岩手缶詰株式会社
「魚介のリゾット缶3種3缶入り」

岩手缶詰株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する
第9回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

最優秀賞「魚介のリゾット3種3缶入り」


パステルカラーを用いていながらも、その大胆なデザインが目を引く岩手缶詰株式会社の缶詰「Gift&Stock」。2021年の「第9回 新東北みやげコンテスト」で最優秀賞に輝いたのは、そのおいしさはもちろんのこと、商品の誕生秘話にありました。


写真:釜石では、サバやブリ、マグロなどの魚が毎日水揚げされています

岩手缶詰本社は、「鉄と魚とラグビーのまち」として知られる岩手県釜石市にあります。生産している商品の95%はOEM(*)で、その技術やノウハウを生かした自社ブランド商品の開発も行っています。

*original equipment manufacturerの略称で、他社ブランドの製品を製造すること


写真:営業課長の阿部さん。ユーモアのセンスにあふれた、缶詰愛あふれる方でした

営業課長の阿部常之さんは「この『Gift&Stock』は、博報堂とデザイン・イノベーション・ファーム TakramJapanとの3社共同開発なんです。弊社は主にサンマやイワシなどの缶詰を作っておりまして、『主食の缶詰をつくりたいね』という話は以前からありました。本格的に取り組もうとなったのは、東日本大震災がきっかけ。宮古市と大船渡市の工場が、震災で被災して倉庫が流されてしまったんです。倉庫も全焼して缶詰が散乱してしまいましたが、後から聞いた話ですが近隣住民の方が『岩手缶詰さんの缶詰を食べて生き延びたよ』と話していたそうです。それからも主食缶の話が出たり消えたりしながら、5年前から具体的に話が進み始め、『防災、備蓄の線で進めよう』となったんです」。


写真:「Gift&Stock」は、岩手缶詰の釜石工場で製造されています

開発当初は「お米」を缶詰にしようと試みたそう。
「缶詰は、製造工程の中で116℃ほどの温度で95分殺菌します。そうすることで長期保存が可能になり、調理も同時にできる。なので、缶の中に生米を入れればお米が炊けるわけですが、普通のお米やアルファ米、パウチでおかゆを作ってみたところ、どれも冷めるとベータ化して固くなってしまうという欠点がありました。あと、おかゆだと食べ応えがないし、味とカロリーももう少しほしいよね…という話になりまして。そこで思いついたのが、リゾットです。リゾットは生米から炊くし、味もつけられる。そして、玄米を使えばお米の食感を残しながらも、冷めても固くならずおいしく食べられることが分かりました」と、阿部さんは話します。


写真:「Gift&Stock」の製造ライン。丁寧に仕込んでいます

社内で粛々と試作を進めていく中で、博報堂から「防災食を一緒に開発しないか」という提案があったといいます。阿部さんは「ちょうどうちでやろうとしていたことと合致していたので、共同で進めました。味に関してはスムーズに決まりました。まず三陸の魚介に合う味で、ネーミングから味が想像しやすいもの。フレーバーは、岩手缶詰の商品開発チームがディレクションしました」。


写真:イナダとトマトのリゾット。そのままでももちろん、粉チーズをかけてもおいしくいただけます


写真:イナダとトマトのリゾットにたっぷりの粉チーズを加えて形を整え、ライスコロッケに。ワインにもぴったりの一品に仕上がります

博報堂がつないでくれた、世界的デザイン事務所TakuramJapanとの縁。「缶詰の会社では絶対に出てこないようなデザインで、『うわぁ、すごいな!』というのが感想でした。みなさん、スーパーなどの缶詰売り場に行くと分かると思うのですが、漢字で『鯖!』とか『いわし!』、ラベルも茶色とか、中身の写真…というのが多いですよね。でも、今回のコンセプトのひとつが『インテリアとして飾れる缶詰』でして。目につくところに飾っておいていただいて、いざというときにすぐ食べられるようにしてほしいという思いからそういうコンセプトになりました。もともと備蓄は備蓄、おみやげはおみやげで考えていたのですが、おみやげが備蓄になったらいいのでは?という発想に至りました。『備蓄で棚の中に入れていたけれど、棚が倒れて取り出せない』ということになっては仕方ないので。おみやげって、大切な人やお世話になった人に渡しますよね。その方たちの防災備蓄にもつながればいいな、という思いが詰まった缶詰です」。


写真:サバのカレーリゾット。スパイスの風味は効いていますが、辛さが苦手な方でも大丈夫!


写真:サバとカレーのリゾットは、スキレットにとろけるチーズを敷いて火にかけ、焼きリゾットに。キャンプでも楽しめそう

東日本大震災の経験を活かし、自分と大切な人の防災を考える_。

味だけでなく、このアイディアが大きな決め手となり、「第9回新東北みやげコンテスト」で最優秀賞を受賞することになりました。「お取引のある方から『おめでとう』と連絡をいただきましたよ」と、阿部さんも笑顔をのぞかせます。

また、このデザイン性が高く評価され、世界の「エル・デコ」(*)編集長25人が選ぶ、「エル・デコインターナショナル デザイン アワード(EDIDA)」にて、「ジャパニーズ・ソーシャル・デザイン・プロジェクト賞」にノミネートされました。

*「エル・デコ」は、ハースト婦人画報社より2ヶ月に1回発行されているインテリアとデザインの雑誌。25ヶ国版が世界28ヶ国で発行されており、世界で200万部以上を発行し、1000万人以上の読者を得ています。

最後に、阿部さんに食べ方について伺いました。

「もともと防災食なので、真冬の深夜に食べてもおいしいよう設計されています。もちろん、温めてもおいしいので、普段の食卓に温めて出していただいてもいいかと思いますよ」。


写真:イカのクリームリゾットは、濃厚なクリームの味わいがクセになる一品です


写真:イカのクリームリゾットは、お皿に野菜を敷いて「サラダリゾット」に。野菜のシャキシャキした食感がリゾットのおいしさを引き立ててくれます


写真:インテリアとして飾っても違和感のない「Gift&Stock」。あなたの大切な人への贈り物にどうぞ

大切な人の「いざ!」の時に役立つかもしれない「Gift&Stock」。

渡すだけであなたの思いが伝わる、素敵な缶詰です。

<番外編>
岩手缶詰では、思わず二度見してしまう「鯖チョコ」缶詰も製造販売。

阿部さんは「我々は普段からフレーバーについて考えているのですが、缶詰の定番である『みそ煮』や『水煮』だけでなく、奇抜で誰も真似できないようなインパクトのある商品も生み出したいと考えています。意外と合うサバ×チョコの缶詰を食べてみてください」。

「Gift&Stock」と一緒に、攻めの「鯖チョコ」もいかが?

岩手缶詰株式会社

所在地 本社/〒026-0013 岩手県釜石市浜町 1-1-205(市営釜石ビル2F)
TEL 0193-22-3001(代) FAX 0193-24-3005
URL https://www.iwa-kan.com/

取材/2022年12月

これまでの「銘品ものがたり」もご覧ください。

新東北みやげフェア
2022開催中!【終了しました】

東北スタンダードマーケットに行こう!

\東北のよいものが、ずら~り/

東北の魅力がギュ~~っとつまった、新しいみやげを発掘する「新東北みやげコンテスト」。2022年の受賞商品を集め、触れて・買える「新東北みやげフェア」が、「東北スタンダードマーケット」(仙台PARCO本館/B1)でスタートしました。

出品商品の詳細はコチラ


「東北スタンダードマーケット」に並ぶのは、最優秀賞、優秀賞、特別賞を受賞した商品を含む魅力的なものばかり。

店長の伊藤和輝さんは「今年も受賞商品を中心に当店の目線でセレクトしたものをラインナップしています。自信をもってみなさまにお届けできる商品ばかりです。今年の年末年始は、帰省や観光のお客さまも多くいらっしゃると思いますので、充実した東北のおみやげを探してください」と話してくれました。


そしてイチオシ商品についてうかがうと「最優秀賞に輝いた岩手缶詰さんの『魚介リゾット缶Gift&Stock』ですね。おいしいだけでなく、パッケージもおしゃれで素敵ですよね」と。

「新東北みやげフェア2022」は、12月26日(月)から1月11日(水)まで、仙台PARCO本館B1の東北スタンダードマーケットで。ぜひ、遊びに行ってみてくださいね!

出品商品の詳細はコチラ

〇日程
2022年12月26日(月)~2023年1月11日(水)

〇会場・運営
東北スタンダードマーケット(運営:株式会社金入)
仙台市青葉区中央1丁目2-3 仙台PARCO本館B1F
TEL 022-797-8852

〇年末年始営業
〔31日〕10:00-18:00
〔1日〕休業
〔2日〕8:00-19:00
〔3日〕10:00-20:00

新 東北みやげコンテストとは

│お問合せ│

新 東北みやげコンテストについて

公益財団法人仙台市産業振興事業団
経営支援部 経営支援課 
TEL 022-724-1122 FAX 022-715-8205
E-mail keieishien@siip.city.sendai.jp
URL https://www.siip.city.sendai.jp/online_expo/

WP

新東北みやげフェア2022-2023について

東北スタンダードマーケット(運営:株式会社金入)
TEL 022-797-8852
URL https://sendai.parco.jp/shopnews/?id=86953

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第9回新東北みやげコンテスト受賞商品の販売会が開催されます!【終了しました】

Made in TOHOKU
みやげのトレンドはここから

公益財団法人仙台市産業振興事業団が主催する「第9回新東北みやげコンテスト」で各賞を受賞した商品の販売会が12月26日から開催されます。

PARCO2からPARCO本館B1Fに移転した「東北スタンダードマーケット」で今年も販売会が始まりますよ!

新しい“東北のおみやげ”を探しに、行ってみませんか?

【新東北みやげフェア2022-2023】



【出展商品一覧】

  • 魚介のリゾット缶3種3缶入り
    白米ではなく玄米を使用することで固くならず粒感のある食感に仕上げました。
  • 雪中果
    ふわふわのマシュマロの中には果肉の食感がある甘酸っぱいリンゴジャム。真っ白い粉の中を探しながら食べる時間も楽しんで欲しいです。
  • お米のバウム(庄内産完熟メロン)
    米粉とは思えないほどしっとりふんわりとした商品に仕上げました。
  • MOYANE「ぶどう飴」
    噛むと断面から綺麗な赤紫色の光沢が顔を出し、そこから酸味のある甘味が引き立つ山ぶどう果汁がたっぷり入った濃厚な飴ゼリーです。
  • 燻製堂 八戸前沖さば
    八戸前沖さばの中でも特に大型の「銀鯖」を南部町で生産されたリンゴの剪定枝を再利用したウッドチップを使用し、熱を通さない冷燻で燻しました。
  • 染CYCLING CAP(ソメ サイクリングキャップ)
    自転車にまつわる3つのテーマ(WIND/MOUNTAIN/CIRCLE)をベースに手ぬぐいをデザインしサイクリングキャップを製作しました。
  • やみつきスパイスカレーあられ
    本格スパイスを13種使用しました。主原料は亘理町産の自社栽培米「みやこがねもち」を100%使用しています。玉ねぎパウダーと黒糖、もち米の甘みと旨みがスパイスの香りと風味を引き立てます。

  • 三陸コーディアル(サングリア・ハマナス・アップルミント)
    「ビネガー仕立て」が特徴。ハマナスやミント、オレンジ果皮などの香りをつける副産物には自社栽培のものや国産の自然素材を使用しているところも特徴のひとつです。
  • アロニア甘酒
    盛岡産アロニアの100%果汁と自然の甘みが引き立つ甘酒をブレンド。世代を問わず召し上がることのできるスッキリとした飲み口に仕上げました。
  • 木苺の生キャラメルショコラ
    育種家・金澤美浩氏の新品種福島ラズベリーを使った最高級生キャラメルショコラです。従来のキャラメルとは違い、ケーキのようにカットして召し上がってください。
  • くじらのイタリアンバーグ
    トマトソースの酸味の中に、野菜の甘みの生きた、鯨ハンバーグに良く合うソースに仕上がっております。
  • ニボリタン
    昔ながらのナポリタンに丸ごと粉砕した煮干しを合わせ、オリジナルの「ニボリタン」に。
  • ふりかけ職人
    恵み豊かな三陸の海の乾物を中心に、良質な無添加の乾物を使いやすい量で小分けにしました。素材を選びすりつぶして、混ぜて、五感をフルに働かせて、自分だけのマイふりかけが楽しめます。
  • 秋田杉葉除菌エタノール「杉の雫」
    エタノールの濃度が55%ながら、秋田杉葉に含まれる成分「テルピネン-4-オール」との相乗効果により、確かな除菌・除ウイルス作用を有します。
  • 秋田杉の精油
    アロマセラピストとして植物の香りと10年以上向かいあったオーナー自ら香りの質を高めてから出荷しています。時間と手間をかけた日本産の精油です。
  • 木のコビトキット
    箱に入っている木材は、カタチも種類もランダム。子どもから大人まで楽しめる不思議なカタチの「木のコビト」。
  • 正月こけし
    人々が素晴らしい年を迎えられるよう、2名のこけし工人がひとつひとつ心を込めて作り上げました。東北の豊かな手仕事に触れ、誰もが微笑んでしまうような贈り物です。
  • SENDAI ほまれのふくろ
    伝統的な吉祥文様と仙台ゆかりの文様を組み合わせ「ほまれのふくろ」を使う人の生活に祝福あれと願いを込めたデザインを考案しました。

〇開催日:2022年12月26日(月)~2023年1月11日(水)

〇会 場:東北スタンダードマーケット 仙台パルコ店

     仙台市青葉区中央1-2-3仙台パルコ本館 地下1階(10:00-21:00)
     ※年末年始は営業時間が変更になります
     TEL 022-797-8852
     https://kaneiri.shop/shops/tohoku_standad_market

〇年末年始営業時間
〔31日〕10:00-18:00
〔1日〕 休業
〔2日〕 8:00-19:00
〔3日〕 10:00-20:00

※開催当日リポートも公開予定です。そちらもお楽しみに!

新東北みやげコンテストで受賞した素晴らしい商品が勢ぞろい
会場でお待ちしております!

     

よいみせ│くまの餅店

明治時代には珍しかった、店舗をもつ餅屋さん

創業明治30(1897)年の老舗「くまの餅店」創業以来、地域の人たちとのつながりを大切にしながら商いを続けてきた「まちのお餅屋さん」です

店主の熊野美徳さんは、その創業について「うちはもともと宮町で、爺さんの代まで代々宮大工だったんです。宮大工って神社とかお寺とか、餅の需要があるところだから、『女房に餅屋でもやらせるか』っていうので、曾爺さんが餅屋を始めたんですよ」と教えてくれました。

明治の時代、餅屋が店舗を構えるのはとても稀なことだったそう。というのも、農家が秋の新米を収穫したら、お客さまの家の前で米を炊き、餅つきを行っていたのが一般的だったからです。そんな当時としては画期的な営業形態をとっていた「くまの餅店」。いつの時代も近隣のお客さまを大切にしてきました。第二次大戦中は物資がなく、一時休止して期間もあったそうですが、お客さまからの要望があれば必ず応じてきたといいます。熊野さんは「昔は、餅はおめでたいときにしか食べられなかったですからね。当時砂糖は貴重だったけれど、赤字でもお客さまのために…ってやってきたみたいです」と話します。

原料にもこだわりを

お客さまと同様に大切にしてきたのは、使用する原材料。もち米は、食味最高クラスを誇る宮城県産の「みやこがねもち」を使用しています。「ずっと同じものばかり使っていたのでほかのものとの違いが分かってなかったんです。でも、東日本大震災の風評被害が酷かった時、毎年お歳暮で餅を買ってくれるお得意さまがね、『宮城の米は使いたくない。別の産地のものを使ってくれ』とおっしゃって。それで別の土地の、品種の違う米を使ったら、出来が違う。みやこがねもちは固まるのに時間がかかるんですよ。だから、重ね餅なんかを作るのに手間がかかるんですね、崩れやすいから。食べていつまでもやわらかいとか歯ごたえがちょうどいいのはそういうことなんだ、とその時にはっきり分かりました。別の産地の米は、重ね餅は作りやすかったけど、すぐに固くなってしまってね。やっぱり食べておいしいのは宮城の米だなと思いましたね」。

醤油も地元のものを使用。「宮町には、阿部幸さんと鈴憲さんっていう醤油屋さんがあるんですよ。やっぱり醤油って昔から食べ慣れたものがおいしいじゃないですか。だから、うちは地元の醤油にこだわって使っています。あと、『ずんだ餅』には、鶴岡産のだだちゃ豆。だだちゃ豆が出始めのころは宮城県でも『だだちゃ豆』って売られていたんですけど、そのうち鶴岡産のものしかその名前を名乗れなくなっちゃった。元の種は一緒なのに、仙台のは『仙台茶豆』になっちゃった。でも『だだちゃ豆』の方が有名になってしまったので、鶴岡から取り寄せでいるんです」と、熊野さん。

老舗餅屋の「これから」

創業から110年。これからの展望を聞きました。「昔は、家を建てるときの上棟式なんかで撒き餅ってあったけど、今はマンションとか建売で餅屋が絡むことが少なくなっていますよね。餅屋も年々少なくなってしまって、餅屋組合も解散したんです。そんな状態だから、頑張って餅屋を残していかないと…。コロナのとき、デパートや催しの取引がすごく減ってしまったけれど、地元のお客さんが買い支えてくれた。だからね、これからも今ある商品を磨いて、お客さんを大事にしていきたいですよね」。
最近では、SNSなどで知ったという若いお客さまも増えているという「くまの餅店」。2023年には、ご近所ではありますが、移転による新改装オープンも予定しています。長く愛されてきた極上のお餅を、ぜひみなさんも味わってみては?

くまの餅店

所在地:〒980-0003 仙台市青葉区小田原4-4-12
営業時間:8:00-16:00
定休日:日曜・祝日(春・秋彼岸、こどもの日、お盆、年末は開店しています)
TEL:022-222-3863
FAX:022-222-3862
URL:http://www.mochiya.com/