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資金がショートする前に…検討すべき4つのこと|コラム#19

  • 資金繰り・事業計画

2021.01.27

こんにちは。中小企業診断士の細梅和彦です。

日本国内で新型コロナウイルス感染症が感染拡大を始めてから、早くも1年となります。現在は、第3波の真っただ中にいます。
第1波・第2波の際には、事業者向けに無利子融資や持続化給付金、家賃支援給付金などの資金繰り支援がありました。また従業員向けには、雇用調整助成金や緊急小口資金などの生活支援がありました。
しかし今後終了を迎える支援制度もありますし、継続したとしても国の予算は無尽蔵ではありません。やはり事業の継続は事業者の自助努力ありきであることは否めません。

大前提は「事業資金の確保」

事業者が大前提として考えておかなければならないことは、事業資金の確保です。
事業資金はいわば「企業の血液」といえます。血液である資金が少なくなってくれば、貧血になります。急激に失えば失血死もあり得ます。

コロナ禍の長期化に伴い、第1波・第2波の際に借入したものが底をつきそう、または既になくなり再度借入が必要になっている事業者の方も多いと思われます。
資金繰りが完全にストップする前にできることは何でしょうか。以下の4つのポイントにまとめました。

資金繰りがストップする前に検討する4つのポイント

① 固定費を極力絞り込む

ケガをしていて、出血している状況で無理に動こうとすると傷口が開いてしまいます。いつまでたっても血が止まらない状態は好ましくありません。まずは止血することを考えましょう。
事業資金も同じです。まずは売上げに関わらず出ていく費用、「固定費」を止めなければなりません。まず、資金繰りが苦しい場合は、固定費の絞り込みを検討しましょう。

固定費のなかでも割合が大きいものは、人件費と家賃です。
人件費は、従業員を休業・出向させることで「雇用調整助成金」を活用することができます。申請から助成までのタイムラグはありますが、実質的な流出を少なくすることができます。家賃は大家と交渉して、減額や繰延べをすることで流出を絞ることができる可能性があります。

② 収入と支出のバランスをとる

飲食店などの場合、顧客の外出自粛意識が高まってくると、来店客は自然に減少します。このような状況下で無理を押して営業すると、食品ロスが出て材料費などの売り上げに比例して増減する変動費が無駄になってしまいます。さらに人件費などの固定費がかかると、失血死を早める可能性もあります。
支出に見合う収入が得られないと判断した場合には、休業するという選択肢も検討してみてください。

なお、仙台市地域産業協力金などをはじめとした「休業協力金」の対象になる場合、協力金と売上の比較をする方もいるかと思います。
休業協力金は費用のかからない収入です。また、人件費については「雇用調整助成金」を活用できることから、売上から原価と人件費を引いた額との比較をすれば、収支のバランスを考える材料となるでしょう。

飲食店が休業協力金と比較をする際のイメージ

③ 充分な事業資金を確保する

上記2つの事項を対処しても出血が止まらない場合、減った分の血液を賄えるだけの輸血(融資)を充分に確保する必要があります。現在は非常事態ということもあり、比較的に金融機関などの審査のハードルも低くなっていますので、輸血の確保はしやすいと思われます。
ただし、融資は将来的に返済するのが大前提になります。
既存の借入れを借りかえる、措置期間・返済期間を長くできる先から借入れる、資本としてみなすことのできる融資「資本性ローン」での調達を考えるなど、元本返済額を増やさない融資の検討・交渉も必要です。

④ 全く別な選択肢をとる

ここまでは既存事業での延命策をご紹介してきました。
最後に、感染収束までの見込みが立たない、ウイルスが変異しワクチンが効かないなど、想定外の状況となり、対応ができない場合です。
既存事業からの事業転換、廃業などを視野に入れる必要があります。

事業転換の場合、2020年12月15日に閣議決定された「第3次補正予算」では、「事業再構築補助金」の創設など、中小・小規模事業者の経営転換などへの支援を盛り込んでいます。今後出てくる施策を見越して、どのように行動するかを考えるのもひとつです。

廃業は、清算する余裕があるうちに選択する場合もあれば、やむなく選択する場合もあるかもしれません。それもひとつの選択肢となることは確かです。

まとめ

最終的にどの検討策を選択するのかは自由ですし、判断するのは事業者であるあなた自身となります。
ただし、止まない雨はない、明けない夜はありません。同様に、いつかはわからないものの、いずれはコロナ禍が終息するときが来るであろうとも考えられます。
事業者はいかに先を読み、次の一手をどうするかによって、サバイバルゲームに生き残れるのかどうか、将来的に成長できるのかどうかなど、コロナ禍収束後の世界が大きく変わってくることでしょう。
今は将来の展望を考える時間があることを好機として捉え、ポストコロナを見越して収束後のスタートダッシュや事業内容の軌道修正・強化を検討する時間として、有効に生かすべきではないでしょうか。

仙台市中小企業応援窓口では、「資金繰りが厳しいがどうしたらよいか」、「活用できる融資や公的制度はないか」、「次の一手をどう打つべきか」など、経営にまつわるご相談にお応えしております。
今回のコラムでご紹介したポイントについて、一緒に考えることもできます。どうぞご相談ください。

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細梅 和彦

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