株式会社木の屋石巻水産
・やわらか小女子煮
・漢方和牛大和煮
・宮城県産牡蠣の燻製油漬け
株式会社木の屋石巻水産は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。
地元石巻を中心とした海産物を加工し、缶詰にして日本全国に宮城の海の幸を届けています。
第2回「やわらか小女子煮」優秀賞
※こちらは現在終売となっております。
第3回「漢方和牛大和煮」入賞
※こちらは現在終売となっております。
第5回「宮城県産 牡蠣の燻製油漬け」入賞
※こちらは現在終売となっております。
第3回「漢方和牛大和煮」入賞
※こちらは現在終売となっております。
第5回「宮城県産 牡蠣の燻製油漬け」入賞
3つの漁港を有する石巻市は、日本の中でも「魚のおいしいまち」として知られています。その石巻では、当然のことながら水産加工業も盛ん。そのひとつである、株式会社木の屋石巻水産は、1957年の創業。港町で、美味しい缶詰をコツコツとつくり、人々の食卓に届けてきました。
そんな木の屋の看板商品は、「鯨の大和煮」。赤いボディに一目で柔らかいと分かる鯨の大和煮の写真がプリントされた缶詰は、木の屋のシンボリックな存在。震災前に巨大な看板になっていたこともあるので、覚えている人も多いのではないでしょうか。
木の屋の本社と工場は、震災当時海沿いにあったため、甚大な被害を受けました。当時を振り返って、工場長代理の松友倫人さんは「震災直後は売る商品がなくて。缶詰倉庫も津波でやられ、普通では販売できないんですけど、『大丈夫な商品を販売してほしい』という動きが、お客様発信であったんですね。それがだんだん広がっていって、メディアでも取り上げられて。本来なら売り物にならない缶詰を義援金と交換という形で現金に換えることができたんですよ。だから、工場は稼動してなかったけれど、現金を得て社員に給料代わりに配ることができたんです。それもあって、震災前の社員がそれなりに会社に残ることができました。本当に感謝しかありません」。
写真:「木の屋石巻水産」ウェブサイト スクリーンショット
ここ最近は、お客様と双方向のコミュニケーションにも力を入れ始めました。
「言い方は乱暴かもしれませんが、以前はオンラインショップも“売店をネットで表示しているだけ”の状態でした。木の屋を知っているお客様にはいいけれど、知らないお客様に届けることがなかなか難しかった。震災からの復興、そしてその先のことを考えて業務を再編し、その中の一環としてお客様とのコミュニケーションを増やそう、とウェブサイトもリニューアルしました」。
新しくなったウェブサイトの中には、木の屋石巻水産の商品の裏側にあるストーリーや、そこで働く人たちの想いを伺うことができます。
写真:人気商品「金華さばの味噌煮」は、脂の乗った金華さばを人の目でも選別。缶の中にさばと調味料を加えた後に加熱調理します
松友さんは「私は出身が静岡で、東京から転職で石巻に来たんです。『いしのまき』と読めなくて、『いしまき』だと思っていたくらい、縁のない場所でした。でも商品を取り寄せて食べてみたら『なんだこれは!』って衝撃を受けて。それで転職を決めちゃったほど(笑)。石巻は、木の屋の商品だけじゃなくて食、そして観光も素晴らしい。でも、地元の人にはそれが当たり前で、僕が『おいしい!』と言っても『あたりまえだっちゃ』って返ってくる(笑)よそ者だからこそ、『食べてもらうまでが大事』と思っていて、『食べたらわかる』を『食べてみたい』につなげることが必要なのだと思いました。その中で変えていったひとつがホームページで、見てくださった方が『きれいですね』とか『木の屋がどういうものをつくっているのか分かった』とおっしゃってくださるのがうれしくて」と笑顔をほころばせます。
写真:「木の屋石巻水産」美里工場に併設されたショップ。商品ラインナップをみているだけでも楽しい
第2回新東北みやげコンテスト優秀賞に輝いた「やわらか小女子煮」は、震災後に生まれた商品のひとつ。「三陸では、小女子(こうなご)が取れて、それを煮干にしてから佃煮にするんです。でも、せっかく新鮮な原料なんだから・・・ということで、佃煮を鮮魚からつくった。すると、食感も柔らかく、にがみやえぐみも取れたんです」。
他社と同じことをやってしまうと価格競争になってしまうところを、自社の持つリソースを最大限に活用しながらオンリーワンを開発。小さな子どもからお年寄りまで支持される商品となりました。
※やわらか小女子佃煮(白胡麻)は現在終売となっております。
第3回新東北みやげコンテスト入賞の「漢方和牛大和煮」、第5回新東北みやげコンテスト入賞の「宮城県産 牡蠣の燻製油漬け」も震災後に生まれた商品です。
「栗原市にある関村農村と営業がご縁をいただいて、『一緒に何かできないか』と商品開発が始まりました。弊社は水産のイメージが強いとは思うのですが、もともとのメインは鯨です。鯨も牛も大型の哺乳類で、大きなブロックをスライサーでスライスして下茹でして缶に入れて・・・という、鯨のつくり方がそのまま和牛になったんですよ」と、松友さん。
※漢方和牛大和煮は現在終売となっております。
「牡蠣の燻製油漬け」は、一度燻製してから油に漬けたもの。スモーキーな味わいで、お酒のおつまみにぴったりです。松友さんは、「震災前は水煮を出していました。が、社内に燻製機があるので、自分たちでつくってみようということになったんです。宮城の牡蠣の美味しさを伝えるため、牡蠣屋さんから美味しいものだけを買って。価格面で高くなりすぎないように、あえて粒をそろえないでつくりました」と教えてくれました。
写真:新東北みやげコンテスト受賞商品3品は、お皿に並べるだけで立派なおつまみに。
パントリーに備えておけば、急なお客様のときに重宝しそうです
震災をきっかけに、大きく変わった石巻。「震災からの復旧が目標なのではなく、永続的に営業していけるようにしなくてはいけません。復旧しても働く人がいなかったら会社は回らないので、みんながそこで働きたいと思う会社にすることも大切だと思います。そして、『うちだけが儲かればいい』ではなく、地元で売り上げを立てて、利益を回せる会社でありたいと思うのです」。
水産のまち・石巻で、木の屋石巻水産はこれからも地域のみなさんと一緒に成長していくことでしょう。
株式会社木の屋石巻水産
石巻本社工場
〒986-0022 宮城県石巻市魚町1-11-4
TEL:0225-98-8894 FAX:0225-98-8896
美里工場
〒989-4206 宮城県遠田郡美里町二郷字南八丁2-2
TEL:0229-29-9429 FAX:0229-29-9438
直売所(美里工場1階)
営業時間 10:00-17:00
定休日 お盆・年末年始
工場見学・直売所 お問い合わせ
TEL:0229-87-5593
撮影/堀田 祐介
東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャルのほか、広告、雑誌、ウェブなど幅広く手掛けている。