有限会社弘前こぎん研究所
「津軽こぎん刺し ぽち袋」
有限会社弘前こぎん研究所は、仙台市産業振興事業団が主催する
第8回 新東北みやげコンテストの受賞企業です。
写真:弘前こぎん研究所に保存されている、こぎん刺しの着物。藩の財政難に伴う倹約令のもと、農民は麻の着物しか着用できず、保温と補強のためにこぎん刺しが生み出されたといわれています
青森県、津軽地方の伝統工芸品である「こぎん刺し」。
かつて、麻の着物しか着ることが許されなかった農民たちが、補強と保温のために木綿糸で“刺し”を入れたのが始まりの手しごと。「もどこ」と呼ばれる40種類程度の基礎の刺しを組み合わせ、何百、何千ものバリエーションを生み出し、最近ではその素朴な美しさから、ファッションアイテムとしても注目を集めています。
写真:右が「うろこ」の刺し模様
今でも、ひと針ひと針丁寧につくられる「こぎん刺し」が、何度でも使えるかわいらしいぽち袋になりました。「津軽こぎん刺し ぽち袋」の図柄は、「はなこ」「ふくべ」「うろこ」の3種。
写真:右が「はなこ」の刺し模様
「はなこ」は花柄で、この地方ではかわいらしいものに「こ」をつけることから「はなこ」になったそう。「ふくべ」は津軽弁で瓢箪のことで、末広がりの縁起物。「うろこ」も連続することから、縁起物として人気の図柄なのだそう。
写真:右は、「ふくべ」の刺し模様
この「津軽こぎん刺し ぽち袋」をつくったのは、青森県弘前市にある「弘前こぎん研究所」。先祖から預かった「こぎん刺し」という伝統工芸を、大事に受け継ぎ、正しく伝えていくことを社会的使命とする民間企業です。
写真:弘前こぎん研究所のみなさん。明るい笑顔で迎え入れてくれました
スタッフの木村由利香さんに、開発のきっかけを伺うと「このぽち袋は、雑談の中で生まれたんです。『端切れがあるから、小さいものつくりたいよね』『そういえば、布の封筒ってあるよね』『じゃあ、もうちょっと小さくしてぽち袋とかいいんじゃない』みたいな感じでした。そこからサンプルの作成に入り、1ヶ月くらいでできたんです」と教えてくれました。
コロナ禍で観光客が激減していた時期でもあり、比較的ゆったりと製作の時間を取ることができたのも幸いでした。
写真:スタッフの木村さん。かつて大阪のバッグメーカーで企画の仕事をしていたのだそう
弘前こぎん研究所では、スタッフももちろんこぎんを刺しますが、家庭内職で協力してくれる方が100名ほどいるのだとか。木村さんは、「弘前は、仕事と暮らしが密接しているなぁ、と感じます。協力してくれている刺し子さんは、農業をやっている方が多いんですけど、田んぼやりんごが忙しくなると来なくなっちゃう(笑)。そして、りんごの収穫が終わるころになると、流通に出せない規格外のものを差し入れしてくれたりして。なんかかわいいなって思うんですよね」と話します。
写真:布の目に沿って、ひと針ひと針刺していきます
新東北みやげコンテストのことを知ったのは、商工会議所からのお知らせがきっかけだったそう。繰り返し使うことができるサステナビリティとデザインの秀逸さ、手に取りやすい価格もあって、見事優秀賞を受賞。
写真:弘前こぎん研究所には、ホームスパン当時からの機織り機があり、今も帯をつくるときに稼働しているそう
木村さんは「初めての出品で、受賞できてよかったです。ちょうど、明るい話題がない時期だったので、励みになりました。出入りしてくださっている刺し手の方や加工の方に報告するとみなさん喜んでくれたので、うれしかったです。みなさんのモチベーションになりました」と、笑顔をほころばせます。さらに、受賞が11月だったこともあって、「メディアなどで取り上げていただいたことで、百貨店さんや個人のお客さまからのお問合せをいただき、たくさんの方のお手元に届けることができました」と、木村さん。
写真:久しぶりに会う、かわいいあの子に、こぎん刺しのぽち袋でお小遣いを
ひと針ひと針、心を込めて。
かつて、津軽の女性たちが「少しでも温かく、少しでも丈夫なものを」と、心を尽くしてつくりあげたこぎん刺し。
そのかわいらしいこぎん刺しのぽち袋で、あなたの大切なあの子を笑顔にしませんか?
こぎん刺しと木村さんの物語は、Yahoo!ニュースでもご紹介しています。ぜひご覧ください。
有限会社弘前こぎん研究所
所在地 〒036-8126 青森県弘前市在府町61
TEL 0172-32-0595
URL https://tsugaru-kogin.jp/