「仙台あおば餃子」をはじめ、おいしい餃子とラーメンが味わえるお店を3軒経営する「株式会社食むすび」。代表の杉山健一さんは、なんと毎月、売り上げと決算書を持ってオーエンに相談に来ています。忙しい日々の中、月一回の時間を取るのはなかなか難しいもの。それでも相談に訪れるメリットはどんなところにあるのでしょうか。お話をお伺いしました。
オーエン活用のポイント
- 会社の経理や財務を一緒に確認し、見直しをサポート
- 経費削減から長期的な経営戦略まで、客観的にアドバイス
- 親身に伴走し、弱音を吐いたり、アイデアを話したりする場になる
01 日々判断を求められる経営者として、オーエンの支援をどのように活用していますか?
震災後、「仙台あおば餃子のお店を起業しよう」と考え、登記から何から手取り足取りお手伝いいただいたのが、お付き合いの始まりです。私なりのプランはありましたが、いざ事業を始めようとすると「どう会社を起こすのか」「運営はどう進めていくのか」と疑問だらけでした。そこを乗り越えると次は、販促はどうすればいいのか、人材の採用は、と次から次に「?」が出てきます。自分一人なら誰に相談したらいいかもわからないときも、オーエンでは専門家の方を次々紹介してもらえます。それはすごくありがたいですね。
今でも毎月うかがっていますが、一番うれしいのは、経営者としてのさまざまな判断を独りで抱え込まなくていいということです。相談したり、自分の中のアイデアを話したりすることで、一緒に整理してもらうことにもつながるし、方向性も明確になる。自分たちだけでは見つけられない点が必ずあるので、業務改善のためにも、客観的な目で見てもらうと新たな気付きが得られます。
代表の杉山さんに「定期的に相談するメリット」をお話しいただきました
02 具体的に、どんなことを相談していますか?
毎月の販促プランから経理、長期的な戦略まで、幅広く何でも相談しています。
経費削減をどうしたらいいか、どんなメニューを開発したらいいかなど、お店の基礎になることも相談しますし、5年後10年後を見据えた人員計画も話していますね。どうやって会社の業績を伸ばしていくか一緒に考えていただきたいので、決算書もお見せしています。こういうふうに進めれば何年後にこれくらい改善できる!と一緒に考えて喜んでくれるのはとてもありがたいです。
日々営業していると問題もいろいろ起きますし、その分アイデアも生まれてきます。それらを本当に解決できるのか、あるいはそのアイデアは現実的なのか。応援窓口の方に意見をいただきながら戦略的に挑戦し、投資に取り組めるのは相談したからこその強みだと思います。税金関係などの数字をチェックしてくれる方はいますが、もっと踏み込んだ「戦略的な」相談ができる場は貴重だと思います。
カウンターに並ぶ、看板メニューとたくさんのサイン
03 長期的な視点で経営を続けていく中で、コロナ禍にはどう対応していますか?
営業時間短縮の要請などもありましたので、売上の対策と資金繰りのアドバイスをいただきました。テイクアウト・お弁当の販売を強化して、デリバリー業者との契約も締結し、月に70食ほどお客様に注文いただいています。仙台餃子酒場(宮城野区出花にある1号店)に比べ、いろは横丁にある一番五郎は客足の回復が遅いので、外でご飯を食べる楽しさを再び味わっていただけるよう、デリバリーでおいしさを届けていきたいです。
資金繰りに関しては、国や自治体の補助金がいわば乱立状態のなか、とてもわかりやすくまとめて教えていただきました。私たちに必要な申請はすべてできたのではないかと思います。
特に目から鱗が落ちたのは、私が「どんな状況でも雇用を守らなければ」と、なんとか営業しようと必死になっていたのに対し、「それでは支出が減らないので、雇用調整助成金を受給してうまく調整しましょう」と、休む方がかえって良いと教えていただいたことです。自分では考えないことなので、こういった時に支援の重要性本当に実感しますね。
一番五郎といえば、なんといっても餃子とラーメン!
04 事業に取り組む皆さんにメッセージをお願いします。
私たち経営者は、孤独になってしまいがちです。そのうえ判断しなければならないことが多く、ともすれば一人で突っ走ってしまいます。弱音を吐いたり、悩みを口にしたりすることも少ないかもしませんが、普段誰にも相談できないことを相談する、そんなオーエンの使い方があってもいいのではないでしょうか。
まとまりのないアイデアが整理されると、進むべき道がはっきりし、リスクを取る怖さも軽減されます。自分では気付けないことは必ずあります。一緒に考え、会社の成長を喜んでくれる人を見つけて、ぜひ力強く事業を展開してください。
オーエンは経営者の皆さまと伴走します。ざっくばらんに悩みを打ち明ける場としてもご利用ください。
支援担当者から支援制度のご案内
経営者は皆さん孤独なもの。自分一人で判断し、リスクを背負うのは相当なプレッシャーです。仙台市中小企業応援窓口では、どんな小さな相談でも受け付けています。公的機関なので、守秘義務も守られますし、まずはざっくばらんに弱音を吐いたり、思いついたことを話したりしていただけたらと思います。利害関係や金銭のやり取りが発生しないということは、「どんどん拡大しましょう」と進めるだけでなく、「これは止めておきましょう」ともアドバイスできるということです。ぜひ気軽に、足をお運びください。
中小企業診断士 柳沼 芳裕 担当コラム
(取材・ライティング:沼田 佐和子)