株式会社ケサノフウケイ
「きみだけあいす」

株式会社ケサノフウケイは、仙台市産業振興事業団が主催する
「新東北みやげコンテスト」の受賞企業です。

第7回 「きみだけあいす」優秀賞

※現在、「きみだけあいす」は販売休止中となります。

日本百名山のひとつとして多くの登山家を魅了する青森県弘前市の岩木山。その山麓に広がる嶽高原で栽培されているとうもろこしが「嶽(だけ)きみ」です。
「嶽きみ」は、ほかのとうもろこしに比べて糖度が高く、生でも食べられるほど。一度食べたら忘れられない、最高のとうもろこしブランドです。


写真:嶽高原に広がる、広大な鈴木農場

その「嶽きみ」を最初に栽培した“はじまりの農家”である「鈴木農場」で生産された「嶽きみ」だけを使用した商品を開発し、青森の新たなおみやげ、御遣い物として高い評価を得ています。


写真:「きみだけあいす」には「君だけを愛す」の意も込められているそう。大切な人への贈り物に、ぜひ

そんなケサノフウケイが、2020年に発売したのが「きみだけあいす」。商品開発のきっかけについて、ケサノフウケイの岩間憲一さんは「もともと、鈴木農場さんでもアイスを販売したことがあったのですが、やめてしまっていた。『いつかアイスもつくりたいね』と、今は亡き鈴木農場二代目の鈴木健さんとお話していたこともあって、今回つくってみることにしたんですよ」と教えてくれました。


写真:パキっとした黄金色の嶽きみ。フルーツのような甘さが特徴です

8月のお盆明けから9月の中頃までと旬の短い嶽きみ。シーズンになると、鈴木農場で収穫された嶽きみがトラックでケサノフウケイへと送られてきます。「一日おきに数百キロの嶽きみを受け取って、皮を剥いて身を削いで、加工して冷凍するんです。シーズン中に加工する量は数トンにもなって、1か月はそれにかかりっきり。貧乏暇なしですよ」と、岩間さんは笑います。


写真:濃厚な牛乳が特長のジャージー牛

嶽きみのおいしさを引き立てる牛乳は、鈴木農場と同じ岩木山麓でジャージー牛を飼育するABITANIA(アビタニア)ジャージーファームの搾りたてのものを選びました。ケサノフウケイの蒔苗左右子さんは、「アビタニアさんは、岩木山のふもとで厳選したエサを与え、牛にストレスを感じない方法で飼育している酪農家さんです。運営している安原さんは、もともと黒石市のご出身で、酪農家になるためにご夫婦で全国、そしてカナダで修行された方。とにかくおいしい牛乳で、ここ以外のものは考えられませんでした。実際に、『きみだけあいす』もアビタニアさんでつくっていただいていたんですよ」と。

家族経営のアビタニアに製造委託しているため、大量生産はなかなか難しいそうですが「今回は、オール青森で製造していて、おけがさまで多くの方に気に入っていただいて、御遣い物にしていただいているようです」と、蒔苗さん。現在、ケサノフウケイのオンラインストアのほか、青森空港の売店、アスパム(青森駅)の売店、地元黒石の松の湯交流館などでも取り扱いがあるそうです。


写真:濃厚なのに、後味スッキリ。食後のデザートやお風呂上りにおすすめです

実際に「きみだけあいす」を口に含むと、やさしいとうもろこしの甘みが広がります。濃厚なのに後味はさっぱりとしていて、夏の暑い日にもぴったり。もっと甘みがほしいという甘党の方やお子さんなら、はちみつを加えるとこっくりとした味わいを楽しむことができます。


写真:常温で少し溶かして、はちみつをトッピング。こっくりとした甘さの上質スイーツになります


写真:ウィスキーやバーボンをほんの少し加えて、大人のデザートに


写真:常温で柔らかくした「きみだけあいす」をクラッカーに乗せて。クラッカーの塩気とアイスのほんのりとした甘さがベストマッチ!

そしてケサノフウケイでは、2021年、新たな商品を発売しました。それが、津軽地方の郷土料理である「けの汁」。細かく刻んだ根菜や山菜などを味噌仕立てで煮込んだもので、初めて食べてもどこか懐かしさをおぼえる、郷愁の味に仕上がっています。


写真:真空パックになっているので、もう一品食べたいときのおかずや時間のないときの朝食にもぴったり。「こぎん刺し」を模したパッケージもキュート


写真:ケサノフウケイの岩間さん(左)と蒔苗さん(右)。2019年撮影

津軽に根を張り、「ならでは」の味をつくり続けているケサノフウケイの岩間さんと蒔苗さん。現在は、銘酒「玉垂」で知られる地元の老舗酒造の酒粕に、嶽きみの芯の煮出し汁を加えた甘酒を試作中なのだとか。

こちらもぜひ、期待して待ちたいものです。

株式会社ケサノフウケイ

住所 〒036-0377 青森県黒石市大字中町5番地
TEL 0172-88-5802
URL https://kesanofuukei.com/
ONLINE SHOP https://kesanofuukei.stores.jp/

取材/2021年6月

これまでの「銘品ものがたり」もご覧ください。

八戸酒造株式会社
「酒粕バスボム八仙美人の湯」

八戸酒造株式会は、仙台市産業振興事業団が主催する
「新東北みやげコンテスト」の受賞企業です。

第7回 「酒粕バスボム 八仙美人の湯」優秀賞


写真:安永4年(1775年)、初代の駒井庄三郎が大志を抱き、この地に酒造を興したのが始まりです。

青森県八戸市。港町として栄えるこの場所で、地元の名水を使用した酒造りを行っているのが、八戸酒造株式会社です。


写真:八戸酒造株式会社の主力商品である「八仙」。日本酒ファンの間では、いわずもがなの銘酒として知られています。

青森県産米を使用した「陸奥男山」「陸奥八仙」で知られる老舗酒造が、革新的ともいえる商品開発に取り組んで生まれたのが、酒粕バスボム「八仙美人の湯」。


写真:「酒粕バスボム 八仙美人の湯」は全部で6種類。「ナチュラル」「イランイラン」「スウィートオレンジ+シダーウッド」「ラベンダー」「ユーカリ」「ローズ+ゼラニウム」を展開しています

商品開発を担当した今川和佳子さんは「日本酒をつくっている酒造として、日本酒が苦手な方々に日本酒の文化を感じていただけるような商品が開発できないか、と考えたのが、商品開発のきっかけです。以前から、酒造見学の際に酒粕をペースト状にしたものを塗っていただく体験が好評だったこともあって、酒粕の美容効果を感じていただける商品にしました。また、八戸は港町ということもあり、銭湯文化が根付いていて、お風呂好きが多い。漁師さんはもちろん、サラリーマンの方も仕事前にひとっ風呂…という土地柄なので、バスボムであれば、美肌効果と八戸らしさが成立すると思いました。あとは、家族みんなで楽しんでほしいと思いました」。


写真:食べてよし、塗ってよし、と健康・美肌効果抜群の酒粕

商品開発にあたっては、「Made in 東北にこだわった」そう。塩は「八戸と距離的にも近い岩手県野田村の『のだ塩』を使用しています。実際に見学させていただいたのですが、本当に手間暇をかけてつくっていらして。こんな貴重な塩を贅沢に使わせていただくことができて、感謝しかありません」。さらに、体を温める効果が抜群の生姜も「生姜は暖かい地域が原産で、東北では希少なのですが、宮城県登米市の生姜をパウダーにして使用しています。生産量も時期も限りがあるのですが、どうしても妥協したくなくて」と、今川さん。


写真:古くから伝わる直煮製法でつくられた「のだ塩」

バスボムの製造については、奈良の企業に委託することに。「オーガニック、天然素材のバスボムをOEM(*)でつくってくださるところって意外と少なくて。私どもも初めての経験で、何万個もの生産ロットは厳しい中、小ロットで手づくりの会社さんを探したところ、奈良のロイドアンドカンパニーさんを見つけました。偶然なんですけれど、このロイドアンドカンパニーさんで出しているJOE’S SOAPは、バスボムをつくろうといろいろリサーチしているときに、最初に見つけて素敵だなと思ったものだったんです。創始者の杉本久実さんは、健康意識が高いニューヨークにいるときに、肌の弱い子どもさんのために手づくりの石けんをつくり始めたそうで、それが口コミで広がって会社設立に至ったそうです。JOE’S SOAPさんは、バスボムも石けんもすごくかわいくて、酒造の“男性的なイメージ”を和らげて女性的な感性を取り入れるのに、強力なパートナーとなって私たちを後押ししてくれました」。
(*)OEM= Original Equipment Manufacturingの略で、委託者ブランドで商品を製造すること


写真:OEMで生産しているバスボム。さまざまなアドバイスをもらいながら、何度も試作を繰り返したそう

また、商品の企画にあたっては、青森県庁が主催する株式会社フェリシモの商品企画アカデミーに参加。「企画から販売までは1年くらいかかりました。大きさや、原料をどうするか。何度もやり直して、心折れそうになって。でも、外部の方々からのいい意味でのプレッシャーがあったから(笑)、やり遂げることができたんだと思います」。

バスボムには、青森県の官学連携で生産を進めている美容成分「プロテオグリカン」も配合。鮭の鼻軟骨部分から抽出することに成功した青森県発の注目の美容成分で、高い保湿効果が期待されています。


写真:吉田進さんデザインのパッケージ。やわらかで美しい、それでいて八戸酒造らしいデザインになっています

また、パッケージデザインとイラストは、十和田市を拠点に活動するデザイナーの吉田進さんに依頼。「描かれている女性は『八仙』の名の由来になっている、お酒の大好きな8人の仙人のうち、唯一の女性の仙人であり、美の象徴と言われる『かせんこ』をモデルにしています。日本酒に由来したバスボムということで、日本らしさを感じる仕上げにしようと、試行錯誤を重ねて出来上がったものです。吉田さんのアドバイスやアイデアがなければ、形にならなかったと思います」。


写真:商品開発のミーティングでは、いろいろなアイデアが出つつも「やってみると意外にダメなものも多かった(笑)」そう

和風のシックなパッケージに包まれたカラフルなバスボムは、八戸酒造の商品として、徐々にその認知度を上げています。「新東北みやげコンテスト」で受賞したことで、東北で露出する機会が増えました。催事のつてがなかった私たちにとっては、大きな効果です。また、酒造にいらっしゃるお客さまも、売店で手が伸びやすくなったように見受けられます。日によっては、お酒よりもバスボムの売れ行きがいいことがあるくらい」。


写真:色鮮やかで、香りもいいバスボム。お風呂タイムが楽しくなること間違いなしです

最近では、おみくじつきのバスボムも販売など、遊び心のある商品も販売しました。「また新商品をつくりたいな、と思っています。企画案だけはたくさんあって、お家で楽しめるバスボムの手づくりキットや、酒粕のフェイスパックとか石けんとか。宝石っぽいお米感のあるものをつくりたいんですよね」。

老舗酒造の看板を背負いつつも、斬新なアイデアで商品開発に関わってきた今川さん。「八仙っていうお酒を知らなくても、女性のテンションがあがるものをつくりたい。今回、バスボムを通じて、一般女性のニーズや関心の高さを知ることができたのは、大きな収穫だったと思います。日本酒のファン層とは違うお客様の層がいるということを知ることは、お酒を売るうえでも大切ですから」。

八戸の老舗酒造の挑戦は、まだまだ続きそうです。


写真:シュワシュワと溶けていくバスボム。すぐには溶けないので、シュワシュワの感覚を長い時間楽しむことができます。また、実際にこのお湯に入って就寝すると、いつもは夜中に何度も目を覚ますショートスリーパーの筆者が、朝までぐっすり!おまけに、翌朝になってもお肌もつるっつる。

本当に感動のアイテム!

商品ページはコチラ

八戸酒造株式会社

所在地 〒031-0812 青森県八戸市湊町本町9番地
TEL 090-5781-5319
販売サイト https://mutsu8000.com/8000bijin-yu/
URL https://www.mutsu8000.com/
担当 今川和佳子

取材/2021年5月

これまでの「銘品ものがたり」もご覧ください。