MOYANE協議会
MOYANE「ぶどう飴」

2023年10月23日

MOYANE協議会は、仙台市産業振興事業団が主催する
第9回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

デザイン特別賞 MOYANE「ぶどう飴」




りおかっぱりいいよ」をテーマに、商品を通じて岩手県盛岡市の魅力を伝える「モヤーネ」。
盛岡を代表するような老舗の商品を若手デザイナーがリブランディングしてパッケージを改良するというプロジェクトです。そのひとつとして選ばれたのが、明治42年創業の老舗和菓子店「御菓子司 山善」の「ぶどう飴」。
店舗の裏庭に植えられた山ぶどうの果汁を使用した(※)「ぶどう飴」は、山善の昔からの看板商品のひとつ。
※自社採取で足りない分は、岩手県産の山ぶどうで対応



写真:お父さまが4代目にあたるという、奥堂さん

山善の広報担当の奥堂和香子さんは「ぶどう飴は昔からある商品で、大正時代にはすでにあったことがわかっています。ただ、ここ最近なぜか売り上げが伸びずにいて、どうしようかと考えていたところでした。絶対にお店からはなくせない商品であって、若い方にも召し上がっていただきたかったので、お声がけをいただいたときに『ぜひ、このぶどう飴をリブランディングしてください』とお願いしたんですよ」と話します。


写真:独立したその年に、この大役を任されたという松前さん

デザインを担当したのは、若干24歳の松前哲さん。
「僕も岩手の出身で、家族が郷土菓子好きだったことから、ぶどう飴は知っていたんです。今回のプロジェクトの中にぶどう飴があったので、『やりたいです』と手を挙げました」と話します。しかし「手を挙げたはいいけれど、『僕みたいな若手でいいのかな』というプレッシャーも感じていました。でも、奥堂さんからもいろいろ提案していただいて、割とすんなりと進めていくことができました」と、当時を振り返ります。



写真:ぶどうの房、粒を想起させるかわいらしいパッケージに仕上がりました

出来上がったデザインは、ぶどうの房を想起させるコロッとしたかわいらしいパッケージ。山ぶどうの色合いを、グラデーションをつけた美しい紫色で表現しました。持ち手の茶色い紐は、ぶどうの蔓のよう。おみやげ売り場でもこの持ち手をひょいとつまんで、買い物かごにいれるお客さまも多いそうで、まさに狙った通りの展開となっているようです。


写真:山善の店舗裏庭で栽培している山ぶどう。撮影時はまさに収穫の時期でたわわに実っていました

松前さんは「山善さんの裏庭に山ぶどうが植えてあるんです。中庭に生えているときいたので実際に見せていただくとすごく立派で。ぶどう狩りの感覚で、陳列しているところから取れたら楽しいかなと思ってこの形にしました。最初は、イラストでぶどうを表現しようとしていたのですが、形で表現しても楽しいかな、と。持ち手の部分は、奥堂さんのアイデアなんですよ」と教えてくれました。



写真:初めての共同作業は大成功でした


このデザイン案を見た奥堂さんは「一目ぼれしました。提出していただいたデザイン案は何点かあったのですが『これだ!』と思いました。若い人向けにも行けるデザインでしたし、なによりかわいくてワクワクする感じが伝わってきたんです」。

新しいパッケージに生まれ変わった「ぶどう飴」は、モヤーネの商品のひとつとして、いろいろなところで販売されることに。奥堂さんは「コンビニや駅の売店、あとは『盛岡手づくり村』という場所があるのですが、そこで置いていただいているので、小学生、中学生のお客さまも買ってくれるんです」と話します。「次の世代に…」という奥堂さんの願いが叶いました。


写真:この夏のおみやげ需要の急伸を受け、増産することになったそう。丁寧にこしらえます


甘酸っぱく、夏場はねっとりで、冬は固め。季節によって食感が変わるのも、このぶどう飴の特徴。パッケージデザインが変わり、規制のない夏休みとなったためか「お盆期間でおみやげ需要が増えました。売り切れになってしまうところもあって、普通夏場にはぶどう飴はつくらないのですが、急遽工場を稼働させることになりました」とうれしい悲鳴も。


写真:ぶどう飴を細かく刻んで、バニラアイスのトッピングに。食感も楽しめる極上のデザートに

盛岡周辺でないと購入できないということもあり、おみやげ需要も高いよう。
松前さんは「デザインは、売上の改善を助けるひとつの手段になると思います。でも、こうして実際に売り切れたお話を聞いて、売り上げに直結してくるとうれしいし、力になれたんじゃないかなと思います」と話します。


写真:さらに、八戸の老舗和菓子店「丸美屋」の「雪中果」もトッピング。贅沢な一品になりました



古くから伝わるものを大切に守っていく盛岡の地で、新しいアイデアを加えていきながら、この先も老舗の味は続いていくのです。


老舗菓子店「山善」で生まれ育った奥堂和香子さん、岩手を拠点に活動する若手デザイナー松前哲さんの物語は、Yahoo!ニュースでもご紹介しています。是非ご覧ください。

若い人につなげていくため、老舗ができること/御菓子司 山善・奥堂和香子さん

“岩手らしさ”を追求するデザインを/SUBTLE DESIGN・松前哲さん


御菓子司 山善

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TEL 019‒622‒2618(代表)
URL https://okashi-yamazen.com/


MOYANE協議会

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TEL 019-604-5020
URL https://moyane.jp/




取材/2023年8月