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メリットありそうなテレワーク 具体的な導入手順|コラム #4

  • 人事労務・採用育成

2020.09.09

こんにちは、中小企業診断士・ITコーディネータの高木順です。

前回のコラム「コロナ対策以外にも?テレワークはじめの一歩」 では、テレワークという働き方は新型コロナウイルス感染症の拡大とともに注目されるようになり、首都圏を中心に多くの企業で導入が始まっている、また、生産性の向上や働き方改革の一翼を担う手段として成果が出てきている、というテレワークの現状について、歴史なども交えてお伝えいたしました。
今回は、テレワークの導入手順についてお伝えしていきます。

テレワークに必要な3つの視点

テレワークとは、前回お伝えした通り「常にリモートワークでなければならない」ということではなく、できる人が、できる場面で、できる範囲から取り組むということが大切で、かつそれがハードルの低い取り組み方になります。

導入前の準備としてまず、「業務範囲」「対象者」「実施頻度」の3つの視点で自社の状況を分析し、それぞれについてテレワークを【A:すぐにできる】/【B:条件付きや改善後なら取り組める】/【C:頑張っても実施することは難しい】に切り分けます。

特に業務範囲については、あまり深く考えず、【C:頑張っても実施することは難しい】に分類してしまうことがよくあります。しかし、従来の取り組み方や仕事の進め方、前提条件を変えて考えてみると、案外AやBになることもあるものです。

メリットの多いテレワークですから、ぜひ頭を柔らかくしてCをAやBにできないかを、検討してみてください。

技術面からみるテレワーク3つの方式

テレワークには細かく分けると多種多様な実現方法があります。しかし、ここでは皆さんに概要をとらえていただくよう、ITの技術的側面から大きく3つの形に集約してお伝えいたします。わかりやすさを重視し、3つの形にまとめておりますが、細部が異なる方法や、それらを複雑に組み合わせたものもありますので、今は細部にこだわらず、大枠をイメージでとらえることを意識してみてください。

まずはじめは、①リモートデスクトップ方式です。

この方式の特徴は、自宅などにおいて手元にある端末のディスプレイに、オフィスに設置された端末のデスクトップをオンラインで転送、表示する形になります。実際に稼働している端末はオフィスの中で稼働しているのですが、手元の端末を使って操作することとなります。

オフィスでの業務をそのまま自宅でも続けられるメリットがありますが、手元のデスクトップ表示サイズによっては、見えづらい場合があったり、回線速度によっては動作が重くなったりする可能性もあります。

次に、②クラウドアプリを利用する方式です。

図にある通り、どこでもどの端末でも、インターネットに接続することができれば、同じ環境で作業することができます

最後は、③職場のPCを持ち帰る方式です。

これはもう、すぐにイメージできると思います。使い慣れた端末をそのまま社外に持ち出して利用するため、作業効率は良い一方、データを端末内に保存することになることからセキュリティに対する防御はより念入りに行う必要があります

また、この方式は職場内のサーバーなどに外部から直接接続するため、必ずVPNと呼ばれる特殊なネットワーク接続機器(設定)を導入する必要があり、専門的な知識が必要になるということを覚えておく必要があるでしょう。

加えて、単に作業用の端末を確保すればそれでテレワークができるわけではありませんから、チーム内のコミュニケーションを促進するツールや勤怠管理に用いるツールなども必要に応じて導入することになります。

今回のコロナ禍で「zoom」というソフトが大変メジャーになりました。会議や打ち合せ、商談などに利用されているものになります。このほかTeams、Skype、Google Meet、Webex、Facebook、LINEなどというソフトやツールも同様の場面で広く利用されています。

テレワークで活用される主なソフトやサービス

これらはカメラとマイクを用いて、遠隔の多人数ビデオ通話を行うもので、会議等の利用はもちろんのこと、利用条件にもよりますが、朝から晩まで接続しっぱなしにして、あたかも隣で作業しているように「雑談を楽しみながら仕事をする」というような使い方も可能になっています。

具体的にはどのように導入プロジェクトを進めるのか?

実際に導入する際は、次のような手順を踏んでいきます。

テレワーク 導入の手順

  1. 導入目的の明確化
    働き方改革/生産性向上/人材の確保・育成/事業継続/コストダウンなど、どこに目的を定めるかを決定する
  2. 対象範囲の決定
  3. 現状把握
    先述の通り、範囲はできるところから始め、徐々に範囲を拡大していきます。
    対象者
    メリットのある人、負担の少ない人、リテラシーの高い人
    対象業務
    業務プロセスや業務フロー、あるいはシステム化の程度やコミュニケーションの頻度など、業務を観察していきます。
    実施頻度
    1~2日/週や数時間/日など、負担のない範囲で検討します。
  4. 導入計画の策定
    続いて、それらを踏まえ、働き方、業務手順、労務管理、評価方法、評価軸、費用負担、セキュリティ、教育、IT環境などを各々決定していきます。
  5. 実施IT環境の整備
    ここまでくるとITツールの選定や環境構築が可能になります。
  6. 内部説明会の実施
    社内に、十分に目的や必要性の理解を浸透させ、体制づくりと、操作教育を行います。
  7. 初期試行
  8. 評価と改善
    短いサイクルで繰り返しより良いものに変化させながら、次第に定着を図っていくことになります。
  9. 本格運用
    また、業務の手順(運用方法、ルール、規約、評価)やHR(人的資源管理)の面で、入念な検討と制度づくりが欠かせません

また、業務の手順(運用方法、ルール、規約、評価)やHR(人的資源管理)の面で、入念な検討と制度づくりが欠かせません

  • チームの生産性/個人の生産性についての検討は十分か?
    集中できる環境、十分なコミュニケーション、管理・マネジメント
  • コミュニケーションは十分にとれるか?取りやすい状態か?
    いつ・どのタイミングで・なにを・どうやって・どのぐらい・普段の職場で達成できていることとの相違がないか
  • 教育、指導に支障が出ないか?
    どうやって部下を育てているか、どう接しているか、何を見ているか
  • コラボレーションや連携が十分に機能するか?
    互いの状態が見える・見通せることが肝要
  • 成果をどう出力するか?
    価値の定義がなされているか、平時と同じような形でなければダメか、社内に向けて、社外に向けて問題なく示すことができるか

まとめ

今回はテレワークの導入の手順や考え方についてお伝えしました。

とかくテレワークというキーワードからはITツールの選定や導入費用にばかり目が向きますが、導入の目的の再確認に始まり、計画立案、運用ルールの策定が大変重要だということがご理解いただけたかと思います。

検討することは多くありますが、順を追って進めていけばそれほど難しいことではありません。テレワークを導入してみたいな、検討してみようかな、でも細かいところは漏れがないか不安だな等のお悩みは、仙台市中小企業応援窓口にお気軽にご相談ください。

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高木 順

中小企業診断士・ITコーディネータ

高木 順

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