中小企業診断士の鈴木たすくです。
新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えない状況のなか、ウィズコロナを見据えた新たなビジネスに挑戦する企業が増えてきました。そこで今回のコラムでは新ビジネスの立ち上げにおすすめの補助金「小規模事業者持続化補助金」の紹介と申請のポイントをお伝えします。
販路開拓におすすめ「小規模事業者持続化補助金」
「小規模事業者持続化補助金」は小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する国の補助制度です。その名のとおり、小規模の事業者、具体的には従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)等の事業者が対象になります。
この補助金には、従来から運用されている「一般型」と新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者向けに新設された「コロナ特別対応型」の2種類があります。「一般型」は最大50万円の補助、「コロナ特別対応型」は最大100万円の補助があります。さらに事業再開枠を申請すれば、それぞれ上限50万円が上乗せされます。例えば、「コロナ特別対応型」と事業再開枠を申請すると最大で150万円の補助を受けられます。
仙台市からの追加支援で企業の負担がさらに軽減
仙台市では「小規模事業者持続化補助金」等の採択を受けた市内事業者に対し、交付決定額に応じて「仙台市地域産業応援金」を給付しています。
つまり、国と市の制度を併用することにより、自社の金銭負担を大幅に減らして新規ビジネスに挑戦することが可能になります。
一般型とコロナ特別対応型、どちらを選べばいいの?
先述のとおり、小規模事業者持続化補助金には、一般型とコロナ特別対応型の2種類があります。
申請にあたって、一般型は「経営計画書」と「補助事業計画書」の2つの様式の提出が必要です。一方、コロナ特別対応型は「経営計画書」を提出するのみです。ただし、様式が少なくなったといっても、記載する事項は一般型と大差はありません(一般型の「経営計画書」と「補助事業計画書」を1つの様式に統合したイメージ)
申請書によってどちらが申請しやすい、しづらいといったことはありませんので、補助金額や補助率、申請要件を踏まえながら、自社にあった方を選ぶと良いでしょう。
一般型 ここが申請のポイント
一般型には経営計画書と補助事業計画書の2種類の申請様式があります。
経営計画書には会社全体について(企業概要、外部環境分析、内部環境分析、経営方針・目標など)記載します。ポイントは、環境分析から導き出された経営戦略に妥当性があるかどうかです。
補助事業計画書には今回申請する事業(取り組み内容、経費明細、資金調達方法)について記載します。ポイントは、経営計画書に記載した経営戦略を持続化補助金を活用しながら、どのように実現していくのかについてストーリー性を持たせて明示することです。
つまり、2つの計画書にはお互いに整合性が必要です。「外部環境分析・内部環境分析→経営方針(経営戦略)→販路開拓の取組(補助事業)」の流れを意識して申請書を作成していきましょう。計画書の記載ポイントは図のとおりです。
【一般型 計画書の記載ポイント】
コロナ特別対応型 ここが申請のポイント
コロナ特別対応型は一般型と異なり提出書類は「経営計画書」のみです。
ただし、多少記載のボリュームは減るものの、基本的に作成する内容は同じです。
経営計画書においてまず重要となるのは、今回の取り組み内容が公募要領で指定されているA~Cの類型に合致しているかどうかという点です。
【コロナ特別対応型 A~Cの類型】
また、特別枠であっても販路開拓等の取り組みを支援するという小規模事業者持続化補助金の趣旨に変わりはありませんので、取り組みの結果、新たな販路開拓につながるところまで、きちんと計画を落とし込む必要があります。
例えば、コロナウイルスの影響で売上が落ち込むレストランがデリバリーサービスを開始する場合、申請内容はこのようなものになります。
- 【類型】B:非対面型ビジネスモデルへの転換
- 【取り組み内容】設備投資(ECサイト構築や宅配用バイク導入)
- 【効果】新規顧客の開拓につながり売上が回復
まとめ
今回は小規模事業者持続化補助金についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。短くまとめるとこのようになります。
- 新規事業の立ち上げには小規模事業者補助金がおすすめ。
仙台市からの補助も活用すれば、金銭負担がかなり軽減される。 - 小規模事業者補助金は「一般型」と「コロナ特別対応型」の2種類。
補助金額や補助率、申請要件を踏まえて、自社にあった方を選ぶとよい。 - 「一般型」「コロナ特別対応型」ともに、経営戦略と新規ビジネスの整合性、販路開拓等の実現可能性を審査される。
申請書類の作成には時間がかかる場合もありますので、早めの着手をお勧めします。
「一般型」「コロナ特別対応型」のどちらに申請すべきかわからない、申請書の書き方がわからない等のお悩みは仙台市中小企業応援窓口にお気軽にご相談ください。
相談予約は電話またはフォームで承ります。
中小企業診断士
鈴木 たすく
経営の健全化を応援!「中小企業の“街のお医者さん”」として細やかなヒアリングと適切な診断のもと、経営を改善に導きます。