こんにちは。公認会計士・税理士の八島徳子です。
2020年度も確定申告の時期になりました。お手元に国税庁からのご案内が届いたという方も多いのではないでしょうか。1年間の所得は、通常翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をする必要があります。
しかし2020年度は新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、2021年2月16日から4月15日まで確定申告期間が延長されました。さらに混雑緩和のため、宮城県内全ての申告会場が前倒しで開設されています。
令和2年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ|国税庁
(リンク先は削除されました)
このように、今年度は確定申告や納税について、例年とは取り扱いが異なる点があります。ぜひ知っておいていただきたいポイントについて、個人事業主編・法人編の2回に分けてご紹介します。
2020年度 個人事業主の方が確定申告で気をつけるポイント
- 「青色申告特別控除額」および「基礎控除額」が変わります
- 確定申告会場への入場には「整理券」が必要です
- 申告・納付期限の個別延長があります
- 事業赤字は繰戻還付・繰越控除が受けられる場合があります
- 各種助成金には「課税対象」と「非課税対象」があります
「青色申告特別控除額」および「基礎控除額」が変わります
平成30年度の税制改正にともない、個人の方の所得税について、以下のように変更となりますのでご注意ください。
- 青色申告特別控除額が、65万円から「55万円」になります。
- 基礎控除額が、38万円から「48万円」になります。
- e-Taxによる電子申告などを行うと、引き続き65万円の青色申告特別控除が受けられます。
国税庁「令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額・基礎控除額が変わります!!」より抜粋
確定申告会場への入場は「整理券」が必要です
2020年度は混雑緩和のため、確定申告会場へ入場できる時間枠が指定された「入場整理券」が必要です。
入場整理券は各会場で当日配布です。さらにLINEを通じたオンライン事前発行も可能です。詳しくは、国税庁のホームページをご覧ください。
申告・納付期限の個別延長があります
新型コロナウイルス感染症の影響で、期限までに申告・納付などができないやむを得ない理由がある場合、簡易な手続きで期限延長が可能です。
期限までに申告・納付が難しい方は簡易な手続で期限延長が可能です|国税庁
(リンク先は削除されました。)
また、売り上げが減少したことで国税を一時的に納付ができない方々への救済措置として、納付の猶予制度が設けられています。各国税局の国税局納税猶予相談センターにてご相談ください。
事業赤字は繰戻還付・繰越控除が受けられる場合があります
青色申告の方は、他の所得と通算で控除しきれない赤字(損失)が生じたときには、翌年3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。
前年も青色申告をしている場合は、その損失額の全てまたは一部を前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
白色申告の方は、他の所得と通算で控除しきれない赤字(損失)のうち、「事業用資産に生じた災害による損失等」については、翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。
国税庁「新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」より抜粋
事業関連の助成金は「雑収入」として申告が必要です
国や地方公共団体からの助成金・協力金などのうち、事業に関連して支給される助成金は原則「雑収入」として申告が必要です。うっかり忘れてしまうと修正申告が必要となりますので、ご注意ください。
なお、事業所得には区分されない助成金には、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金、特別定額給付金など、一部非課税のものもあります。詳しくは、国税庁のホームページをご覧ください。
個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取扱い|国税庁
まとめ
今回は個人事業主の方が、2020年度の確定申告で気をつけるポイントについてご説明しました。次回は、法人編をお届けします。
仙台市中小企業応援窓口では「帳簿のつけ方を知りたい」「確定申告書・決算書などの作成方法が知りたい」「助成金の会計取り扱いについて聞きたい」など、企業会計・税務に関するご相談にもお応えします。
コラムの中でわからなかったところや、具体的にどう対応すればよいのかといったご質問・ご相談もお待ちしております。
相談予約は電話またはフォームで承ります。
公認会計士・税理士
八島 徳子
財務サポートを通じて企業の長期経営を応援!迅速、明確、丁寧な対応が多種多様な企業家からの支持を集めています。税務・会計のご相談はお気軽にどうぞ。