世嬉の一酒造株式会社
「クラフトコーラ こはるコーラ」

世嬉の一酒造株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する
「新東北みやげコンテスト」の受賞企業です。

第7回 「クラフトコーラ こはるコーラ」お取り寄せ特別賞

今、世の中はクラフト飲料ブーム。とくに東京から火が付いた「クラフトコーラ」は、さまざまな地域でその地域性を活かしたものがつくられているほか、大手飲料メーカーも参入するなど、その市場はますます拡大していっています。


写真:大正7年(1918)創業の老舗である世嬉の一酒蔵。「世の人々が喜ぶ一番の酒造りを目指す」をモットーとしています

そんなクラフトコーラを、実は10年以上も前に世に送り出していた人たちが、岩手県にいました。それが、「世嬉(せき)の一酒造」のビール部門である「いわて蔵ビール」のみなさん。代表の佐藤航さんは「もともとのはじまりは、『地場産麦芽でビールをつくろう』というところから始まっているんです。東北農業研究センターさんと農事組合法人アグリパーク舞川さん、そして私たちで小春二条大麦という、寒冷地向け小規模醸造用の大麦を開発し、それを使用したビールをつくることに成功したんです。そんな中で、アグリパークの担当の方がお酒を飲めないということがわかって、じゃあ、ノンアルコールのものをつくろうか、となったんです」と、笑います。


写真:クラフトビールに使用する小春二条大麦をつかって、クラフトコーラを仕込みます

当時は、地サイダーがブームでしたが、佐藤さんはクラフトコーラに挑戦することに。「自然食のコーラをつくったら面白いんじゃないかと思って。実際完成したときには、自然食を取り入れている人たちから結構な引き合いがあったんです。反応は良かったのですが、ビール部門が忙しくなってしまったこともあって、コーラはお休みすることになったんですよ」。


写真:コロナの影響でビールのタンクに空きが生じ、クラフトコーラを仕込むことが可能になったそう

それから時が流れること、およそ10年。「コロナの影響で、飲食店からのビールの需要が一気に減りました。そして、夏祭りやビールイベントなども中止になったし、中国やアメリカへの輸出もなくなって、ビールの醸造タンクが空いたんです。僕らのスタンスは、『大変なときには無理をしない』ことなので、『僕らにはこはるこーらがあるから、それをつくろうじゃないか』となったんですよ。昨今のクラフトコーラブームよりはるか前につくったものだったので、再開するにあたってレシピを見直しましたが、時間があったのでじっくり取り組むことができたんですよ」。


写真:スパイスの香りがふくよかな「こはるコーラ」。体に優しい味わいです

佐藤さんがつくると決めたのは、「体にいいコーラ」。「精製した砂糖ではなく、血糖値が上がりにくい麦芽糖を使用したいと思いました。香辛料も入れて、体に優しい飲み物を…となった結果、子どもが飲みにくいコーラになってしまった(笑)。麦芽糖を使用してるので、味としては昔の冷やし飴に近く、ゴクゴク飲むという感じではないんです。どちらかというとクラフトビールに近くて、ゆっくり、会話を楽しみながら味わって飲んでほしいですね」。


写真:いろいろな料理との相性も◎! パテからつくる、ファストフードじゃないハンバーガーはいかが?

「体に優しい」が出発点の「こはるコーラ」ですが、一般のお客さまのコーラのイメージが某大手飲料メーカーのコーラの味で固定されてしまっていることから「これは、コーラじゃない!」と言われてしまうこともあるんだとか。

佐藤さんは「清涼感が足りないとか、香りが強いとか言われることもありますね。実は、コラの実(*)を入れるか迷ったんです。これを入れるといわゆる「コーラ味」になるので、お客さまのコーラの味のイメージと合致する。でも最終的に、この商品は10年20年かけて育てていきたいよね、ということで『これがいい、優しい味がほっとする』という人を増やしていきたいと思い、コーラの実は入れないことにしました。25年前にクラフトビールを最初に出した時も、『なんだ、このビールは?』という反応で受け入れられなかった。でも25年経ってみると、クラフトビールは一般的に受け入れられているし、人気もある。なにより、クラフトのいいところは、バッチ(*)ごとに味が違うんです。それは、つくりながら改善していくから。『こはるコーラ』も、ゆっくりじっくり育てていきたいですね」。

*コラの実=アフリカ原産の常緑樹・コラノキになる種子
*バッチ=1回の仕込みで出来上がるビール量の単位


写真:6種類のこけしがかわいい「こはるコーラ」のラベル。6種類コンプリートしたくなっちゃう!?

10年ぶりに再び世に出ていくこととなった「こはるコーラ」のデザインは、東北らしいこけしを模した6種類。「これまでうちの商品は酒販免許のあるところにしか卸せなかったけれど、コーラなら道の駅や高速のパーキングでも販売できます。そういう売り場を意識していることを伝えたら、味は1種類だけど顔は6種類のラベルに仕上げていただきました。銅のラベルも微妙に違うので、コレクションしてもらってもいいのかな、と思います」。


写真:バニラアイスを浮かべて、コーラフロートに。優しい甘みで、子どもから大人まで楽しめます


写真:ジンやウイスキー、ウォッカなどのハードリカーを合わせて、カクテルに。大人だけの贅沢な時間を過ごしては?

佐藤さんは、次なる展開も準備中で、「今後、クラフトコーラの種類もいくつかあってもいいかなと思っているのですが、実は今、クラフトジンジャーエールをつくっているんです。これも、麦芽糖だけでつくるもので、現在開発中です。『こはるジンジャー』も楽しみにしていてください」。

商品の詳細はコチラ

世嬉の一酒造株式会社

所在地 〒021-0885 岩手県一関市田村町5-42
TEL 0191-21-1144
URL https://www.sekinoichi.co.jp

取材/2021年6月

これまでの「銘品ものがたり」もご覧ください。

第8回
新東北みやげコンテスト
エントリー商品募集
【申込は終了しました】

Made in TOHOKU
みやげのトレンドはここから

第8回をむかえる「新東北みやげコンテスト」。
いよいよエントリー商品の募集がはじまりました。

今回も昨年同様、オンライン形式での開催となります。

一次審査を通過した商品は、審査員・バイヤーが厳選の上、各賞を決定いたします。

今年はどんな商品が集まり、東北の新しいおみやげとして
全国のひとたちの手に渡るのか楽しみですね。

\たくさんのご応募、お待ちしております!/

◆応募期限
2021年8月31日(火)

◆エントリー
必ず事業団のホームページにて応募要件などをご確認ください

◆詳細
詳細は事業団ホームページをご覧ください。

●各賞を受賞した商品は、暮らす仙台の「銘品ものがたり」「Instagram」、入賞商品は「よいもの」「Instagram」でご紹介しています。

第7回 最優秀賞商品掲載記事
株式会社武田の笹かまぼこ
「canささ 笹かまアヒージョ」

「銘品ものがたり」

一般社団法人
石巻グリーフサポート
「森のキャビア」

一般社団法人石巻グリーフサポートは、仙台市産業振興事業団が主催する
「新東北みやげコンテスト」の受賞企業です。

第7回 「森のキャビア」お取り寄せ特別賞

宮城県石巻市。のどかな田園風景が広がる郊外に、かわいらしいカフェがあります。それが、「パーラー山と田んぼ」。ここは、障がい者就労継続支援B型事業所(*)としてオープンした県北初のベーカリーカフェです。
*企業などと雇用契約を結んで就労することが難しい方が、体調などに応じて自分のペースで就労訓練や仕事ができる場所


写真:「パーラー山と田んぼ」。店内には、かわいらしいフルーツサンドやおいしそうな焼きたてのパンがずらりと並び、地元の方はもちろん、この味を求めて遠方から訪れるお客さんもいるそう

この「パーラー山と田んぼ」から生まれた話題の商品が「森のキャビア」。これは、間引きされた小さな小さなしいたけを有効活用した、アイディア商品。この商品の開発に携わった「パーラー山と田んぼ」を運営する一般社団法人グリーフサポートの木村直隆さんは「私は、『山と田んぼ』を開所する前に、社会福祉法人で相談員として働いていたことがありました。そこで運営している障がい者就労継続支援B型事業所である『ぎんの星』では、しいたけの栽培を行っているのですが、そこで利用者さんたちが間引きしたしいたけのいしづきをきれいにしているのを見たんです。捨ててしまうはずのしいたけを、きちんと食べられるようにきれいに処理していた、その仕事ぶりに感動したんです。それで、この“ちびしいたけ”をどうにかできないものかと考えるようになりました」。


写真:間引きされた「ちびしいたけ」をバルサミコ酢と醤油で調理し、オイル漬にしたのがこの「森のキャビア」

しいたけとして販売するにはあまりにも小さな「ちびしいたけ」。木村さんは「パック詰めするにしても、もう少し大きかったら出せるのに…というくらいの大きさ。どう食べたらいいのかわからないまま、消費されずに冷凍して大量にストックされていました。障がいを抱えている方々が、本来なら捨てられるものを大切に仕事しているのを知ってもらいたい。どうにか食べてもらえる商品にならないか、と。それで最初は給食の味噌汁やカレーに入れていたのですが、ここはひとつ、プロの方の力を借りて、商品として世に出そうではないか、と決心しました」。


写真:丁寧に丁寧に間引き作業、そしていしづきを取って「ちびしいたけ」をきれいにします。

木村さんが協力を仰いだのは、「kitaha」の商品開発チームであったフードクリエイターの佐藤千佳さんとデザイナーでフォトグラファーの渡邉樹恵子さんでした。「『kitaha』のあさひ園、日野雅晴社長と知り合いで、『kitaha』シリーズのクッキーや琥珀糖もうちの事業所でOEMをさせていただいているんです。それで、『ちびしいたけをどうにかしたい』って相談させていただいて、佐藤さんと渡邉さんを紹介してもらったんです」。


写真:つやつやと輝く「ちびしいたけ」は、まさにキャビアのよう

最初はピクルスから始まり、いろいろな味付けに挑戦。その中のひとつであるオイル漬のピクルスを持ち上げたときに「なんだか、すごくキャビアっぽかったんですよ。それで『ネーミングにしたら面白いんじゃないの』っていう話になって、名前が決まりました。『パッケージも、キャビアに寄せよう』ということで、いろいろなキャビアのパッケージを集めて参考にしつつ、最終的にこのようなデザインに落とし込んでいただきました。悪乗りをしまくった結果なんですけど(笑)、すごくいい商品になったと思います」と、木村さん。


写真:チーズとの相性が抜群の「森のキャビア」。チーズを乗せて焼いたバゲットにトッピングしてバジルを添えれば、ワインとも相性抜群の一品に!


写真:オムレツのトッピングにもぴったり


写真:パスタにたっぷり絡めれば、メインの一品になります

「森のキャビア」は、石巻市内の「パーラー山と田んぼ」、「石巻うまいものマルシェ」、「上品の郷」のほか、仙台の「錦町まるふく商店」で商品の取り扱いがあるほか、TSUTAYAのイベントなどで出店されることも。「新東北みやげコンテストで受賞したことで、目に止めていただくことが多くなりましたし、催事にお声がけいただくことも増えました。現在、セントラルキッチンを作っているので、完成したらもっともっとたくさんの方にお届けしたいです」。


写真:木村さん(写真左)と「パーラー山と田んぼ」のスタッフのみなさん。明るい笑顔が

そして、この「森のキャビア」が世に出ることで、「パーラー山と田んぼ」で作業にあたっている利用者さんたちにもちょっとした変化があったそう。「うちでは、利用者のみなさんにしいたけの選別とお掃除の作業、そして徐々に製造、瓶詰もしてもらっています。朝の朝礼などで、いろいろなお店に商品をおいてもらっているのを話すうち、『森のキャビア』が自分たちの商品だという思いが強くなってきているようです。仕事の取り組み方にもいい影響が出ていますし、本当にいい商品に育ってきているなと思います」。

今後は「石巻という土地柄、いろいろな海産物と組み合わせて商品開発を行っていくのも面白いのかな、と考えています」と話す木村さん。いろいろな人たちが手を携え、東北にまた新たな商品が生まれるのも、そう遠くないかもしれません。

商品ページはコチラ

一般社団法人石巻グリーフサポート

住所 〒987-1101 宮城県石巻市前谷地字小谷地80
TEL 0225-24-6190
Instagram https://www.instagram.com/yamatotambo/

取材/2021年6月

これまでの「銘品ものがたり」もご覧ください。

よいみせ│cafe えにしえ

季節の移ろいを感じる銀杏並木を望む
開放感いっぱいのカフェ



四季の表情を色濃く映し出す銀杏並木が美しい、晩翠通り。仙台市中心部である一番町や国分町からもほど近いこの通りに面した雑居ビルの2階に暖簾を構える「cafeえにしえ」。わずか10坪ながら、高い天井と大きな窓から見える銀杏の木が、広々とした印象と安らぎを与えてくれます。コロナ禍で苦戦を強いられる飲食業界において、ピンチをチャンスに変えて前進するオーナーの村山理恵子さんにお話を伺いました。


写真右、村山理恵子さん

このカフェのオープンは2018年11月。仙台の自然が楽しめる、緑が多い場所でカフェをオープンすることを考えていた村山さん。当初は郊外への出店を計画していましたが、「たまたま見せてもらった物件が、場所の割に家賃が手ごろであったこと、そしてちょうど今頃の時期で(6月)、街なかなのに緑がきれいで。私も姉も京都が大好きで、京都のお寺のような借景を連想できる場所であること、天井が高くて開放感のあるところが気に入ったんです」。

カフェのテーマの一つに「和洋折衷」を掲げていた村山さんは、和の食材を使ったお食事やスイーツを展開。特に人気なのが夏季限定のえにしえ抹茶パフェ」です。宮城が誇る県産種であるミヤギシロメの豆乳と北海道産生クリームを使用した豆乳ブランマルシェにほうじ茶寒天、京都半兵衛麩のよもぎ麩など厳選素材を贅沢に使用した極上スイーツです。「甘いものが苦手だというお客さまからもご好評をいただいています。ぜひ試してみてください」と。

コロナ禍でも、できることを-
そのアイデアがビジネスチャンスを拡げた


新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本の経済が疲弊する中、特に深刻なのが飲食店への影響。「2020年の4月、5月の緊急事態宣言の際にはお店を休業し、できることを考える時間にすることができました。

お客さまが来られないのなら、私たちが伺おうということで、お弁当の配達を始めました。もともとコロナ前からお弁当の販売をAERなどで行っていたこともあって、テイクアウトの需要にはすぐに対応することができたのは幸いだったと思います。そしてこの配達をきっかけに、この周辺の会社さまに知っていただくことができて、通常のランチはもちろん会議用のお弁当などのご用命もいただくことができました」。

2019年の冬、「会社として、カフェだけではいけない」と危機感を持ったことが弁当販売を始めるきっかけとなったそう。「私は工房を借りてお菓子販売をしたかったのですが、経費もかかる上に姉が『お弁当だ!』と強く言うもので(笑)。お菓子は、いずれ時機を見て販売していきたいです」と村山さんは意気込みます。

この春からは、TEAVERTEAFACTORY(ティーベル・ティーファクトリー*)に依頼し、オリジナルフレーバーティー「BANSUI 黒糖とキャラメル香るお茶」の販売も開始するなど、次々と新たな取り組みを始め、前に進む村山さん。

*女川町に拠点を構える、日本茶・紅茶に囚われない新しいティーメーカー

「これからもお客さまがゆっくり寛げる場所を提供していきたいです」と話す村山さんの「cafeえにしえ」で、ランチやティータイム、リモートワークを楽しんではいかが。

cafe えにしえ

所在地:〒989-0804 仙台市青葉区大町2丁目6-17HAL.BLD Ⅳ 2F
営業時間:平日 11:30-14:30(ランチメニューのみ) 土・祝 11:00-18:00
定休日:火曜日
TEL:022-797-6605
URL:https://cafe-enisie.com/