月: 2023年3月
吾妻袋
The Sea
東北わくわくマルシェ枚方T-SITE販売会レポート
新東北みやげ、関西初上陸!
去る3月23日から27日までの5日間、大阪府枚方市の商業施設枚方T-SITEにて、「東北わくわくマルシェ」が開催されました。この中のラインナップとして「新東北みやげコンテスト」受賞商品も店頭に並び、多くの人が東北の銘品を手にしていました。
写真:株式会社東北わくわくマルシェの雫石さん
このイベントの仕掛け人は、株式会社東北わくわくマルシェの雫石隆介さん。東北わくわくマルシェは、百貨店催事・企業社内販売・イベント販売を通じて、東北と関西また全国をつなぐ企業です。雫石さんは「T-SITEさんでイベントを行うのは、これが初めてです。僕は岩手県の出身で、ご縁があって関西で東北のよいものを紹介することを仕事としています。毎年、3月11日が近くなると『大変だったよね』と声をかけられることも多いのですが、今では震災復興というよりも地元東北のおいしいもの、よいものをご紹介する機会となっています。『北海道もいいけど、東北もいいよね』と思ってもらえたらうれしいです」と話してくれました。
写真:枚方T-SITEの北村さん。生粋の枚方っこなのだとか
枚方T-SITEの北村泰広さんは「東北のカテゴリーで、物産を販売するのは初めてです。私は生粋の西側の人間で、東北には地縁も血縁もありません。だからこそ、こういう『いいもの、おいしいものがあるんだ』と知る、いいきっかけをいただけたと思います。また、コロナで遠くに行けない時期が長かったこともあって、『身近な場所で遠くのものを買う』ということが一般化し、多くの人に関心をもってもらうことができていると思います」と話します。
写真:多くのマダムの関心を引いた、obicoのアップサイクル商品
入口付近に陳列されたobicoの帯をアップサイクルしたバッグは、多くの女性客の関心をひいていた様子。そのことについて伺うと「枚方マダムは京都好きなんです。枚方は、大阪の梅田に行くのには乗り換えが必要なのですが、京都の河原町には京阪電車1本で出られるんですよね。枚方の人たちは『うちら、京都寄りやし』という意識があって、はんなりしている(笑)。だから、興味を持たれるのかもしれませんね」と教えてくれました。
写真:第9回新東北みやげコンテスト最優秀賞の「Gift&Stock」も店頭に並びました
大盛況のうちに幕を閉じた「東北わくわくマルシェ」。これをきっかけに、関西、そして日本全国で東北のよいものが愛されますように_。
咲くやこの花
潮目の重ね縞
新商品/新サービス開発支援
ほまれのふくろ【前編】
仙台の老舗染物店×SDGs
「袋のための手ぬぐいの物語」<前編>
株式会社ほまれや 取締役 土田さん
第9回新東北みやげコンテストにおいて見事入賞を果たした「ほまれのふくろ」。伝統的な吉祥文様と仙台ゆかりの文様のデザインを施した、本染の手ぬぐいによるエコバッグです。毎日の買い物のお供にするのはもちろん、バッグインバッグや取っ手をつけてカジュアルバッグとして持ち歩いてもカワイイ!自分で使うのはもちろん、仙台のおみやげとして喜んでもらえそう。
バッグインバッグにしたり
取っ手を結び付ければバッグ代わりにも
カラフルな遊び心たっぷりの「ほまれのふくろ」。実はこれ、仙台の老舗染物店から生まれた新商品です。古くから、手ぬぐいをはじめさまざまな布製品を企画してきた専門店ならではのさまざまな仕掛けが組み込まれています。手ぬぐいが織りなす、商品開発のものがたりをご覧ください。
introduction はじまり
◆創業90周年に出逢った「新東北みやげコンテスト」
仙台市若林区にある株式会社ほまれや
昭和7年(1932)創業、仙台市若林区でオーダー染物の専門店を営む株式会社ほまれや(以下ほまれや)。戦時中の軍需品から始まり、以来一貫して布・染物製品の生産、販売を行ってきた老舗店です。今では手ぬぐいやタオルなどのノベルティを主力商品とし、ほかには仙台の「すずめ踊り」をはじめ、お祭りに使われるハッピやのぼりなどさまざまな布染物製品を製造しています。
老舗らしい、オーソドックスな布染製品を得意とするほまれやが、なぜカジュアルなエコバッグ「ほまれのふくろ」を作ることになったのでしょうか。それは、ほまれや創業90年の節目に知った「新東北みやげコンテスト」がきっかけでした。
▼新東北みやげコンテストとは
新東北みやげコンテスト(city.sendai.jp)
創業90周年を迎えたほまれやの工場にて
▼ほまれや 取締役 土田さん
「2022年、ほまれやは創業90周年を迎えました。コロナ禍における従来商品の需要減、今では燃料高騰によるコスト高など考えることは山積みですが、この記念すべき年、『新たなものづくりをしよう』と前を向いて進んでみようと思ったんです。そんな時、『新東北みやげコンテスト』を知りました。コンテストに出品する新商品を作ることで、新たなほまれやを作っていこうと思ったんです」
そう語るほまれや取締役の土田さんは、創業家の次期4代目。予想外な外的環境の変化にも負けることなく、新たな道を切り開いていこうと決意をした土田さんでしたが、課題となったのが社内のリソースでした。企画部署はなく、クライアントからの依頼に担当者が各々対応している状態。土田さんが思い描くアイデアを社内のマンパワーでカタチにするのは難しい…。そう考えた土田さんは、仙台市産業振興事業団で行っている、「新商品/新サービス開発支援」の門戸を叩きます。
◆ほまれや&新商品開発チームの発足
仙台市産業振興事業団では、コロナ禍を乗り越え、付加価値の高い新商品またはサービスの開発を行おうとする事業者を対象に、以下を特徴とする新商品の開発支援を行っています。
<新商品/新サービス開発支援>
・支援予算を仙台市産業振興事業団が負担
・マーケティングやデザインなどを専門とする支援チームを編成
・リサーチからプロモーションまで一貫した支援
今回ほまれやはこの支援に採択され、新東北みやげコンテストへの出品と、新たな販路開拓を目指した新商品を開発することに。事業団からは数多の商品開発に関わってきたプロフェッショナルが開発支援チームとしてアサインされました。
Marketing 大志田典明
Direction&Photo 渡邉樹恵子
Copywriting 岡沼美樹恵
Support 外部クリエイター
Design&Illustration 根朋子
敬称略
染物店の伝統技術×商品開発のプロが出逢い、「ほまれのふくろ」の開発がスタートします。
discussion①「コンセプト」
◆目指すのは「手ぬぐいがある暮らし」
企業と開発チームによる打合せ
ほまれやからも率直な意見が出されます
今回の新商品は、ほまれやの数ある製品の中から手ぬぐいを使うことに。手ぬぐいは、古くから日本で愛用され、その柄の美しさや素材感が見直されて近年ではギフトとしても人気が高く、ほまれやとしても商売の軸となる大切な商材です。これまでもお祭りの豆絞りや企業のノベルティとして愛されてきましたが、コロナ禍においてイベントや記念品としての需要は右肩下がり。改めて、手ぬぐいをハレの日のアイテムから普段使いするアイテムとして親しまれるものにすることで、新たなニーズを創出することを目標に打合せが始まりました。
▼ディレクター 渡邉さん
「染物屋さんが作った手ぬぐいで新しい仙台みやげを、という話から始まった今回の新商品開発。ほまれやさんと話していくうちに、おみやげとしてはもちろん、手ぬぐいの持つ特長を活かして、もっと毎日の生活に根付くようなアイテムが作れるのではないかと考えました。そこで生まれたのが、ほどいて使えるあずま袋。汚れたら何度でも洗えて、古くなったらほどいて手ぬぐいに戻る。そんなサスティナブルな現代型エコバッグを、生活の中に取り入れてもらいたい。目指したのは『手ぬぐいのある暮らし』です」
ディレクター 渡邉樹恵子さん
そこでひらめいたのは、手ぬぐいには「育てる」楽しみがあるということ。綿 100%の手ぬぐいは、丈夫で長持ち。そして使うほどに柔らかく肌に馴染んでいきます。豆絞りや風呂敷代わりに使い、古くなったら布巾や雑巾として使うなど、さまざまな用途で使い続けることが可能。とってもエコロジカルな製品なのです。
手ぬぐい×毎日使えるもの×エコロジカル
この掛け算から浮かび上がったものが、「手ぬぐいをバッグにして、使い込んだら布巾や雑巾として使うことはできないか?」というアイディア。エコバッグにすれば毎日持ち歩くことができ、古くなったらほどいて手ぬぐいとしてまた普段使いできるアイテムに。手ぬぐいを、長く、毎日の生活のおともにする「手ぬぐいのある暮らし」というコンセプトが固まりました。
discussion②「デザイン」
さまざまなバリエーションからデザインを検討
◆持つ人の気持ちを晴れやかに
仙台から発信する新商品、おみやげ品としても展開するなら仙台らしいモチーフを取り入れたい。さらには、毎日使うエコバッグならおしゃれで持ちたくなるデザインがいい。そんな話し合いの中で、遊び心のあるテーマが飛び出しました。それは「仙台吉祥」。
デザイナー 根朋子さん
▼デザイナー 根さん
「縁起の良い図柄を指す『吉祥文様』に仙台ゆかりの文様を取り入れて、絵柄を検討していきました。伝統と新しさ、繊細さと大胆さを織り交ぜながら、日常使いにもふさわしい親しみある仕上がりを目指しました。折りの位置でデザインの見え方も変わるので、角度を変えたり、位置やモチーフを調整しながら作り上げていく工程がとても楽しかったです。男性も女性も、どの世代の方も、持つだけで気持ちが晴れやかになってもらえるように…。そんな願いをデザインの中に込めています」
デザイナーのアイデアと新商品開発チームの知見を合わせて、繰り返される打合せ。今回は手ぬぐいに施すデザインであることから、「素敵なデザイン」であることに加えて「染める」「折る」ことも考慮しないとなりません。発色と、デザイン・折りのバランスは調整が非常に難しい。染物のプロ、ほまれや土田さんの製品づくりにおける的確な意見のもと、染物ならではの色の出方、染色可能な文字の太さ、折り方で変わるデザインの見え方、ひとつひとつ丁寧に確認しながら進めていきます。全体の模様のみならず、「メロウ縫い」という布端の処理を施す糸の色、エコバッグを丸めて持ち運びできるようにつけるゴムの色までも徹底的にこだわって選んでいきます。
実際に折って、色・柄・折のバランスを見ていきます
縫製の糸も、この中からぴったりのものをセレクト
何度も打合せを重ね、どんどんブラッシュアップされていく5つのデザイン。最終セレクト時には「どれも素敵…」と、メンバー全員が迷いに迷う事態に陥るほど、魅力的な5つの「仙台吉祥」が誕生しました。
左から 六瓢箪×萩、雪輪×三日月、七宝×竹・笹、青海波×七夕、麻の葉×すずめ
discussion③「ネーミング」
◆持つ人に祝福が降り注ぐように
デザインの方向性が見えてきたら、次はネーミングを考えていきます。デザインに織り込まれた「仙台吉祥」が醸し出す演技のよさ、幸福なイメージを、コピーライターがひとつひとつ丁寧に言葉に紡いでいきます。
コピーライター 岡沼美樹恵さん
▼コピーライター 岡沼さん
「商品全体を通してトーンを合わせるというのもひとつですが、それぞれのデザインに個性があるのでその商品に合ったイメージを表現できるように考えました。変化があっても面白いかなと。持つ人の毎日が祝福の多いものになるように、という願いを込めて、商品名を考えるというより短歌を詠むような感覚でした」
「ほまれのふくろ」という商品名は、商品のコンセプトやデザインの方向性を踏まえながら生み出されたいくつかの言葉の中から、社名である「ほまれや」の「ほまれ=誉れ」が放つ晴れやかで縁起のよさを感じるイメージを優しく織り込んだもの。一見シンプルですが、そこに至るまでには、手ぬぐいをエコバッグにするというプロダクトイメージ、企業のコーポレートブランド、仙台という地域性、あらゆる角度から生み出された言葉をひとつひとつ吟味していくという気の遠くなるような時間を経て、大切に生み出されていきました。
袋のデザインにもひとつひとつ、手に取る人に祝福が降り注ぐような想いを込めた名前が。県花である「萩」、伊達政宗公の兜に乗った「三日月」、家紋の「竹に雀」、仙台七夕を思わせる「笹」。デザインの仙台モチーフそれぞれの言葉の意味はもちろん、花言葉や松尾芭蕉が詠んだ俳句など、さまざまなところから得たインスピレーションがみるみる美しい雅な言葉となってデザインに降りていきます。どんなネーミングになったのかは、「後編」で。
後編へつづく…
令和4年度に誕生した4つの地域産品「新商品/新サービス開発支援事業」のご報告
新しい地域産品の開発・改良を応援したい
そんな思いから、「暮らす仙台」を運営する仙台市産業振興事業団では、令和3年度に「新商品/新サービス開発支援」事業を実施しました。本事業団所属の専門家と外部専門家でチームを編成し、総合的に開発などを支援した4つの地域産品をご紹介します。
【所属専門家】仙台市産業振興事業団ビジネス開発ディレクター
◆大志田 典明:マーケティングプロデューサー
◆川島 洋子:フードコーディネーター
◆渡邉 樹恵子:デザイナー
◆草野 裕樹:デザイナー
◆高田 次朗:WEBディレクター
◆岡沼 美樹恵:ライター
【外部専門家】
◇根 朋子:デザイナー
◇工藤 拓也:コピーライター
◇梅木 駿佑:グラフィックデザイナー
◇Tomo Tama Design
・代表 今野 知世
・戸部 春華:イラスト
・吉村 尚子:動画
・村上 秀樹:撮影
敬称略
【商品紹介】
天然回帰~Feel Organic~アロマティックバスソルト【呼吸】【解放】/株式会社グリーディー
obico-みちのくの押入れから生まれた着物帯エコバッグ-/Geisha&Co.
本事業では、令和5年度も継続予定です。詳細が決まり次第、「暮らす仙台」でもお知らせ予定ですので、興味のある方はチェックをお忘れなく!
新商品/新サービス開発支援
ほまれのふくろ【後編】
仙台の老舗染物店×SDGs
「袋のための手ぬぐいの物語」<後編>
創業90周年の節目に、新たなものづくりに挑戦することになったほまれや。仙台市産業振興事業団の「新商品/新サービス開発支援」を受け、サステナブルなエコバッグ「ほまれのふくろ」を製作することになりました。クリエイティブチームのサポートを受け、いよいよ製造工程に進みます-。
ほまれのふくろ【前編】はコチラ!
production 製造
ロックミシンと工業用ミシンで1枚1枚縫製
◆職人技が光る繊細な手仕事
コンセプト、デザインが出来上がり、いよいよ製造工程へ。ほまれやでは、注染という手法で手ぬぐい製品を作ります。注染とは、生地に染料を「注」いで「染」める日本の伝統的な染色技法。静岡県浜松市にある協力工場で行われています。デザインを施した型に置いた生地を特殊な糊で防染し、模様部分を染め上げたら、丁寧に水洗いし、吊るして天日に干して完成。染に用いる型も、デザインによって手彫りか機械のカッティングかを変えて手作業で行われるそう。ひとつひとつの繊細な手作業によって美しい染物が出来上がります。まさに職人技!
染上がった布は、ほまれやの工場でベテランの職人が生地を一枚一枚丁寧にこちらも手作業で仕上げていきます。まずは生地をアイロンがけして整え、デザインと折を合わせてロックミシンで縫製。端処理などを施したらまたアイロンでしわを整え、ひとつひとつ折って箱に入れていきます。エコバッグのほまれのふくろには留め用のゴムの縫い付けもあるので、さらに工業用ミシンで補強縫いも。そんな気の遠くなるような工程を、ふたりの職人が1日250枚ほどのスピードで仕上げていきます。アイロン掛けひとつにも技術があり、ただしわを伸ばすのではなく、程よい力加減で全てを同じ大きさに整えて行くのだとか。
アイロン掛けにも職人技が光る
▼ほまれや 土田さん
「ほまれやの染物は、細かな職人の手作業で出来ています。注染は生地の糸一本一本まで染め上げるため、裏表のないきれいな染め表現が可能なうえ、人の手で行うからこその繊細なぼかしやにじみを楽しむこともできます。今では布の表面に機械で簡易に染めていく方法もありますが、やっぱり手作業の味を大切に、ものづくりをしていきたい。縫製も、昔からあるミシンを使ってひとつひとつ仕上げていくところに味わいがあります。職人はどんどん減っていて、最近ではコロナで廃業に追い込まれた会社も。でもこのものづくりの心と技術は、この先も残していきたいと思っています」
discussion④「パッケージ」
「ほ」の字がカワイイ!クラフト感たっぷりのパッケージ
◆パッケージにもきめ細やかな想いを込めて
製品が出来上がったら、いよいよ最終工程。「ほまれのふくろ」を商品としてカタチにしていきます。開発支援チームでは、商品自体の開発に留まらず、販売・流通を想定したパッケージや販促物の制作もサポート。コンセプトから携わっているチームならではの、手に取る人に想いが伝わるアイデアが生まれます。手ぬぐいの素材感を活かし、クラフトボックスを使ったナチュラルなテイスト。窓からのぞく袋の柄と同じラベルを合わせることで、シンプルながら遊び心のあるパッケージに。一番のこだわりは、センターにおかれた「ほ」の字。これは、「ほまれのふくろ」を象徴する落款のようなデザインを作りたいという、ほまれや土田さんとデザイナー根さんのアイデアから生まれたもの。「角字」という漢字を直線的な図形だけで表す、半纏の柄の作り方で、ほまれやの「ほ」の字を図案化しました。ほまれやの、そしてほまれのふくろの「ほ」がひときわ目を引く、インパクトのあるパッケージが出来上がりました。
マーケティング 大志田さん
▼マーケティング 大志田さん
「今回我々が手掛けるのは、手ぬぐいを袋にしたものではなく、袋にするための手ぬぐい。これは一見同じようで、全く別物です。だから、例えば仙台駅で見かける観光客や街中を歩く女性たちがこの袋を持っているのを見た時に、それが『袋にするための手ぬぐい』であるということが“ひと目でわかる”ことがゴールです。そのために、落款やロゴをアイポイントにして、これが『ほまれのふくろ』だとわかるビジュアルスイッチが必要になります」
注目してほしいのが、商品とともに封入されるリーフレット。商品の紹介はもちろん、企業の想い、「ほまれのふくろ」の物語が丁寧に織り込まれ、まるでひとつの読み物のような仕上がりに。サスティナブルな商品としての特徴もしっかり組み込まれ、手に取った人が細部まで目を通し、商品への想いを深めてくれるようなコンテンツになっています。おみやげ品としてインバウンドのニーズも捉え、英語表記がなされているのもきめ細やか。
Complete 完成!
5つの「ほまれのふくろ」が完成!
◆仙台らしい魅力が詰まった5つの「ほまれのふくろ」
初回の打合せから約4ヶ月。ほまれやの伝統技術と商品開発チームの想いと知見を集結して作られた「ほまれのふくろ」がいよいよ完成しました!伝統的な吉祥文様に仙台ゆかりの文様を織り込み、数多ある仙台モチーフのデザインとも一線を画す「仙台らしさ」を醸し出す5つのあずま袋。個性豊かな商品ラインナップをネーミングとともに紹介します。
■萩のふくいん
無病息災を表す六つの瓢箪と萩の模様。よい知らせ(=福音)が届きますように
■三日月光(てら)す雪
方策を表す雪輪と仙台藩祖・伊達政宗公の弦月を思わせる三日月をあしらいました。
■七竹玉世(ななたけぎょくよ)
生長の象徴である竹と七宝の意匠を施しました。美しい世が続きますように。
■永久(とわ)のまつり
仙台七夕まつりをイメージ。この美しいまつりが永久に続くように願いを込めて。
■すずめ舞うあさ
豊かさの象徴すずめと、成長を表す麻の組み合わせ。朝に踊る雀を描きました。
どれもカラフルで心躍るものばかり!エコバッグとしてはもちろん、普段使いにしても素敵な仕上がりになりました。ひとつひとつのネーミングからも、持つ人の幸せを願う想いが伝わってきます。
さらに、商品のコンセプトのひとつでもあるSDGs。「ほまれのふくろ」には、「絵解き(えほどき)」という仕掛けが。
蛍光ピンクの糸を切ると…
模様の全貌とともに、手ぬぐいが現れます
エコバッグにある蛍光ピンクの目印をほどき、開くと、可愛らしい手ぬぐいに早変わり!手ぬぐいの染まりのよさ、丈夫さを活かした、まさにサスティナブルな商品が出来上がりました。
promotion
◆商品を、多くの人の手に届くものに
仙台市産業振興事業団の新商品/新サービス開発支援では、商品の制作に留まらず、その後のプロモーションについても丁寧にサポートを行います。商品撮影やPOPの作成など、打合せの段階で設定してターゲットに商品をどうやって認知してもらうか、方向性をぶらすことなく商品の魅力を伝えられるようなコンテンツ制作にも伴走。オンラインショップの開設や販売先など、販路についても相談に乗ります。
製品完成後も続く、綿密な打合せ
新東北みやげコンテストへの出品にあたっては、必要な提出物のアドバイスはもちろん、コンセプトビジュアルや動画の制作なども行います。ここで作り上げたものは、その後自社で展開する際に活用することも可能。商品が開発支援チームの手を離れた後も手に取る人に想いが届くように、長く愛される商品を作り上げていきます。
開発支援チームがディレクション撮影
コンセプトが伝わるビジュアルも提案
「ほまれのふくろ」は、新東北みやげコンテストでも高い評価をうけ、見事入賞を果たしました。販売もスタートし、今ではショップやオンラインショップで、たくさんの人が手に取ってくれています。今までほまれやを知らなかった人たちにも、手ぬぐいの良さ、味わいを知ってもらえる新しい機会が創出されたのではないでしょうか。仙台を歩く人々の手に「ほまれのふくろ」が寄り添う、そんな幸せな光景がこれからたくさん見られそうです。
オンラインショップでも販売中
1枚あるだけで、果物かごがテーブルに鮮やかな彩りを与えてくれます
普段のお買い物に連れていきたくなる、かわいらしいデザインが特長です
終わりに
老舗染物店が大切にしてきた伝統的な手ぬぐいから生まれた「ほまれのふくろ」開発ものがたり、いかがでしたか?「アイデアはあるけれど、カタチにできない…」、そんなほまれやと商品開発のプロがタッグを組み完成した「ほまれのふくろ」。トレンドも捉えた全く新しいプロダクトながら、ほまれやが90年もの長い間受け継いできた技術と伝統、想いがたっぷり詰まった商品になりました。仙台市産業振興事業団の開発支援チームが大切にするのは、なにより企業の想い。今回の「ほまれのふくろ」も、多くの人にほまれやの想いが届きますように。そんな心が伝わる商品となりました。
【ぜひこちらもご覧ください】
ほまれのふくろ│ほまれや(homareyashop.base.shop))
仙台市産業振興事業団では新しいプロダクトを発信したいと考える仙台市内の企業様のサポートを行っています。「ほまれのふくろ」開発ものがたりに興味を持ったら、ぜひご相談を。次のものがたりを紡ぐのは、あなたかもしれませんよ。
ほまれのふくろ【前編】はコチラ!
ライター/田代 智美
新商品/新サービス開発支援
obico. リブランディング/サイト改修
リブランディングで、世界中での販売を目指す
着物や帯をアップサイクルした、ファッション雑誌やインテリア商品を展開する「obico」。長年海外でビジネスを展開していたクリエイティブ・ディレクターの今野幸治さんが、「日本の着物の美しさをもっと多くの人に知ってほしい」と感じたことに始まり、「Geisha&Co.」のブランド名でスタートさせました。
写真:obico. クリエイティブ・ディレクターの今野さん(撮影:2022年 眞野屋ポップアップにて)
その今野さんがマーケッターやデザイナーなど、多様な分野の専門家による伴走型チーム支援「新商品/新サービス開発支援」に応募したのは、仙台市産業振興事業団から定期的に配信されるメールマガジンがきっかけでした。
「私の場合は、新商品というよりも新サービスの構想を実現していただいた形です。オンラインでバッグに使用する帯の柄と裏地の色を選ぶことができるセミオーダーのシステムを構築していただきました」。
現在、日本で眠っている着物は2億着あるともいわれ、さらに衣料の大量廃棄も問題となっている中、アップサイクルは成果のトレンドとなっているのです。世界にこの商品を羽ばたかせたい_そんな今野さんの思いに寄り添ったのは、
《仙台市産業振興事業団 ビジネス開発ディレクター》
大志田典明(マーケティング・プロデューサー)
高田次朗(WEBディレクター)
草野裕樹(デザイナー)
《外部専門家》
工藤拓也(コピーライター)
敬称略
写真:AER7階の仙台市産業振興事業団の会議室でプロジェクトは進んでいきました
実は今回、今野さんはリブランディングにも取り組みました。「これまでGeisha&Co.としてビジネスを展開してきましたが、今回、ブランド名を『obico』に変更しました。この名前には、『帯でつなぐ』という意味を込めています。英単語で『co』ではじまるものって、connect、communicationとか、つなぐイメージのものが多いですよね。昔からの日本の文化である帯を未来につないでいく_そんな思いを込めています。私が伝えたイメージをしっかり言葉で表すって、さすがプロだなと感心しました。ブランディングについてもゼロから教えていただきましたし、ものすごく勉強になりました」と、今野さんはプロジェクトを振り返ります。
写真:obicoのバッグ。美しいデザインでワンランク上の装いを演出します
今回は、ウェブサイトも一から立ち上げました。
「海外の方にわかりやすく伝えたいというのがあったので、トップページのデザインなどにも工夫をしていただきました。あと、こうしたサイトを作成できたことで、ポップアップショップなどで『こういう柄はないの?』とお客さまに聞かれたときに、その場で画面を見せながら『こういうのもありますよ』とお伝えすることができるようになったのもうれしいです」。
写真:obicoのウェブサイト。美しい写真で海外のお客さまへの訴求力を高めます
ウェブサイトは、英語も併記。海外のお客さまにもわかりやすく…と、工夫したトップ画像は日本の美しき景色にobicoのバッグを組み合わせた、The Japaneseなイメージに仕上がりました。
「今後は、サイトの周知からですね。FacebookとInstagramの広告を打っていて、フォロワーも一気に増えたので、こうしたことから地道にやっていきます」。
今回のリブランディングにあたって、今野さんは名刺も一新。銀の箔押しで高級感漂うデザインになりました。「名刺ひとつでも伝わり方が違うのを感じます。特に、東京などの商談会とかで感じますね。あとは、サイトもきちんとドメインを取得して obico.jp になったのもよかった。信用が違いますよね」。
写真:obicoの新しい名刺。銀の箔押しがクールな印象を与えます
最後に、今野さんに「新商品/新サービス開発支援」の感想を伺いました。
「本当に勉強になることばかりでしたし、金銭面でも持ち出しがなかったのですごく助かりました」。
「新商品/新サービス開発支援」は、仙台市に事業所を持つビジネスオーナーの新たな挑戦を応援します。新しい商品を開発したいけれど、アイデアが浮かばない…という事業者のみなさんは、ぜひ応募を。
グッとセンスアップした新商品、新サービスで世界を舞台に勝負できるかもしれませんよ。