こんにちは、中小企業診断士の横尾徳仁です。
新型コロナウイルスの脅威が依然として払拭されない中、経営環境が大きく変わり、売上低迷等で苦しんでいる経営者は多いのではないでしょうか?
コロナ禍は飲食業、宿泊業、卸売業、小売業・・・等、ほぼ全ての事業者において影響が出ていると言っても過言ではありません。持続的な経営を行うためには、ウイズコロナ、アフターコロナを踏まえた新たな事業展開を行う重要性が増していると思われます。
今回のコラムは、そんな新事業展開を後押しする「仙台市中小企業チャレンジ補助金」についてお伝えします。
新たな事業展開を後押しする「チャレンジ補助金」
「仙台市中小企業チャレンジ補助金」は、新たな新商品や新サービスに取り組む事で、ウィズ(アフター、ポスト)コロナに適応しようとする仙台市内の事業者に対して、店舗改修や設備投資等にかかる経費を補助する制度です。
制度の概要
対象者 | 中小企業者等または個人事業者 |
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対象要件 |
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補助額・補助率等 | 上限200万円(補助率2/3) ※感染防止対策経費は補助対象経費総額の25%までを対象とする |
対象経費 | 建物費、設備費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝費、研修費、旅費、開発費、資料購入費、設備処分費、感染防止対策費 |
※詳細は仙台市ホームページで公表される募集要領を参照してください。第3回仙台市中小企業チャレンジ補助金について(仙台市)
活用のイメージ
飲食店やケータリング事業を運営していたが、保育園をメインターゲットにお惣菜・お弁当を宅配するサービスを提供。お迎えのついでに保育園で夕食のおかずを受け取ることができ、忙しい家庭の手助けに!電子決済で非接触、非対面も実現!
飲食店とタクシー会社の連携で新しいフードデリバリーサービスを展開。軽貨物運送事業を共同で立ち上げ、安定的な人員を確保し、大手プラットフォームの配送代行事業や、連携する飲食店のアプリからの注文による独自デリバリー網を構築。
建築設計、施工の事業を行っていたが、DIYのニーズの高まりを捉え、所有する工具のシェアリング事業を開始。工具の使い方、DIYでできるとことやプロにお願いするのがよいところをアドバイスしてお客様との接点を増やし、新規顧客を開拓。
焼肉店や居酒屋を経営していたが、新たな商品の提供方法としてキッチンカーを活用。他の事業者と連携して複数のキッチンカーを出店する移動販売商店街の実施。
「チャレンジ補助金」のポイントは、建物費から宣伝広告費、感染防止対策費に至るまで幅広く対象となる点です。新たな事業展開をお考えの事業者はぜひ申請をご検討してみてはいかがでしょうか。
「チャレンジ補助金」申請のポイント
ウィズコロナ、アフターコロナにおいて、力強い味方となってくれる「チャレンジ補助金」。
しかし、補助金は申請者全てが採択されるわけではありません。審査員の厳しい目による審査が行われ、その審査を通過した事業者のみが採択される事となります。
以下では申請書を記載するポイントについて重要と思われる事について解説いたします。
ポイント① 審査項目、審査基準に記載されている内容は全て網羅すべし
まずは、募集要領に記載されている「審査項目・審査基準」を確認しましょう!
申請書の記載を進める上で、常にこの審査項目・審査基準を意識するようにしてください。思いが強ければ強いほど、思いが先行してしまい、熱い情熱を語る事で終始させてしまう申請書をよく見かけますが、その点についての加点は無いと思った方が無難です。
審査項目一つ一つについて点数が配分され、その審査項目を網羅する事が非常に重要であり、その審査項目について何も記載がなければ「0」点です。
申請書を書き終えた際は、再度審査項目を見直し、審査項目について十分言及がなされているかを確認するよう心がけてください!
ポイント②「自社の内部環境、外部環境の整合性を意識すべし!」
「内部環境」とは、自社の強み、弱みであり、強みは自社が商売をする上で武器となるものです。弱みについては売上を阻害するものであり、克服すべき事となります。内部環境は一般的にはコントロール可能である領域であり、経営者の手腕に左右されます。
また、「外部環境」とは、機会、脅威であり、機会はビジネスチャンスとなり、脅威はその機会を脅かす要因となるものです。
「チャレンジ補助金」は新たなビジネスについて、この外部環境と内部環境との整合性を考える必要があり、この前提として、これらの環境をしっかり分析する事が問われます。その分析した結果から、何の事業をどのようにするかという「戦略」を導き出すのです。
例えばビジネスチャンスである機会を自社の強みを活かす事で獲得し、弱みを克服するために今回の補助事業を活用して設備投資を行う・・・といったものです。
これがすなわち、審査基準にもある「戦略的に組み立てられているか?」という観点となります。
戦略の立案
自社の強みを武器に、ビジネスチャンスを獲得する戦略
阻害要因となる弱みを克服し、ビジネスチャンスを獲得する戦略
自社の強みを持って、脅威に立ち向かう(回避する)戦略
最悪の事態を最小限に留める戦略
ポイント③「数字の根拠を明確にすべし!」
売上高を明記する際によくありがちなミスが、根拠が書かれていないというものです。
年間の売上の合計額のみ記載されていても、その内訳がわからなければ、本当にその金額が実現するのかどうかの判断がつきません。必ず、ある商品(サービス)が何個売れるか?単価はいくらなのか?等の根拠を示す事が重要になります。
また、次年度以降の売上の成長を示す際にも、その成長根拠を示す必要があります。例えば、前年比2倍の成長が見込まれる計画であったとしても、その根拠を記載しなければ、実現するかどうか疑わしいと言わざるを得ません。
以上3点の重要と思われるポイントを述べさせて頂きましたが、仙台市から公表される募集要項については隈なくチェックしましょう!
審査項目・審査基準以外にも、事業者に課す義務や、補助金返還規定等の重要事項がありますので、何度も読み直し、抜けの無い様に心がけてください!
補助金を申請する意義
申請するからには採択されたいですよね。しかし、もし不採択であったとしても、申請する行為自体が御社の経営にプラスになってくれる筈です!
なぜならば、申請書の作成プロセスにおいて、上述の内部環境、外部環境の分析を行い、また売上についての見通し等の検討を行う作業自体が、すなわち経営計画書を作る事であり、計画的な経営に繋がるからです。
経営計画の必要性は感じつつも、ついつい行き当りばったりの経営をしてしまっている、という事業者もいらっしゃるかもしれません。そんな方は、「チャレンジ補助金」の申請を契機に計画経営への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。仙台市中小企業応援窓口はそんな事業者を全面的に応援させて頂きます!
最後までお読み頂き、有り難うございました!
相談予約は電話またはフォームで承ります。
中小企業診断士・社会保険労務士
横尾 徳仁
経営・人事労務をトータルで応援!経営資源(ヒト・モノ・カネ)をフルに活用したビジネス展開をサポートします。専門学校や商工会にてセミナー講師としても活動中。