作りたいですね。ジャムになる果物ならなんでも試してみたいです。一度さくらんぼも作ってみたのですが、とても価格が高くなってしまうので、いずれプレミアムラインでさくらんぼも出せたらと考えています」と目を輝かせていました。

加藤嘉八郎酒造様⑦

 ところで、2019年6月18日に山形県で観測史上最大の震度6弱を観測した「山形県沖地震」。この地震によって、加藤嘉八郎酒造も大きなダメージを受けました。「東日本大震災、中越地震でも酒瓶が割れることがなかったので、大丈夫だと思って倉庫に行ったらたくさん割れて崩れていたんです。一升瓶換算で25万本分のストックがあったのですが、そのうちの4万本弱が倒れたり崩れたりしてしまいました。20人がかりで出荷庫を1週間かけて掃除して、出荷の準備に入ったタイミングで、地元の酒屋さんや県内外の卸業者さんが来てくれて。鶴岡市のほうでも市長が視察に来てくれて、ボランティアを要請してくれました。市のボランティア、有志、お取引先。みなさんのご協力を得て、8月上旬に割れたお酒の片づけが終わりました。みなさんから支えていただいて商売させていただいているんだなと本当に感謝しかありません」。

加藤嘉八郎酒造様⑧

写真:加藤嘉八郎酒造のみなさん。それぞれが、プロとしてきっちり仕事をこなします

多くの人たちの支えの中、「山形カクテルふるふる」で新たなファンを得て裾野を広げていく加藤嘉八郎酒造。加藤さんは「『ふるふる』はもちろん、まだまだ『大山』を知らない方がたくさんいるので、多くの人に知っていただいてその味を楽しんでいただけるよう、いいお酒を造り続けていきたいです」と話します。

加藤嘉八郎酒造様⑨
写真:夏は瓶のまま凍らせてシャーベットに。すっきりした味わいの大人のデザートになります

加藤嘉八郎酒造様⑩
写真:「山形カクテルふるふる ラ・フランス」を鍋にかけ、バターと塩を加えて煮詰めてフルーツソースに。メカジキなど、魚のソテーとの相性が抜群です

加藤嘉八郎酒造様⑪
写真:「山形カクテル りんご」をソースに。こちらも鍋にあけ、バターと塩を加えて煮詰めるだけ。家で作るポークソテーが、高級フレンチレストランの味になります

 この先、どんなフレーバーがラインナップされるのかとても楽しみな「山形カクテルふるふる」。日本酒好きな方やカクテル好きな方はそのままで。未成年の方は、ぜひお料理アレンジで楽しんでみてはいかがでしょうか。

商品の詳細はコチラ

加藤嘉八郎酒造株式会社

住所:〒997-1124 山形県鶴岡市大山三丁目1-38
TEL:0235-33-2008
URL:http://katokahachiro.web.fc2.com/index.html

加藤嘉八郎酒造

撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャル(初年度から現在まで。来季で15季目)のほか、雑誌媒体の取材(街ナビプレス・仙臺いろはマガジン・ウォーカー・るるぶ)、商業写真撮影、番組用写真撮影と各方面で活躍。

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・無料でご利用いただけます。

日程:
9月17日(火)より全10回で開催します

会場:
公益財団法人仙台市産業振興事業団
(仙台市青葉区中央1-3-1 AER7階)

利用料:無料

詳細:
以下のページをご覧ください。

https://siip.city.sendai.jp/n/2019/0909/01.html

有限会社玉谷製麺所
「だだちゃ豆パスタ」

有限会社玉谷製麺所は仙台市産業振興事業団が主催する、新東北みやげコンテスト受賞企業です。

こちらの商品は現在終売となっております。
第5回「だだちゃ豆パスタ」優秀賞受賞

玉谷製麺所様①

昭和24年(1949)、月山のふもとで産声をあげた「有限会社玉谷製麺所」。創業から60年、そばの栽培が盛んな山形で、そばやうどんを丁寧に作り続けています。
そんな老舗の製麺所で2018年に誕生したのが、「だだちゃ豆パスタ」です。

玉谷製麺所様②

開発を担当した玉谷貴子さんは「弊社は、製麺所としてこれまでにもいろいろなパスタを作っているのですが、この『だだちゃ豆パスタ』の前年にさくらんぼのパスタを作ったところ、地元のみなさんにすごく喜ばれたんです。だったら、山形のものを使ったほかのものを作れたらいいなって」と、開発のきっかけを話してくれました。
食材に選んだのは、庄内地方で作られている在来種のだだちゃ豆。

玉谷製麺所様③

「ただパスタを作るだけじゃなく、プラスアルファがほしいと思って。山形は米どころでもあるので、玄米を使ったパスタにしようと。それだったら、小麦アレルギーのある人も食べられる!っていう発想だったんです」と話します。

玉谷製麺所様④
写真:玉谷製麺所の工場。きわめて高い技術力は、業界内でも評判です

小麦を使ったパスタの製造はお手の物ですが、玄米を原料にするパスタは、いつもの勝手とは全く違いました。

玉谷製麺所様⑤
写真:玉谷製麺所の工場内。そばは一晩、パスタはその2倍の時間をかけて、じっくり低温乾燥させます。この丁寧な仕事こそが、玉谷製麺所の麺のおいしさの秘密

「まず、パスタの形にならないんです。形が壊れてしまったり、そもそもおいしくない。それで、山形県の加工品の研究センターに相談して、8ヶ月くらいかけて試行錯誤を重ねました」。解決のヒントをうかがうと「うーん。これって企業秘密になるのかしら・・・」と笑いながらも、「米とだだちゃ豆の粉を混ぜるときに湯捏ねしたんです。そうしたら、形も美しく、だだちゃ豆の素材力が引きだせて、すごくおいしくなったんですよ」と教えてくれました。

玉谷製麺所様⑥
写真:かわいらしい形も、玉谷製麺所のパスタの特徴です

さやと2粒の豆のかわいらしいパスタの形状も、玉谷さんのアイディアです。実は、山形在来作物案内人でもある玉谷さん。この山形在来作物案内人というのは、山形大学農学部の講座を受け、在来作物やその知識を活用する人材のこと。玉谷さんは「山形に残るだだちゃ豆も、在来作物として残していかなくてはいけないもののひとつです。今回のパスタを作るにあたっては、おいしさだけではなく形もしっかり受け継いでいきたいと思いました。なのでまずはさやの形。あとは、だだちゃ豆の最高品質である“さやの中の2粒の豆”。それでさやの形と豆2つの形になったんです」と話します。

このユニークな形を生み出す金型は、イタリア製。100kg以上の圧力をかけて生地を押し出し、だだちゃ豆パスタが成型されます。
だだちゃ豆がたっぷりなので、「パスタを茹でている最中にだだちゃ豆を茹でているような香りがするんですよ。サラダにしたり、素揚げにして召し上がっていただくのがおすすめです」と、玉谷さん。

玉谷製麺所様⑧
写真:だだちゃ豆パスタアレンジレシピ。「だだちゃ豆とエビのペペロンチーノ」。かために茹でただだちゃ豆パスタに、玉谷製麺所オリジナルの「ガーリックソース」を絡めた一品。ソースは、オンラインショップで購入できます。

玉谷製麺所でこうしたユニークなパスタが誕生したのは、東日本大震災を機に、東北芸術工科大学のプロジェクトに参加したのがきっかけでした。
「東北の元気を世界に届けたい、と生まれたのが雪の結晶パスタ。豪雪地帯であるこの地域で、『雪が食べられたらいいのにね』なんていう話から生まれたんです」。

玉谷製麺所様⑨

その後、大ヒットとなったのが「サクラパスタ」。玉谷さんは「サクラパスタは、冬場に売れるんです。どうやら縁起物、合格祈願として使っていただいているようです。そして、日本のシンボルでもある桜のパスタを作れるのは、世界中見渡しても弊社だけ。ということで、今はシンガポールや韓国、アメリカにも輸出しているんですよ」。

玉谷製麺所様⑩

写真:サクラパスタアレンジレシピ「合格サラダ」。好きな野菜に茹でたサクラパスタをトッピング。鮮やかな色合いの人参ドレッシングでいただけば、明るい春を予感できるハッピーな一皿に

鮮やかでかわいらしいピンク色は、ビーツによるもの。「添加物は使いたくないし、でも天然のものでピンク色が出せなくて困ったなぁっていうときに、農家さんから『不揃いでどうしようもないビーツを、なんとかできないか』とご相談いただいて。今では山形県産で追いつかないところまできていて、国産のビーツも使用しています。今、山形でも生産量拡大しているので、そのうち山形県産だけで賄えるようになると期待しています」と話します。

玉谷製麺所様⑪

写真:大ヒット商品となった「サクラパスタ」とニューフェイスの「だだちゃ豆パスタ」「ローズパスタ」。今後東北みやげとして多くの人たちに愛される存在になりそうです

最新の商品は、ハートの形がかわいらしい「ローズパスタ」です。そしてこの商品の誕生も、地元農家からの相談がきっかけでした。
「無農薬栽培で育てている農家さんでバラのソースを作ったりしていたのですが、なかなか販路が広がらないということで。『パスタにできない?』という相談がきて、やってみたんです。口に入れてすぐにバラの香りがする香料入りのものはありますが、このパスタはしばらくしてからふわっと薫るんですよ」。

玉谷製麺所様⑫

写真:ローズパスタをかために茹でて、バニラアイスクリームのトッピングに。ふんわりバラが香る、ちょっと贅沢なデザートに変身!

この「ローズパスタ」は村山市のバックアップも受けています。村山市が「東京2020」でブルガリアのホストタウンとなっていることから、「ブルガリアの人たちにも食べてもらおう!」という話もあるのだとか。パスタもバラも、ハートがかわいいのも世界共通ですから、きっと気に入ってもらえることでしょう。

玉谷製麺所様⑬
写真:玉谷さんおすすめの「素揚げ」にして軽く塩とブラックペッパーを振りかけます。香ばしくて、ビールのおつまみにもピッタリ!

次々とユニークなパスタを生み出す玉谷製麺所。これから先、どんな商品を生み出していくのでしょうか。玉谷さんは「東北の方々に支えられながらやってきた製麺所ですので、東北の素材を使ったパスタを考案中です。今は畑のものを使っているけれど、今度は海のもの。東北は広くて、おいしいものがたくさんあるので、考えるだけでワクワクするんですよね」と、楽しそうに話します。
「このパスタは、私たちができることがいろいろあると気づかせてくれたんです。それに、『玉谷製麺所にこんなのがあったらいいね』と夢を語ってくれるお客様が増えて。夢を託してもらえるようになったのはすごく素敵なことだと思うんです」。

東北の人たちのさまざまな想いを形にしたパスタは、これからも日本、そして世界に「おいしい!」を届けていくことでしょう。

有限会社玉谷製麺所

住所:〒990-0701 山形県西村山郡西川町睦合甲242
フリーダイヤル TEL:0120-77-5308
(受付時間 AM9:00-PM5:30)
通常ダイヤル  TEL:0237-74-2817
(受付時間 AM9:00-PM5:30)
フリーダイヤル FAX:0120-77-5506
(受付時間 24時間)
URL:https://www.tamayaseimen.co.jp/wp/

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