こんにちは。中小企業診断士の柳沼芳裕です。
鳥は逆風の中に飛び立つ
この言葉は、鳥は追い風の中でなく逆風の中で飛び立つ事のたとえを、わたしたち人間の生き方になぞらえたものであります。これは企業経営にも当てはまるのではないかと思います。
今の世の中は、まさに新型コロナウイルス感染症拡大による逆風が吹き荒れている状態です。
商売は環境適応業といわれてきました。業種業態を問わず、環境変化に対して適応していくのが事業経営といえます。そういった意味では、今回のコロナウイルス感染症拡大に限らず、過去にも多くの環境激変があったはずです。
わたしたちは知っているだけでも、第二次世界大戦・高度経済成長・バブル崩壊・リーマンショックなどをあげることができます。そしてその都度、「未来が見えない」、「今までのやり方は通用しない」といわれてきたことも覚えています。
さらに、環境激変の風で多くの企業が淘汰されていくなかでも、しっかりと変化に対応して逆に成長を遂げた事業所も多く存在した事実についてもわたしたちは知っているのです。
ダーウィンは、その論文である『種の起源』でこう言っています。
ダーウィン著『種の起源』より
過去の環境激変の中で生き残ってきた生物は、決して大きい生物や強い生物ではない。もしろ小さくて弱い生物だ。彼らは環境変化に対して、自らの姿を変えていく勇気を持っていた。
今こそわたしたちは、これまでのビジネスモデルや成功体験に固執せず、自らを変革していくことにチャレンジしていくべきではないでしょうか?
当然ながら、大きな変革には多分に痛みをともない、避けて通りたいこともあるかもしれません。しかしそれをやり遂げた事業所や経営者が、ポストコロナの中で飛躍するのだと思います。
下記は事業ドメインを説明した図です。ターゲットとなる「お客様」、そのお客様がもっている「ニーズ」、自らの強みである「ノウハウ」があります。現在はこの三つのピントが変化しぼやけてしまっている状態です。
お客様とニーズに関しては、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行により、大きく変化・変質してしまっています。そこで変わってしまった二つに対して、自らの強みであるノウハウを新たに創造・開発・改良していくことが必要です。
変わってしまったお客様やニーズを再びつかみ、自らの強みを変革することで、三つのピントをもう一度合わせなおししていきましょう。事業価値である選ばれる理由をもう一度磨いていきましょう。
事業所の「儲け」はその文字の通り、お客様からの信頼を得ることの相対的な対価といわれています。もう一度、その信頼を取り戻していきましょう。
よくコロナ前に戻るか否かといった議論もあります。しかし一度わたしたちが体験してしまった変化や身についてしまった生活習慣は、容易に元通りになるとは考えにくいです。そうであれば、戻らない想定で事業経営も考えていくべきだと考えます。
ネットニュースなどの情報によると、全国各地の繁華街では新たな物件を探し、新規出店する事業所が増加しているということです。
苦しい中で閉店を余儀なくされた物件を、優良物件とみての動きであるとみることもできます。若干のいやらしさは感じるものの、この状況下でも新規出店しようとしている経営者がいるということも看過できないと思います。
新型コロナウイルス感染症の流行という逆風の中、事業経営について以下のことを肝に銘じておきましょう。
- 悪い状況下でもニーズがゼロにならず、変化・変質するだけであること。
- 事業経営は経営者があきらめた時点で終わりであること。
- 経営革新の方法は無限にあること。
- 悪い状況下でもすべての事業所が悪いわけではないこと。
わたしたちは「仕方ないとあきらめない」、「今に安住しない」、「事業価値を常に磨く」ことを実践していきたいと思います。
皆さまも気持ちを強くもって、この変化に適応していきましょう。
その進め方については、どうぞ仙台市中小企業応援窓口を活用してください。一緒に考え、行動してまいりましょう。
相談予約は電話またはフォームで承ります。
中小企業診断士
柳沼 芳裕
事業再生・組織力強化・現場改善を応援!コンサル指導に定評があり全国優良講師として表彰を受けています。“共に考え、共に行動する”“打つ手は無限!”をモットーにじっくり企業に寄り添います。