後編|マッチ箱マガジンで巡る松島さんぽ

2017年9月20日

マッチ箱松島_05

「松島こうれん本舗」で心を和ませた後は、「比翼塚」へ。「松島こうれん」の名前のルーツは「紅連」という実在した女性なのです。

|比翼塚

マッチ箱松島02_02_re
ここは、秋田・象潟(きさかた)町(現にかほ市)から松島へ嫁ぎ、「松島こうれん」を生み出した谷(のちの紅蓮尼)と、姿を見ずとも彼女が愛した夫・小太郎が眠る場所です。

|ひとりの人を想い続けた、切なくも美しい恋のお話

マッチ箱松島02_01_re
その昔、松島に「小太郎」と名付けられた、観音堂に植えた梅の若木をこよなく愛する少年がいたそうです。15歳になった頃、父の掃部(かもん)は伊勢参りの道すがら秋田・象潟(きさかた)の商人と親しい仲に。これからも親戚付き合いをしたいと、商人の娘・谷と小太郎の結婚を約束するのでした。 しかし、掃部が戻ると小太郎は病に倒れ帰らぬ人に。ところが谷は、「今日から命の終わるまで、ひたすら御仏に伝えます」と松島へ嫁ぎます。その後、谷は尼となり「紅蓮」と改名。小太郎が愛した「軒端の梅」の横に立てられた比翼塚に、ふたり静かに眠っているのです。

|恋する2人の背中を押してくれる場所に

マッチ箱松島02_03_re
塚の近くには、紅蓮が亡き夫への愛を詠った2首の和歌が掲示されている

「結ばれなかった2人の恋物語は悲しいけれど、最後にこの塚で一緒になれたことがうれしいですよね。悲恋ばかりが注目されるんじゃなくて、紅蓮さんたちが恋する人たちの背中を押してくれるような、そんなスポットにもなったらいいなあ」とジュンコさん。


比翼塚(ひよくづか)

住所:宮城郡松島町松島字町内89
料金:見学無料
問合せ:022-354-2320(瑞巌寺)

マッチ箱松島_比翼塚


マッチ箱松島_ライン

イラストレーター・佐藤ジュンコさんと巡る松島さんぽも終盤へ。 最後は、宮城のお酒を数多く揃える酒屋「むとう屋」へ向かいます。

|むとう屋

マッチ箱松島02_05_re
立派な店構えが目を引く「むとう屋」。宮城の地酒を揃え、全国の酒好きにこよなく愛される酒屋です。お酒が大好きなジュンコさんも常連とのこと。気さくで明るい人柄の専務・佐々木憲作さんにお話を伺いました。

|「宮城の地酒」に、とことんこだわる

マッチ箱松島02_04_re
ジュンコ:むとう屋さんに置いている日本酒は、全部宮城のお酒なんですよね?
佐々木さん:はい、そこはこだわってます! お客様にはお酒を通して、宮城の蔵元にも興味を持ってもらえたらうれしいですね。お酒の味はもちろんだけど、蔵元のストーリーも伝えたい。そうすると、お酒がよりおいしく感じられると思うんです。
ジュンコ:そんなお話を聞くと印象にも残るし、もっといろんなことを教えてもらいたくなりますね。お酒が飲みたくなってきちゃいました!

|お気に入りの一本に出会う楽しみがここに

マッチ箱松島02_06_re
たくさんの銘柄が並ぶ中、「むとう屋」オリジナルの日本酒「松島の風」も並ぶ

ジュンコ:佐々木さんが選んだお酒が届く、「専務セット」を楽しみにしている方も多いでしょうね。
佐々木さん:「専務セット」は一升瓶が6本セットで税込10,000円。実際に私が飲んで気に入ったものを選んでお送りしています。
ジュンコ:佐々木さんのおすすめなら、味は間違いないでしょうね。これをきっかけにお店のファンになる人や蔵元にハマる人も多いんじゃないですか?
佐々木さん:たまに「あんたのせいで日本酒にハマった」っておっしゃる方がいるんです。「はい!?」って言いますけど、内心はうれしくてテンション上がりまくりです(笑)。

|お酒の味は一つひとつノートに記録して

マッチ箱松島02_07_re
ジュンコ:お店のお酒の味は全部覚えてるんですか?
佐々木さん:そうですね、全部覚えています。自分で身銭を切ったほうが覚えると考えて、入社して3、4年はすごいお金を使いましたね。瓶の大きさの違いや、冷え具合によっても味が変わるんですよ。それも全部ノートにメモをしていたんですけど、震災の津波で流されちゃって…。でも、全部覚えているからお客様に「これはどんな味なの?」って聞かれても大丈夫なんです。そういう語りができないと、お酒の良さは伝えられないです。

むとう屋

宮城県内の地酒をはじめ酒器なども取揃える酒屋。 気さくなスタッフが気軽に対応してくれる。 お土産やお祝い事の品を探すスポットとしてもぴったり。 ネットから通販も可能。

住所:宮城郡松島町松島字普賢堂23
営業時間:9:00~18:00
定休日:無休
電話番号:022-354-3155
URL: http://www.mutouya.jp

マッチ箱松島02_09

マッチ箱松島_ライン
マッチ箱松島02_08_re この後、佐々木さんおすすめのラーメン屋『中華そば うちみ』で冷やし中華を食べたり、焼きたてのお煎餅を食べなら大通りを歩いたりしながら気になる店舗にも足を延ばしたジュンコさん。 訪ねた先には、たくさんの人々の笑顔がありました。

「マッチ箱マガジンで巡る松島は、笑顔に出会う旅ですね」と語るジュンコさん。

きっとあなたも松島で、忘れられない笑顔に出会えるはず。 旅のお供「マッチ箱マガジン」に思い出を重ねて、自分だけの特別な地図を作ってみませんか?

フリーライター 及川 恵子

1982年気仙沼生まれ。石巻育ち、仙台在住。大学で建築を学んだのち、出版社勤務を経てフリーライターへ。グルメ取材、インタビュー、レビュー、レポート、なんでもお任せあれ。知ること、書くこと、人に会うことが好きです。それと、音楽と旅と猫も好き。
mail:keikooikawa[at]me.com

及川プロフィール

イラストレーター 佐藤ジュンコ

福島県出身、仙台市在住。書店勤務時代に不定期発行されたフリーペーパー「月 刊佐藤純子」が評判を呼びイラストレーターの道へ。マッチ箱マガジンでは「松 島」「白石」「仙台時間(21 時~24 時)」を担当。著書に「月刊佐藤純子」(2015年)、「佐藤ジュンコのひとり飯な日々(コーヒーと一冊)」(2015 年)、「仕事場のちょっと奥までよろしいですか?」(2017 年)など。

佐藤ジュンコさん_PROFILE