有限会社玉谷製麺所
「だだちゃ豆パスタ」
有限会社玉谷製麺所は仙台市産業振興事業団が主催する、新東北みやげコンテスト受賞企業です。
第5回「だだちゃ豆パスタ」優秀賞受賞
昭和24年(1949)、月山のふもとで産声をあげた「有限会社玉谷製麺所」。創業から60年、そばの栽培が盛んな山形で、そばやうどんを丁寧に作り続けています。
そんな老舗の製麺所で2018年に誕生したのが、「だだちゃ豆パスタ」です。
開発を担当した玉谷貴子さんは「弊社は、製麺所としてこれまでにもいろいろなパスタを作っているのですが、この『だだちゃ豆パスタ』の前年にさくらんぼのパスタを作ったところ、地元のみなさんにすごく喜ばれたんです。だったら、山形のものを使ったほかのものを作れたらいいなって」と、開発のきっかけを話してくれました。
食材に選んだのは、庄内地方で作られている在来種のだだちゃ豆。
「ただパスタを作るだけじゃなく、プラスアルファがほしいと思って。山形は米どころでもあるので、玄米を使ったパスタにしようと。それだったら、小麦アレルギーのある人も食べられる!っていう発想だったんです」と話します。
写真:玉谷製麺所の工場。きわめて高い技術力は、業界内でも評判です
小麦を使ったパスタの製造はお手の物ですが、玄米を原料にするパスタは、いつもの勝手とは全く違いました。
写真:玉谷製麺所の工場内。そばは一晩、パスタはその2倍の時間をかけて、じっくり低温乾燥させます。この丁寧な仕事こそが、玉谷製麺所の麺のおいしさの秘密
「まず、パスタの形にならないんです。形が壊れてしまったり、そもそもおいしくない。それで、山形県の加工品の研究センターに相談して、8ヶ月くらいかけて試行錯誤を重ねました」。解決のヒントをうかがうと「うーん。これって企業秘密になるのかしら・・・」と笑いながらも、「米とだだちゃ豆の粉を混ぜるときに湯捏ねしたんです。そうしたら、形も美しく、だだちゃ豆の素材力が引きだせて、すごくおいしくなったんですよ」と教えてくれました。
写真:かわいらしい形も、玉谷製麺所のパスタの特徴です
さやと2粒の豆のかわいらしいパスタの形状も、玉谷さんのアイディアです。実は、山形在来作物案内人でもある玉谷さん。この山形在来作物案内人というのは、山形大学農学部の講座を受け、在来作物やその知識を活用する人材のこと。玉谷さんは「山形に残るだだちゃ豆も、在来作物として残していかなくてはいけないもののひとつです。今回のパスタを作るにあたっては、おいしさだけではなく形もしっかり受け継いでいきたいと思いました。なのでまずはさやの形。あとは、だだちゃ豆の最高品質である“さやの中の2粒の豆”。それでさやの形と豆2つの形になったんです」と話します。
このユニークな形を生み出す金型は、イタリア製。100kg以上の圧力をかけて生地を押し出し、だだちゃ豆パスタが成型されます。
だだちゃ豆がたっぷりなので、「パスタを茹でている最中にだだちゃ豆を茹でているような香りがするんですよ。サラダにしたり、素揚げにして召し上がっていただくのがおすすめです」と、玉谷さん。
写真:だだちゃ豆パスタアレンジレシピ。「だだちゃ豆とエビのペペロンチーノ」。かために茹でただだちゃ豆パスタに、玉谷製麺所オリジナルの「ガーリックソース」を絡めた一品。ソースは、オンラインショップで購入できます。
玉谷製麺所でこうしたユニークなパスタが誕生したのは、東日本大震災を機に、東北芸術工科大学のプロジェクトに参加したのがきっかけでした。
「東北の元気を世界に届けたい、と生まれたのが雪の結晶パスタ。豪雪地帯であるこの地域で、『雪が食べられたらいいのにね』なんていう話から生まれたんです」。
その後、大ヒットとなったのが「サクラパスタ」。玉谷さんは「サクラパスタは、冬場に売れるんです。どうやら縁起物、合格祈願として使っていただいているようです。そして、日本のシンボルでもある桜のパスタを作れるのは、世界中見渡しても弊社だけ。ということで、今はシンガポールや韓国、アメリカにも輸出しているんですよ」。
写真:サクラパスタアレンジレシピ「合格サラダ」。好きな野菜に茹でたサクラパスタをトッピング。鮮やかな色合いの人参ドレッシングでいただけば、明るい春を予感できるハッピーな一皿に
鮮やかでかわいらしいピンク色は、ビーツによるもの。「添加物は使いたくないし、でも天然のものでピンク色が出せなくて困ったなぁっていうときに、農家さんから『不揃いでどうしようもないビーツを、なんとかできないか』とご相談いただいて。今では山形県産で追いつかないところまできていて、国産のビーツも使用しています。今、山形でも生産量拡大しているので、そのうち山形県産だけで賄えるようになると期待しています」と話します。
写真:大ヒット商品となった「サクラパスタ」とニューフェイスの「だだちゃ豆パスタ」「ローズパスタ」。今後東北みやげとして多くの人たちに愛される存在になりそうです
最新の商品は、ハートの形がかわいらしい「ローズパスタ」です。そしてこの商品の誕生も、地元農家からの相談がきっかけでした。
「無農薬栽培で育てている農家さんでバラのソースを作ったりしていたのですが、なかなか販路が広がらないということで。『パスタにできない?』という相談がきて、やってみたんです。口に入れてすぐにバラの香りがする香料入りのものはありますが、このパスタはしばらくしてからふわっと薫るんですよ」。
写真:ローズパスタをかために茹でて、バニラアイスクリームのトッピングに。ふんわりバラが香る、ちょっと贅沢なデザートに変身!
この「ローズパスタ」は村山市のバックアップも受けています。村山市が「東京2020」でブルガリアのホストタウンとなっていることから、「ブルガリアの人たちにも食べてもらおう!」という話もあるのだとか。パスタもバラも、ハートがかわいいのも世界共通ですから、きっと気に入ってもらえることでしょう。
写真:玉谷さんおすすめの「素揚げ」にして軽く塩とブラックペッパーを振りかけます。香ばしくて、ビールのおつまみにもピッタリ!
次々とユニークなパスタを生み出す玉谷製麺所。これから先、どんな商品を生み出していくのでしょうか。玉谷さんは「東北の方々に支えられながらやってきた製麺所ですので、東北の素材を使ったパスタを考案中です。今は畑のものを使っているけれど、今度は海のもの。東北は広くて、おいしいものがたくさんあるので、考えるだけでワクワクするんですよね」と、楽しそうに話します。
「このパスタは、私たちができることがいろいろあると気づかせてくれたんです。それに、『玉谷製麺所にこんなのがあったらいいね』と夢を語ってくれるお客様が増えて。夢を託してもらえるようになったのはすごく素敵なことだと思うんです」。
東北の人たちのさまざまな想いを形にしたパスタは、これからも日本、そして世界に「おいしい!」を届けていくことでしょう。
有限会社玉谷製麺所
住所:〒990-0701 山形県西村山郡西川町睦合甲242
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