こんにちは。経営士の倉島です。私はオーエンで、主に経営支援マーケティング戦略のお手伝いをさせて頂いています。
このコラムでは環境経営士(SX/GX/ESG部会)の立場で、昨今のSDGsやESG、エシカル消費などについて経営観点で考えたいと思います。
1、日本におけるSDGsムーブメントの経緯と背景
SDGsの取り組みは、大企業、中小、ベンチャー、自治体までさまざまな分野で拡大しています。
17の達成目標や国連云々の説明はご存じの方も多いかと思いますが、いつごろから日本で普及してきたかご存知でしょうか。
日本でSDGsが急速に広がりだしたのは、2018年頃から。
その要因としてSDGsが国連で採択された、翌2016年に伊勢志摩サミットが開催され、当時の安倍内閣が議長国としてSDGs推進本部を設立したこと。ほか、GPIF(年金積立管理運用独立政法人)が※ESG投資を開始したのが2017年7月であったことなどが挙げられます。
※ESG投資とは
投資先の価値を測る指標として企業の財務情報だけでなく環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)を考慮するもの。この投資は社会への良い影響により評価の重きを置く「インパクト投資」、逆に悪影響を及ぼす対象を投資先から除外する「ネガティブ・スクリーニング」など細分化されています。
2、サステナビリティとの向き合い方
企業は、SDGsとESG投資で評価されるサステナビリティを慈善社会活動として見てはいけません。自社の製品サービス・製造・流通・消費過程での利潤追求という従来の考え方に加えて社会環境の変化における経営の再考、体制の再整備に迫られているのだと認識していかなければならないと思います。
好むと好まざるとにかかわらず、今は機会とリスクの背中合わせの時代にあると捉えることが必要です。
かつて、日本のメーカーは省エネ技術で世界をリードしました。
また、日本企業には、古くから企業理念という公益的な考え方もありました。
昭和の日常生活では牛乳、ビール、酒の瓶類が回収されるような循環型経済(サーキュラー・エコノミー)が一般的に浸透していました。
世界の動きに合わせることに汲々とする前に、日本はこれまでに培ってきたノウハウを活かし、その強みを発揮させれば、復権の可能性があると知るべきでしょう。
また、これらの動きに対して企業は一層※CSVの考え方が必要になっていくことも付記しておきます。
※CSV(Creating Shared Value)とは
企業が社会ニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値も創造されることを意味します。自社の商品サービスが世の中の為になり、且つ自社の利益も向上するという考え方です。
3、域内企業サポートとオーエンの取り組み例
サステナビリティ経営は、決して大手企業のみならず、地方の中小企業においても例外ではありません。
仙台市産業振興事業団(オーエンの運営団体)では、2月に開催された第93回インターナショナルギフトショー(2/8~2/10東京ビッグサイト)、 第56回スーパーマーケット・トレードショー2022(2/16~18幕張メッセ)に3年ぶりに出展しましたが、出展ゾーンに「SDGs・サステナビリティゾーン」を選択。
そこでブースを構え、仙台市内でサステナビリティ経営に取り組んでいる事業者さまの商品をお披露目し、大変な好評を得ました。
出展の様子
第93回インターナショナルギフト・ショー
開催レポート(外部サイト)
スーパーマーケット・トレードショー2022
開催レポート(外部サイト)
4、サステビリティ商品訴求のポイント例
サステナビリティな商品訴求の一例として
- プラスチック代替商品などの素材の観点、見直しに関する新提案
- モノを捨てずに使い続ける3R、サーキュラー・エコノミー(循環型の)観点と提案
- 食品ロス削減や地域資源の有効利用の観点と提案
が挙げられ、それらが新たな技術、販売形態や販路、新たな顧客創出につながります。
そして、生活者はそこに※エシカルな価値も見出すようになります。
今回、当該展示会に出られなかった域内企業でもサステナブル経営を志向し、新たなニーズを生み出している事業者さまは数多くいらっしゃいます。
事業団の販路開拓事業においても、流通バイヤーさまから頂くニーズはサステナビリティにまつわる内容が年々多くなり、私どもとしても今までと全く違った切り口での対応が求められています。
詳しい内容について興味がありましたら、お気軽に当事業団にご相談ください。
※エシカル消費とは
各自にとっての社会的課題の解決を考慮し、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。
5、現実の課題と結び
ビジネスの最前線から外部環境に目を移すと、決して容易ではない現実にも向き合う必要があります。
地球環境の変化は、原料資材、エネルギーのコスト負担、調達問題だけでなく、サプライチェーン存続の危機をもたらす可能性があります。さらには、国家間の駆け引きやエゴ、そして常軌を逸した大国による戦争、次世代そのものに待ったなしの危機的状況にあるのが現実です。
「誰一人取り残さない」と誓った目標理念が空虚に感じるほど、多くの矛盾をはらんでいます。
世界が合意したSDGsにあるのは、課題と目標だけです。正しい解釈や答えは我々それぞれの立場から考え、行動することが求められています。
いかに目標達成が困難に思えても、私たちの環境や生活が持続的に発展するために目を向けてください。
「誰ひとり取り残さない」。それは、私たち仙台市産業振興事業団の新たな取り組みでもあります。
皆さまと一緒に、経営課題に取り組み、道を拓き、一緒に持続可能な未来を創って参りたいと思っています。
相談予約は電話またはフォームで承ります。
マーケッター
倉島 史明
商品の販路拡大を応援!全国各地にバイヤーのネットワークを持ち、宮城の商品情報を絶えず発信しています。有名百貨店、高質スーパーなどへの成約実績が多数あり。