一般社団法人
石巻グリーフサポート
「森のキャビア」
一般社団法人石巻グリーフサポートは、仙台市産業振興事業団が主催する
「新東北みやげコンテスト」の受賞企業です。
宮城県石巻市。のどかな田園風景が広がる郊外に、かわいらしいカフェがあります。それが、「パーラー山と田んぼ」。ここは、障がい者就労継続支援B型事業所(*)としてオープンした県北初のベーカリーカフェです。
*企業などと雇用契約を結んで就労することが難しい方が、体調などに応じて自分のペースで就労訓練や仕事ができる場所
写真:「パーラー山と田んぼ」。店内には、かわいらしいフルーツサンドやおいしそうな焼きたてのパンがずらりと並び、地元の方はもちろん、この味を求めて遠方から訪れるお客さんもいるそう
この「パーラー山と田んぼ」から生まれた話題の商品が「森のキャビア」。これは、間引きされた小さな小さなしいたけを有効活用した、アイディア商品。この商品の開発に携わった「パーラー山と田んぼ」を運営する一般社団法人グリーフサポートの木村直隆さんは「私は、『山と田んぼ』を開所する前に、社会福祉法人で相談員として働いていたことがありました。そこで運営している障がい者就労継続支援B型事業所である『ぎんの星』では、しいたけの栽培を行っているのですが、そこで利用者さんたちが間引きしたしいたけのいしづきをきれいにしているのを見たんです。捨ててしまうはずのしいたけを、きちんと食べられるようにきれいに処理していた、その仕事ぶりに感動したんです。それで、この“ちびしいたけ”をどうにかできないものかと考えるようになりました」。
写真:間引きされた「ちびしいたけ」をバルサミコ酢と醤油で調理し、オイル漬にしたのがこの「森のキャビア」
しいたけとして販売するにはあまりにも小さな「ちびしいたけ」。木村さんは「パック詰めするにしても、もう少し大きかったら出せるのに…というくらいの大きさ。どう食べたらいいのかわからないまま、消費されずに冷凍して大量にストックされていました。障がいを抱えている方々が、本来なら捨てられるものを大切に仕事しているのを知ってもらいたい。どうにか食べてもらえる商品にならないか、と。それで最初は給食の味噌汁やカレーに入れていたのですが、ここはひとつ、プロの方の力を借りて、商品として世に出そうではないか、と決心しました」。
写真:丁寧に丁寧に間引き作業、そしていしづきを取って「ちびしいたけ」をきれいにします。
木村さんが協力を仰いだのは、「kitaha」の商品開発チームであったフードクリエイターの佐藤千佳さんとデザイナーでフォトグラファーの渡邉樹恵子さんでした。「『kitaha』のあさひ園、日野雅晴社長と知り合いで、『kitaha』シリーズのクッキーや琥珀糖もうちの事業所でOEMをさせていただいているんです。それで、『ちびしいたけをどうにかしたい』って相談させていただいて、佐藤さんと渡邉さんを紹介してもらったんです」。
写真:つやつやと輝く「ちびしいたけ」は、まさにキャビアのよう
最初はピクルスから始まり、いろいろな味付けに挑戦。その中のひとつであるオイル漬のピクルスを持ち上げたときに「なんだか、すごくキャビアっぽかったんですよ。それで『ネーミングにしたら面白いんじゃないの』っていう話になって、名前が決まりました。『パッケージも、キャビアに寄せよう』ということで、いろいろなキャビアのパッケージを集めて参考にしつつ、最終的にこのようなデザインに落とし込んでいただきました。悪乗りをしまくった結果なんですけど(笑)、すごくいい商品になったと思います」と、木村さん。
写真:チーズとの相性が抜群の「森のキャビア」。チーズを乗せて焼いたバゲットにトッピングしてバジルを添えれば、ワインとも相性抜群の一品に!
写真:オムレツのトッピングにもぴったり
写真:パスタにたっぷり絡めれば、メインの一品になります
「森のキャビア」は、石巻市内の「パーラー山と田んぼ」、「石巻うまいものマルシェ」、「上品の郷」のほか、仙台の「錦町まるふく商店」で商品の取り扱いがあるほか、TSUTAYAのイベントなどで出店されることも。「新東北みやげコンテストで受賞したことで、目に止めていただくことが多くなりましたし、催事にお声がけいただくことも増えました。現在、セントラルキッチンを作っているので、完成したらもっともっとたくさんの方にお届けしたいです」。
写真:木村さん(写真左)と「パーラー山と田んぼ」のスタッフのみなさん。明るい笑顔が
そして、この「森のキャビア」が世に出ることで、「パーラー山と田んぼ」で作業にあたっている利用者さんたちにもちょっとした変化があったそう。「うちでは、利用者のみなさんにしいたけの選別とお掃除の作業、そして徐々に製造、瓶詰もしてもらっています。朝の朝礼などで、いろいろなお店に商品をおいてもらっているのを話すうち、『森のキャビア』が自分たちの商品だという思いが強くなってきているようです。仕事の取り組み方にもいい影響が出ていますし、本当にいい商品に育ってきているなと思います」。
今後は「石巻という土地柄、いろいろな海産物と組み合わせて商品開発を行っていくのも面白いのかな、と考えています」と話す木村さん。いろいろな人たちが手を携え、東北にまた新たな商品が生まれるのも、そう遠くないかもしれません。
一般社団法人石巻グリーフサポート
住所 〒987-1101 宮城県石巻市前谷地字小谷地80
TEL 0225-24-6190
Instagram https://www.instagram.com/yamatotambo/