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さあ、みんなでHACCPに取り組もう!|コラム #12

  • 新商品開発・新事業展開

2020.11.11

こんにちは。フードコーディネーターのカワシマヨウコです。

コロナ禍でも食の安全を守るため、しっかりおさえておきたいHACCP(ハサップ)について、3回シリーズでお伝えします。初回はHACCPの紹介と導入義務化についてです。

来年から義務化されるHACCPとは?

2020年6月1日、改正食品衛生法が施行されました。それに伴い「食品」または「添加物」を取り扱うすべての事業者がHACCPに沿った衛生管理をすることになりました。

HACCP導入の対象事業者

HACCPをご存じない方もいらっしゃると思いますので、簡単に概要をご紹介します。
HACCPはもともと1960年代にアメリカのNASAで、宇宙食の安全性を確保するために開発された、生産工程管理のシステムです。Hazard(危機要因)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control Point(管理点)の頭文字をとって、HACCPとなりました。日本語では「ハサップ」や「ハセップ」などと呼ばれています。

HACCPでは食品事故を未然に防ぐべく、食品を扱う現場の製造工程を明確にし、衛生管理の手順を見える化したうえで、監視・記録することにより、生産工程を管理していきます。

具体的には、原材料の受け入れから最終的な製品の形になるまで(飲食店の場合は提供まで)の工程において、様々な視点からリスクを予測し、工程ごとに危害の発生要因や頻度、ダメージの大きさを考慮したリストを作成します。リストから工程管理方法を策定し、実行と記録を続けることで、食中毒や異物混入などによる危害の未然防止につなげます。

食品衛生法一部改正によりHACCPが制度化されました!(仙台市)

どうして日本にHACCPが導入されたの?

HACCPは世界保健機構(WHO)や国連食糧農業機構(WFP)の合同機関として知られるコーデックス委員会から推奨されており、アメリカをはじめとした多くの国で導入が進んでいます。

日本でも東京2020オリンピックの開催を前にした2018年、日本の食の安全性をアピールできるよう、改正食品衛生法によってHACCP導入が義務化されることが決定しました。現在は猶予期間となっていますが、2021年6月からは完全施行となります。

HACCPに沿った衛生管理の精度化は2021年6月までに対応が必須に

HACCP導入のメリットは?

日本人は諸外国の中でも、特に食の安全に関心の高い国民といえます。逆に、食の安全をおろそかにする企業に対しては、厳しい対応を求めることもあります。

一度、微生物による汚染や異物混入などが起き、それが消費者の手に渡ってしまうと、企業の信用や価値、イメージが著しく損なわれます。場合によっては、営業停止に追いやられることもあるでしょう。
HACCPの導入により適切な生産工程管理を実現できれば、それらのリスク回避や企業の信用(ブランド)維持・向上につなげることができます。

とはいえ、どれだけ対策を講じたとしても事故は起こりえます。特に異物混入は、完全に防ぐことが難しいといわれています。HACCPには事故が起きてしまった場合の対処方法まで組み込まれていますので、万が一の事態の備えにもなります。

「うちのような家族経営には無縁だ」とか「小規模でそんなことには手が回らない」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、上で述べたように「食品」や「添加物」を扱うすべての事業者がHACCPを導入する必要があります。

すべてといっても、事業者の規模や業種によって一般事業者と小規模事業者の2種類に分かれ、導入内容が異なります

事業規模別のHACCP導入

両者とも「一般的衛生管理プログラム」(次回以降で解説)に取り組んだうえで、一般事業者は「HACCPに基づく衛生管理」、小規模事業者は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に取り組みます。

事業規模によるHACCPへの取り組み方の違い

まとめ

今回は、HACCPについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。短くまとめるとこのようになります。

  • 2021年6月までに、食品や添加物を取り扱うすべての事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組む必要がある
  • HACCPは生産工程の管理のシステム。事故を未然に防ぐことで、信用を維持することができる。
  • 一般事業者は「HACCPに基づく衛生管理」に、小規模事業者は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に沿った取り組みを実践する。

すでにHACCPに取り組んでいる、または導入の準備をしている事業者にとっては今回のHACCP義務化はあまり影響しないかもしれません。一方で、まだ取り組んでいない事業者からは「そもそも何をすればよいか分からない」、「やりたいけど、どのように管理手順を構築すればいいの?」という声を多く聞きます。
そのようなお悩みがあるときは、仙台市中小企業応援窓口にお気軽にご相談ください。

次回は、「HACCPに基づく衛生管理」や「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」のベースとなる「一般的衛生管理プログラム」について説明をします。

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川島 洋子

フードコーディネーター

カワシマ ヨウコ

メニュー開発から食品表示、HACCP、農商工連携まで幅広くフードビジネスを応援!食通も唸る商品づくりに企業と一緒に取り組みます。