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そのプレスリリース、ちゃんと記者に読まれてる?|コラム#44

  • 販路開拓・販売促進

2025.09.10

こんにちは。ライターの岡沼美樹恵です。仙台市産業振興事業団のオーエンとアシ☆スタでライターとしてみなさんのビジネスの言語化をお手伝いしています。
雑誌の記者からキャリアをスタートさせ、フリーランスになって25年になりました。現在、仙台市産業振興事業団で運営している「暮らす仙台」「Yahoo!ニュース」 で記事を執筆。そのほかコピーライティングや英訳の仕事などもしています。

さてさて。お前の紹介はもういいよ、という声が聞こえてきそうなので、コラムの本題に。
新しい事業を始めたとき、商品を開発したときなど、多くの人に知ってもらいたいですよね?
そんなときに使えるのが、「プレスリリース」です。
このコラムでは、読まれるプレスリリースを作成するコツをお伝えしますね。

まず、メディアには毎日たくさんのプレスリリースが届きます。その中で読まれるプレスリリースにするには

 

1. ニュース性を意識しよう

記者が取り上げたいのは「ニュース」になる情報です。以下のような要素があると強いです。

  • 新規性:初めての取り組み、業界初、地域初など
  • 社会性:社会課題の解決やトレンドとの関連 例えば:サステナビリティ、SDGsなど
  • 話題性:多くの人が関心を持つテーマ 例えば:健康、子育て、環境など
  • 意外性:意外な組み合わせ、ユニークなサービス

その商品、サービス、事業のどこに「世の中に伝える意味」があるのかをまず整理しましょう。

 

2. タイトルとリードで記者の目をつかもう

記者は1日に数十〜数百本ものリリースを目にします。最初の数行で「読む価値がある」と思わせることが大事です。タイトルは短く、分かりやすく、ニュース要素を前面に
例:「親子向けに無料開放、仙台市の図書館が夏休み特別企画」
リード文とは本文に入る前によくあるあの短い文章です。誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように、5W1Hを意識して簡潔にまとめましょう。

 

3. 本文は「逆三角形」で書こう

プレスリリースは新聞記事と同じく「逆三角形の構成」を意識しましょう。「逆三角形の構成」とは、文章や説明を、結論を最初に述べ、詳細を後に述べる構成のことを指します。

  • 一番伝えたいニュース(結論)
  • 詳細情報(背景、特徴、データ)
  • 補足情報(担当者コメント、今後の展望)

最初から最後まで読まれなくても要点が伝わるようにしましょう。

4. 客観的な事実を中心に!

PR文のように「すごい!」「画期的!」と形容詞を並べるよりも、数値や事実で裏付けすることが重要です。

  • 実績や調査データを示す
  • 第三者のコメントを加える
  • 写真や図表を添付する

客観的なデータや素材を加えることで、メディアとしても記事化しやすくなります。

5. メディアにとってのメリットを意識しよう

プレスリリースは「取材してください」ではなく「記事にしてもらいやすい素材を提供する」姿勢が大切です。記者がそのまま記事に書けるような構成にしたり、問い合わせ先や写真素材を明記したり、今後の取材につなげられるようにキーパーソン、もしくは広報担当者の連絡先を入れるなどの工夫をしてみてください。

 

6. レイアウトと読みやすさに留意しよう

どんなに素晴らしい内容が書いてあっても、読みづらい、見づらいプレスリリースは「読むのが面倒」と思われて終わってしまう可能性もあります。ですので、

  • 1枚〜2枚程度に収める
  • 見出しや箇条書きを活用
  • 写真・図表を効果的に配置
  • 会社名・担当者・電話番号・メールアドレスなどの連絡先は必ず明記

 

7. 配信タイミングも工夫しよう

  • メディアの編集サイクルを意識する

  • 当たり前ですが、週刊誌・月刊誌は締め切り前に配信すること。とくに載せてほしいメディアがある場合そのメディアの「校了日」を編集部などに確認してください。ちなみに私が編集部員として働いていた週刊誌の校了日は発売日の1週間前でした。

  • 月曜の朝や連休明けはリリースが集中しやすいので避ける

読まれるプレスリリースのポイントは、

  • ニュース性を見つける
  • タイトルとリードで引きつける
  • 逆三角形の構成で事実を簡潔に
  • 記事化しやすい素材を用意する

記者の立場に立って「これなら記事にできる」と思わせるリリースを心がけましょう。
文章を書くのが苦手…という方はまずは、身近な人に自分の書いた文章を読んでもらって、感想をもらってみてください。成功体験を重ねることで、その苦手意識が薄れていくことでしょう。ちなみに私自身も、小学生の時に夏休みの作文で書いた家族旅行の話を先生がとても褒めてくれたのが初めての成功体験。学校代表の作文として県のコンクールに出品してくれて、作品集になったときに「自分の書いた文章が本になった!」とうれしかったのを覚えています。

さて、このコラムの最後にプレスリリースの投げ方をお知らせします。最近ではPR TIMESなどの配信サービスを利用することができますが、2万円から5万円程度の配信料がかかります。ただ、一定の条件がありますが、仙台市はPR TIMES と協定を結んでおり、もしかしたら無料で配信サービスを受けられるかもしれません。また、各県にある記者クラブに電話をかけて幹事社にコンタクトを取り、プレスリリースを受け取ってもらうのも一つの手です。

ぜひプレスリリースを活用してみてください。みなさんの事業、商品、サービスを知ってもらえますように!

相談予約は電話またはフォームで承ります。

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岡沼 美樹恵

ライター

岡沼 美樹恵

広報物の作成やメディアの記事づくりを応援!取材や打ち合わせを通じて、経営者も気づかない会社や商品の新しい価値を掘り起こします。