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株式会社冨田マテックス|デジタル化推進補助金活用事例#4

仕入業務効率化RPAシステム開発及び導入による生産性向上事業

「冨田マテックスはシリコーン事業、ガスケット・パッキン事業、工業用製品・鉄道部品事業の3つの事業を通して、地域社会の発展に貢献しています」。事業の概要を説明してくれたのは、昨年、会社の代表取締役社長に就任した冨田淳一郎さん。冨田マテックスではさまざまなものづくりに取り組んでおり、東北一の在庫数を誇るガスケット・パッキン事業部や、義手・義足として人肌の柔らかさと強度を有した特殊シリコーン素材を活用するシリコーン事業部など、多様な強みを持っている点が特徴です。

昭和29年、JR東日本の車両部品の代理店販売からスタートし、material(材料)と2つのquality(会社品質と社員品質)をコンセプトに掲げて徐々に事業を展開。今年でついに70周年を迎えます。歴史ある会社に思いを寄せる冨田さんと、社内システムを支える角川さん、経理をサポートする佐藤さんの3人に、今回、仙台市地域企業デジタル化推進補助金を活用し、ITツール「RPA(Robotic Process Automation)」の導入へと踏み切った経緯について、お話を伺いました。

導入ツール・システム

  1. RPAシステム開発及び導入

取り組みの効果

  1. 仕入業務効率化、作業ミスや残業時間の削減
  2. 人手不足の解消
  3. 担当者の精神的負担の軽減
冨田さんは、会社の理念でもある「奉仕・蓄積・向上」の3つの言葉を胸に掲げ、これからも社員と共にお客様の事業を成功へと導くサポートを行っていきたいと話してくれた。

 01  補助金を活用してどのような事業を行いましたか?

商品を受注してから、「仕入発注→売上処理→仕入処理」を行う工程を、これまでは手作業で行ってきましたが、業務を自動化するITツール「RPA」を導入することで、作業時間の大幅なカットに成功しました。 RPAとは、人間があらかじめプログラムした通りの作業手順を、ロボットが処理するシステムです。同じ動作を反復してくれるので、単純作業に非常に適したシステムとなっています。

弊社では近年、業務の効率化を進めるためさまざまな補助金を活用し、社内のIT化に積極的に取り組んでいます。昨年は、宮城県中小企業等デジタル化支援事業補助金を活用し、在庫管理システムを整備。Excel管理からバーコード管理へと移行し、人的コストを大幅にカットすることに成功しました。 日頃から社会保険労務士事務所との連携を大切にしているので、補助金や助成金の情報をよく提供してもらいます。今回の「仙台市地域企業デジタル化推進補助金」ついても詳細を教えてもらい、RPA導入に活用しようと決意。RPAシステムの設計・導入を外部業者に依頼することにしました。

 02  どのような課題があり、補助金を申請しようと思ったのでしょうか?

受注から仕入処理までの作業量が非常に多いため、何十年もの間、ミスや残業が発生するといった課題のほか、支払業務時にはミスを探し出して修正するために時間がかかってしまうといった課題などがありました。特に仕入処理は毎月1500件にものぼる膨大な量で、これを2人の経理職員のみで処理しなければならないため、例えば担当者が休暇を取得するとその分業務が滞ってしまっていたんです。

以前から気にはかけていたのですが、補助金の情報を得たことをきっかけに、働き方改革を決断しました。人間は単調な作業になればなるほどミスをしやすくなりますが、システムはその反対です。弊社の課題を解決する上では、RPAを導入することが最適解ではないかと思いました。

時代が変化していく中で、世の中の働き方も変わりつつあります。一日という限られた時間の中で、いかに効率よく業務に取り組めるか。管理者として、ワークライフバランスの視点とあわせて、新しい試みもどんどん実施していこうと考えています。

左)RPA導入以前は、毎月膨大な仕入処理を手作業でこなしていたため、経理職員が気軽に有給休暇を取得することは難しかった。
右)システムの導入に伴い、作業用PCとスキャナーも導入。簡単な操作で、仕入処理を素早く行えるようになった。

 03  課題を改善する上で、大変だったことについて教えてください。

RPAは初期費用がそれなりにかかりますので、成果が得られなかった場合のことを考えると、なかなか導入に踏み切れずにいたんです。しかし今回、仙台市地域企業デジタル化推進補助金を知ったことをきっかけに、費用対効果も含め、長い目で見ればとてもいい施策なのではないかと感じ、導入を決断することができました。

システムを導入する上で一番大変だったことは、「手作業でこなしていた業務の、どの部分をどのように機械に処理させるか」について考えること。まずはシステム担当者が一から業務フローを洗い出し、機械で作業を行えるかどうか、切り分けを行いました。同時に、経理職員の理解を得られるよう、操作方法について丁寧に説明することも心がけました。

新しいシステムを導入する上で、現場の理解と協力を得ることは必要不可欠です。私自身、はじめてRPAという言葉を聞いた時は、難しそうだという抵抗感がありましたし、どのように機械操作を行えば良いのかという不安もありました。ですがシステム担当者からRPAについて詳しい説明を聞くうちに、簡単な操作で効率よく業務が行えると知り、私も経理職員も、抵抗感が払拭されました。

左)RPAにどのような作業を担ってもらうのか、さまざまな検討を行ったのは、社内システムを担当する角川さん。
右)RPAを導入したことにより、書類をスキャンしてシステムに読み込ませ、簡単なボタン操作を行うだけで仕入処理が行えるようになった。

 04  ITツールの導入によってどのような成果が得られましたか?

RPAを導入したことで従来の作業時間の50%を削減でき、経理職員は空いた時間で他の業務をこなせるようになるなど、時間の有効活用ができるようになりました。毎日30分から1時間程度発生していた残業も解消。担当者が不在の場合も、マニュアルによって他の社員が作業を行えるため、業務の停滞を予防できるようになり、経理職員が気軽に有給休暇を取得できる環境が実現しました。結果、当人から「精神的負担がかなり軽減された」という嬉しい声も聞かれ、社内全体のモチベーションアップにも貢献していると実感しています。

もちろん、RPAは機械ですので、時にはエラーが発生します。エラーの原因について調べるなど、若干の手間を要するケースもありますが、それを加味した上でも、手作業よりもスピーディーに、ミスなく作業が進むので助かっています。まだ使い始めてから2カ月程度ですが、今後、さらなる業務の効率化に期待がもてます。

仕入処理以外の、さまざまな業務を行う余力ができたと、笑顔を見せる経理職員の佐藤さん。

 05  最後に、今後の展開について教えてください。

今回、RPAを導入したことによって、業務の効率化や人手不足の解消、働き方改革と、さまざまな方面で大きな成果を得ることができました。これは長い目で見れば、中小企業の課題の一つである「人材の確保」といった点にも、貢献してくると思います。今後はこのシステムを横展開することで他の業務改善も行い、生産性の向上に生かしていきたいと考えています。

私たちのような中小企業にとって、ITツールは生きる術の一つです。冨田マテックスでは来年から新しい工場を稼働させるなど、今後もさまざまな挑戦をしていく予定でいますが、そのような中において、ITを上手に活用することによって業務の効率化を進め、全ての社員にとって働きやすい環境を作り上げていきたいと考えています。

企業概要

冨田マテックス株式会社

事業内容:卸売業(パッキン・ガスケット等の加工、シリコーン開発、工業用品、鉄道備品等の販売)
https://www.tomimateqs.co.jp/

〒980-0811
宮城県仙台市青葉区一番町1丁目17-26
TEL022-212-1171


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