こんにちは、WEB解析士・ブランドマネージャーの三浦 哲志です。
新型コロナウィルスの影響もあり非対面でのコミュニケーションが当たり前になっていくなかで、仙台市中小企業応援窓口ではネットショップを立ち上げようとされる事業者さんの相談が増えてきました。では、実際にネットショップを利用して購入する方々はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?今回はデータをもとにネットショップ利用者の傾向を見ていきましょう。
日本人の80%がネットを利用する時代
まず、どのくらいの人がインターネットを利用してるのかについてデータを見ていきましょう。
総務省の統計によると、2018年の日本人のインターネット利用率(個人)は約80%となっており、実に1億人以上の人達がネットを利用しています。
引用:総務省令和元年年情報通信白書
ネットを利用するのは首都圏が中心なのでは?と思われる方も少なくないと思います。ここで都道府県別の利用率を見てみましょう。東北でも平均して70%以上の方々がネットを利用しています。宮城県においては8割近い方々が利用している状況です。
引用:総務省令和元年年情報通信白書>
利用端末はスマホがトップ。シニアもネットを使う時代に
次に、インターネットの利用に使われている端末です。2016年まではパソコンが多かったのですが、2017年からはスマートフォンの利用者が多くなってきました。
インターネット利用端末の種類
引用:総務省令和元年年情報通信白書
また、年代別の利用率を見ると、13歳~59歳までは各階層で90%を超えています。依然としてインターネット利用の中心が若い世代であるのは変わりませんが、60~69歳で70%以上、70~79歳でも50%を超えており、もはや若者たちの世代だけでないことが分かります。
世帯年収別では、400万円以上になると80%を超える利用率となっています。
引用:総務省令和元年年情報通信白書
ECの市場規模は年々拡大
インターネットが多くの人に利用されていることがデータを通してお分かりいただけたと思います。ここからは今回のテーマであるネットを利用して購買する人達がどの程度いらっしゃるのかを市場規模をもとに見ていきます。
電子商取引(EC)市場は、2018年の時点で約18兆円となっており、年々右肩上がりに拡大しています。更に分野別でみると、物販系商取引の規模は9兆3000億円となっており、こちらも年々増加傾向にあります。ちなみに2018年の東北地域の百貨店・スーパー販売額(全店)は1兆2,265億円ですので、東北全地域の小売市場の約7.5倍の市場感があるということになります。
引用:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
引用:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
ECによって取引エリアが海外まで拡大
2018年時点で、日本、アメリカ、中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加傾向にあります。
特に中国は、日本からの越境EC購入額が1兆5,345億円(前年比18.2%増)、アメリカからが1兆7,278億円(前年比18.5%増)となっており、中国消費者による越境EC購入額の拡大が目立っています。現在、越境ECを検討している方は日本に対してどこの国からの需要が大きいのか、自社商材は現地の文化や商習慣に合うのかなどを吟味する必要があります。
また、アメリカに注目してみると、ネットショップが小売業界へ与える影響がかなり大きいものとなってきています。
下のグラフはサンクスギビングからサイバーマンデーまでの期間にショッピングをした過去3年間の人口推移ですが、前年対比で約14%増えて1.896憶人と過去最高記録となっています。また内訳としては、1.240億人が実店舗のみ、1.422憶人がオンラインのみ、そして0.757憶人がその両方で買い物しており、オンラインでの買い物客が実店舗の買い物客よりも多いことがわかります。
引用:流通視察ドットコム(2019年米国小売総括&年末商戦速報)
また、2019年の5日間のホリデー期間の一人当たり平均支出額は前年から約16%増えて361.90ドルとなっています。
そのうち実店舗とオンラインの両方で買い物をした人の平均支出額は366.79ドルということで、どちらかのみでの購入額平均よりも約25%多く支出したという結果も出ており、ネットショップが個人の支出にも影響を与えていることが分かります。
引用:流通視察ドットコム(2019年米国小売総括&年末商戦速報)
しかし、ネットショップが与える影響は良い影響だけではありません。2019年において小売店の閉鎖は9,271店となっており、2018年の閉店数(5,861店舗)を大きく上回っています。アメリカの小売店舗はネット通販によって重大な危機に直面しています。
米国において2019年に100店舗以上を閉鎖した主な小売企業
引用:流通視察ドットコム(2019年米国小売総括&年末商戦速報)
アメリカの例をご紹介してきましたが、当然のことながら日本にも同様の現象が起こっています。実店舗はこのままいくと窮地に追い込まれる可能性が非常に高い状況にあります。
フリマアプリなどのCtoC取引も盛んに
これまではBtoCとBtoBの市場を見てまいりましたが、最近流行になっているメルカリを中心としたフリマアプリの存在も無視できません。
フリマアプリの市場規模は2018年で6392憶円になっており、2016年の3052憶円からたった2年で約2倍の市場になっております。
引用:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
個人間(CtoC)取引は加速傾向にあるため、今後ネットショップ全体のあり方も変わってくるかもしれません。ITの進化により、消費者の利便性は向上していますが、CtoC取引の台頭のように取引形態やサービス内容は多様化してきており、事業者には以前よりも増して知識やスキルが求められています。
まとめ
今回はインターネット利用における導入状況からネットショップが世の中に与える影響までをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。短くまとめるとこのようになります。
- 日本人の80%がインターネットを利用する時代。地域、年代を問わず多くの人が活用している。
- EC市場は拡大傾向。海外まで販売エリアが拡がるなどメリットが多い(一方で、実店舗のあり方が問われている)
- EC市場の中身も常に変化。企業には単にECを活用するだけでなく、変化への対応も求められる。
おわりに
インターネットやネットショップはもはや世の中に欠かせない存在になってきました。特に小売店舗にとっては今後必ず取り組まないといけない販売チャネルであるということはご理解いただけたかと思います。
ネットショップの立ち上げに関しては、現在は新型コロナ関連の支援施策もあり、様々な補助金を活用することもできます。まだ取り組まれていない企業は新たなビジネスチャンスとしてネットショップを検討してみてはいかがでしょうか。
次回のコラムではネットショップを実際に立ち上げる時にはどの様な点に気を付けていけば良いかお話していきます。
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ウェブ解析士・ブランドマネージャー
三浦 哲志
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