よいみせ│Spice Kitchen Aroi

仙台市泉区住吉台-。泉ヶ岳のふもとにある閑静な住宅街に、2024年7月、本格スパイスカレーとタイ料理のお店「Spice Kitchen Aroi(スパイスキッチン アロイ)」がオープンしました。

オーナーの三浦克彦さんは、社会人としてのキャリアを半導体メーカーで過ごし、次世代センシング機器開発と半導体プロセスマネージメントを経験。飲食店を営む両親のもとに生まれたこともあり、昔から料理をつくることが好きで、会社員時代も家族や友人にふるまっていたのだそう。

「いつかは…っていう気持ちはずっとあったんです。本気でやりだしたのは、6~7年前で、最初は寿司から始めたんです。というのも、小さい時から親について行って塩釜の魚市場で買い付けをしてそれを調理するというのを見てきたから。だからやるなら寿司がいいだろう、と。そしてその次は、イタリアン、中華もやって、その次になにをしよう…となったときにスパイス系に行ったんです。もともとカレーも好きでしたしね」。


写真:55歳で大手半導体メーカーの退職を決意したという三浦さん

三浦さんがスパイスの調合に用いたのは、DOE(Design of Experiment)という、半導体メーカーで使っていた手法。これは、製品やサービス、解決策のパフォーマンスの改善や最適化のために、どのような実験が最も効果的であるか、そして実験で得たデータをどのように解析すべきかを導き出すもの。

「要は『これとこれを合わせたら、こういう風になるよ』というもので、そういう統計学を使ってスパイスの調合を導けないかと思ったんです。物理学的見地からスパイスにたどり着いた感じです。DOEだけで結果が出るものではなく、カレーってほかにもいろいろな調味料が入っているし、最終的には自分の舌で確認をするんですけれど。でも、スパイスの組み合わせでこんなに変わるんだ!ってすごくおもしろかったです」。

こうしてスパイスの魅力にハマっていった三浦さんは、スパイスインストラクターとソムリエの資格を取得。


写真:取材当日ランチで提供された「ポークキーマカレー」

さらにタイ料理に魅了された三浦さんは、バンコクとチェンマイのクッキングスクールで本場の料理技術を習得しました。

「5ヵ所のクッキングスクールで教わりましたが、タイの食材がそのまま日本で使えるわけではないので、その辺は工夫が必要でしたね」。


写真:定番の「バターチキンカレー」

開業にあたっては、仙台市産業振興事業団の起業支援センターアシ☆スタを利用し、満を持して自分のお店をオープンさせました。スパイスカレーは、定番のバターチキンカレーやグリーンカレーなど11種、タイ料理はパッタイやガパオライスなど5種をメニューにラインナップし、この中から週替わりでお料理を提供しています。

取材当日、編集部員3名で三浦さんの料理をいただきましたが、どれもスパイスが効いた絶品!チェンマイの郷土料理である「カオソーイ」は、ライター・岡沼が数カ月前にチェンマイで食べた本場の味で驚きのおいしさでした。


写真:チェンマイ名物の「カオソーイ」は、本場と同じくスパイシーな味わい。2種類の麺の食感が楽しめます

「Spice Kitchen Aroi」では、自家焙煎したこだわりのコーヒー豆で淹れるおいしいコーヒーも人気です。

「店においてある豆は4種類なのですが、今後はコーヒー豆の販売も始めます。また、お客さまに生豆を持ち込んでもらって、それを僕が焙煎するというサービスも展開していく予定です」。


写真:注文を受けてから挽いて一杯一杯丁寧に淹れるコーヒーもSpice Kitchen Aroiの名物

最後に、三浦さんにこの先の「夢」を伺いました。

「僕が在籍していた半導体メーカーは、全国に6カ所拠点があるんです。いつか、その6カ所に店を出すのが夢。恩返しがしたいんです」。

絶品スパイスカレーとタイ料理が食べられる「Spice Kitchen Aroi(スパイスキッチン アロイ)」。ご近所さんはもちろんですが、「ちょっと遠いな」という方も足を運ぶ価値アリですよ。

三浦さんの開業に至るまでのストーリーは、アシ☆スタの「開業者インタビュー」でご紹介しています。ぜひご覧ください。

Spice Kitchen Aroi
(スパイスキッチン アロイ)

所在地 仙台市泉区住吉台東2丁目2-4 シェアスペース住吉台102
TEL 022-200-2207 FAX 022-200-2208
URL https://www.aroi-spice.com/
Lunch :11:30-14:00(LO : 13:30)
Cafe time :15:00-17:00
Dinner :毎週水木を除く予約日 
※2日前までの完全予約制17:00-20:00(LO : 19:30)※10月より

Break time :14:00-15:00
※10月から変更のお知らせ
・ディナーメニュー:セットメニュー(3種)での提供
・価格設定:お求めやすい価格設定に変更
・テイクアウト商品の拡充
・自家焙煎珈琲豆の販売:当店が厳選した焙煎豆の店内販売及び生豆持ち込み、或いはご指定の豆を当店にて買付し、
お好みの焙煎度合いで(浅煎り、中煎り、深煎り)お渡し日に合わせて焙煎します。

マッチ箱マガジン
佐々木印刷所

小さな旅のおとも

この記事は、2016年12月6日に公開された「マッチ箱マガジン」の記事と「マッチ箱マガジンで巡る松島さんぽ前編」をリライトしたものです

「マッチ箱マガジン」は仙台の印刷所が、仙台に縁のある5名のイラストレーターとともにつくった小さなガイドブック。マッチ箱サイズの小さなパッケージの中に、温泉地や沿岸部、仙台のまちなどを紹介するミニガイドと、付箋やマスキングテープなどのおまけが入っています。

この「マッチ箱マガジン」が生まれたのは、1928年創業の印刷所である「佐々木印刷所」の代表取締役の佐々木英明さんのアイデアがきっかけ。
昔からマッチ箱が好きで集めていたという佐々木さんが仙台市の「クリエイティブ・プロジェクト助成制度」(※)で支援を受け、商品開発に乗り出しました。

※2024年現在は行われていません

佐々木さんは、「マッチ箱の中にガイドブックとグッズを入れて、観光地を盛り上げたいと思い、応募したんです。震災があったけど、たくさんの魅力がある宮城にぜひ来てほしい。しかし、沿岸部は復興の途中だったので、まずは山沿いの観光地から来てもらえたらと思いました。山といえば温泉地、さらに温泉地といえばこけしだなと、こけしで有名な作並・秋保・鳴子・遠刈田・白石の5か所をピックアップし、そこを仙台にゆかりのあるイラストレーターのみなさんに旅をしてもらいながら思い思いに描いてもらいました」と、話します。



※仙台市クリエイティブ・プロジェクトは2024年現在、行われていません

この「マッチ箱マガジン」は、仙台市産業振興事業団が主催する「第1回 新東北みやげコンテスト」で最優秀賞を受賞。この勢いに乗って、第1弾の山編に続き、沿岸部編や仙台時間編をつくり、「第3回 新東北みやげコンテスト」でも最優秀賞を受賞。最近では、マッチ箱にこけしの形のクリップを入れた「こけしクリップ」やタイの人気漫画家ウィスト・ポンニミットさん(通称 タムくん)の人気キャラクター「マムアンちゃん」とコラボレーションした「マッチ箱クリップ」も制作。仙台・宮城のおみやげとしてすっかり定番となりました。

この先もさまざまな展開が期待できそうな「マッチ箱マガジン」と「マッチ箱クリップ」。
見かけたら、ぜひ手にとってみてくださいね。

「新東北みやげコンテスト」

第1回(2014年)/最優秀賞

第3回(2016年)/最優秀賞

<5人のイラストレーターが参加>

泉 友子

佐藤 純子

大峯 由美子

たけのこスカーフ

工藤 ユキ

森 友紀

株式会社 佐々木印刷所

所在地 〒983-0035 仙台市宮城野区日の出町2丁目2番16号
TEL:022-236-1281 FAX:022-236-1284
URL http://www.sasaki-print.com/

しあわせ乳業株式会社
ヤギミルククッキースイート海 青缶

しあわせ乳業株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する
第10回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

デザイン特別賞 ヤギミルククッキースイート 海青缶

岩手県宮古市にあるヤギミルク専門のスイーツ店「パティスリーレドシェーブル」。ヤギミルクを使用した「イボンヌのシュークリーム」をはじめとした菓子のほか、店のキャラクターのイボンヌのグッズも人気の店が、2023年10月、仙台店をオープンしました。


写真:ヤギミルクを使用したクッキーは、お店の人気商品

たくさんの商品が並ぶ中には、2023年の新東北みやげコンテストで、デザイン特別賞に輝いた「ヤギミルククッキー 海青缶」もあります。


写真:「パティスリーレドシェーブル 仙台店」店長の馬場さん。チャーミングなお人柄で、話すだけで元気をもらえます。

この商品について、店長の馬場綾子さんは「宮古の地のものを使った商品をつくろうということで開発に至ったそうです。焼きウニを使用したウニ、スーパーフードとして注目の海藻アカモク、うま味たっぷりホタテをフリーズドライしたものをクッキー生地に混ぜ込んで焼いています。甘くないので、お酒のおつまみにぴったりなんですよ」と話してくれました。



デザイン特別賞に選ばれた目を引くキャラクター・イボンヌは、2歳の女の子でフランス生まれの群馬育ち、そして現在は大好きな宮古に暮らしているという設定。

「うちの社長、絶対笑かそうと思ってこのキャラクターつくったんだと思うんですよ(笑)。すごいアイデアマンで、いろんなことが頭に浮かぶみたいなんですよね。社長自身も四国の出身で、宮古が気に入って移住したんです。それでイボンヌも宮古移住組にしたのかもしれませんね」と、馬場さん。


※動画は「しあわせ乳業株式会社」様よりお借りいたしました。

「パティスリーレドシェーブル」を運営するのは、宮古市にある「しあわせ乳業」。

豊かな自然の中、ヤギやロバが畜舎のない暮らしをしています。ここで搾乳したヤギミルクが、いろいろな商品となって「パティスリーレドシェーブル」に並ぶのです。

人の母乳に近いヤギミルクは栄養価が高く、吸収がよいそう。


写真:「パティスリーレドシェーブル 仙台店」。藤崎デパートの並びにあるので、買い物の際に立ち寄っては?

「ヤギミルクはとにかく味が濃厚。タウリンが豊富で、疲労回復効果も高いんです。続けて飲んでいると肌の調子がよくなります。うちではヤギミルク自体も販売していて、牛乳がダメなワンちゃん、猫ちゃんでも飲めるからペット用に…と買われていくお客さまもいるんですよ。あと、ヤギたちが食べている草も季節によって変わるので、季節によってヤギミルクの味も変わります。当店で販売しているお菓子やソフトクリームで、季節によって変わる味をぜひ楽しんでほしいです」と、馬場さんは話します。


写真:楽天のクリームパン部門で1位に輝いたヤギクリームパン

店の売れ筋は、クッキー。そのほかにも「3年前に楽天のクリームパン部門のお取り寄せグルメNo.1に選ばれたクリームパンはよく売れます。それこそ受賞した当時は、全国からお客さまが宮古に来て行列をつくっていたほどで、購入いただく個数制限を設けたほどでした。そのクリームパンを瞬間冷凍したものを宮古から仙台に運んでいます。ぜひこちらも味わってみてくださいね」とのこと。


写真:ヤギミルククッキーをクルトン代わりにサラダにオン。とても濃厚な味わいで、レストランの味に早変わり!

豊かな宮古の自然の中で育ったヤギたちからの恵み。ヤギミルクをたっぷり使ったスイーツをぜひ楽しんではいかがでしょうか。


写真:ペットにも安心のヤギミルク。栄養価が高いので、食欲のない日の栄養補給にも◎

しあわせ乳業株式会社

所在地 〒027-0084 岩手県宮古市末広町7-29
TEL 0193-65-6800
URL http://www.shiawase-farm.co.jp/

レ・ド・シェーブル 仙台店

所在地 〒980-0811 仙台市青葉区一番町3-1-15
TEL 022-281-8308
URL https://shop.yagimilk.jp/
※レドシェーブル仙台店は2025年2月24日で閉店し、現在移転先を探しております。

取材/2024年8月

第98回東京インターナショナルギフト・ショー秋2024

今年も出展しましたよ!

去る9月4日(水)から6日(金)までの3日間、東京有明の東京ビッグサイトにて「第98回 東京インターナショナル ギフト・ショー」が開催されました。仙台市産業振興事業団では、「仙台 杜のクラフト」として、6社の商品を展示。多くのバイヤーの関心を引きました。

1.株式会社グリーディー


「暮らす人を豊かに」をコンセプトに、東北の豊かな天然素材と人材を活用した持続可能なものづくりをしているgreedyは、リブランディングした「天然回帰-Feel Organic-」をこのギフト・ショーでローンチ。


代表の浜出理加さんは「これまでのギフト・ショーでは商品のバリエーションをそろえていたのですが、今回はシャンプー、トリートメント、ボディーソープに絞ってご紹介しています。展示も、森、水、大地の感じを演出し、工夫しました。私たちの取り組みに関心を抱いてくださる方もとても多く、とてもいい出会いがたくさんありました」と話してくれました。宮城県産杉の間伐材を丁寧に蒸留して抽出した精油を用いたシャンプーとコンディショナー、そして石巻の和紅茶ブランドkitahaが紅茶を製茶する際に出る端材を使用したボディーソープは、オンラインショップオンラインショップで購入することができます。また、このアイテム誕生の物語は、こちらからご覧になれます。

2.miyaco nishio


デザイナーの西尾都さんが描く水彩画のテキスタイルと小物雑貨のブランドmiyaco nishioは、スカーフハンカチや洋服などを出展。
ギフト・ショーへの出展は2回目だという西尾さんは「今回は、本当にたくさんの方にお越しいただいて、いくつかいいお話もあって、とてもいい機会になっています」と話します。西尾さんが描くのは、自然からインスピレーションを受けたものが多いそうですが、「最近は、やはり仙台ということで、仙台七夕やこけしなどおみやげを意識した水彩画も描いています。赤ずきんちゃんの図柄は、森が七北田公園になっているんですよ」と。



8月に行われた「台湾文博会(CREATIVE EXPO TAIWAN)2024 日本館」仙台ブースにも出展したそうで「あちらは一般のお客さまも入場でき、毎日すごい行列。ものすごい熱量を感じました」と話してくれました。

3.菅野食品株式会社


ラーメン、焼きそば、うどん、そば、餃子の皮など小麦粉を使用した商品を製造している株式会社菅野食品は、仙台・宮城のおいしいものを詰め合わせたギフトセットで出展。「仙台弁こけし コーシー(珈琲)」や和紅茶「kitaha」、笹かまをアヒージョにした「canささ」や仙台産りんごを使用した「ごりごりんごトフィー」など、この暮らす仙台でもおなじみの商品も並んでいました。


代表取締役の菅野浩幸さんは「地元企業さんの商品を詰め合わせしてギフトにしています。単品では県外などに出荷が難しい企業さんもあるので、いろいろなものを合わせることによって、「仙台のおいしいもの」という形の詰め合わせをつくっております。ご希望に応じて、詰め合わせの中身も変えることができます。ギフト・ショーは雑貨がメインですので、お問い合わせは少ないながらも何件かお話をいただくことができました」と話していました。

4.株式会社ほまれや


染物・繊維製品のオーダーを受けている株式会社ほまれや。2022年に創業90周年を迎え、それを機に手ぬぐいをエコバッグに仕立てた「ほまれのふくろ」を開発。その翌年には、帆布にユニークなロゴを施した「ほむらの前掛け」を製作しました。このギフト・ショーには、帆布の「ほまれの前掛け」を展示。OEMでオリジナルがつくれることも含め、展示を行いました。


今回が初出店となるほまれやの取締役である土田暢子さんは「興味をもってくださるお客さまは結構ディープに話を聞いてくださるという印象で、面白いなと思っています。OEM的な部分はもちろんなのですが、一生懸命つくった『ほむらの前掛け』自体を置いてくださる販売してくださるところがあればいいなと思います」と話してくれました。

5.Koquela


東北の伝統工芸の造形や模様をモチーフにしたブランド・Koquelaは、目を引く“こけしタワー”に、新東北みやげコンテストでも入賞した「正月こけし」のほか、こけしのチャームなどを展示。お客さまが列をなし、東北ならではのこけしの人気がとても高いことを証明しました。


代表の金盛友実さんは「インバウンドで、海外の方が日本だけでしか手に入らない文化や手仕事を求めている傾向があるので、インバウンドに力を入れたい店舗さんがかなり来てくださいました。初出店ですが、こんなにたくさんの方が注目してくださっているっていうことはありがたいです。手にとってくださったお客さまに『東北に、宮城に来てくださいね』という思いでご案内したいです」と話してくれました。

6.obico


帯をアップサイクルし、バッグや雑貨をつくっているobico。仙台空港国際線の免税店でも販売されているobicoのバッグは、まさにインバウンド向け商品といえるでしょう。今回は、プラチナをメインに展示し、そのほかには楽天選手のユニフォームをアップサイクルしたボディーバッグや、皮、帆布に脱着可能な帯のポケットを施したバッグなどを展示。


代表の今野幸治さんは「楽天のバッグは、球団さんが地元企業とのコラボを進めていきたいということでお声がかかりました。着物とは関係ありませんが、アップサイクルという大きなテーマでは一緒かな、と」と話します。そして今回の手ごたえについては「前回のギフト・ショーにも出たのですが、今回のほうがいいです。探していたバイヤーさんや販路先がちょうど来てくださって、すごくよかった。来月からは成田空港でのポップアップも始まるので、がんばります」と笑顔をのぞかせました。