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テレワークに必要な体制構築・方針策定|コラム #8

  • 人事労務・採用育成

2020.10.18

こんにちは、中小企業診断士・ITコーディネータの高木順です。

これまでIT技術や労務管理など、テレワークにおける主要なテーマを2回にわたりご紹介してきました。テレワーク導入を考えた後は、具体的にどこに注意して導入を進めていけばいいでしょうか?今回は、運用時に留意すべき点や、労務管理とその周辺で決めるべきルール、困ったときは誰に相談すればよいかをお伝えします。

前回のコラム「コロナ対策以外にも?テレワークはじめの一歩」
前々回のコラム「メリットありそうなテレワーク 具体的な導入手順」

セキュリティは大丈夫?

在宅時代の落とし穴国内38社がVPNで不正接続被害
引用:在宅時代の落とし穴 国内38社がVPNで不正接続被害 (日本経済新聞電子版)

世の中にテレワークが広がる中、ショッキングなニュースが報じられました。自宅等から社内に接続する機器(VPNルーター等)のセキュリティパッチを適用していなかったため、ログイン情報が漏洩してしまったというものです。皆さんが利用するパソコンはもとより、ネットワーク機器にも適切な運用が欠かせないことが露わになった事象だったと思います。

日々技術の世界は進歩しています。テレワークにも適切な技術対策と社内の体制構築・方針策定が不可欠です。技術領域ですので、専門家と連携しながら進めることが大切です。
例えば、機器に最新のセキュリティが適用されているかチェックリストを策定し、項目を定期的に見直す機会を設けることで、不正接続を未然に防ぐことができます。また、セキュリティの正しい知識を学ぶ機会をつくり、正しい体制で継続的に対策を行えば、テレワークの実施自体はさほど恐れるものでもありません。

技術面やセキュリティ対策の取り組みを知る

セキュリティ対策が大切だとわかりましたが、いざ社内に導入しようとすると難しく感じることもあります。社内にセキュリティやIT部門を配置できない企業の場合、外部の力やサービスを利用することをお勧めします。

例えば、自社でネットワーク機器を導入しなくとも、外部のVPN接続サービスを利用する手段があります。先ほどのニュースでは、機器を自社で運用したため、メンテナンスを自ら行う必要が生じたわけです。しかし、外部サービスは初期導入コストが低く、ITのスペシャリストが施す対策が伴います。中小企業にとっては、自社運用よりも負担を下げながら、リスクを抑制することが可能になるのです。セキュリティ教育も、外部のe-ラーニングサービスなどを活用すれば、最新のセキュリティ教育を受けることができます。


引用:子ブタと学ぼう!情報セキュリティ対策のキホン(独立行政法人情報処理推進機構)

まだある、テレワークに必要な体制構築・方針策定

テレワーク実施のための体制構築、方針策定で注意すべき点は他にもあります。例えばこのようなものです。

業務効率を高める働き方

個人の作業ルールの策定
各個人の成果を左右する要素として、作業のルールを考える必要があります。作業の進め方は内容や人数によって変わるため、より良い方法を都度考え、改善していきます。また、報告・連絡・相談のルールが生産性を高めます。
成果の定義付けをする
テレワークでは、社内で「何を成果にするのか」を定義付けすることによって、テレワーカーが成果目標を明確にでき、生産性を上げることができます。
チームと個人の生産性のバランスをとる
テレワークで生産性を上げるには、個人が集中できる環境づくりが必要です。しかしそれ以上に、チームのコミュニケーション不足や社内連携のしづらさも課題となっています。最近は朝礼を取り入れる会社もあり、スケジュールの共有、テレビ会議の活用、雑談しやすい環境づくりなど、互いの状況を見やすくすることで生産性向上に繋げます。
テレワークの教育・研修で社内に共有する
テレワーク導入における教育・研修は、社内の全体指針として「なぜ導入するか」を共有することから始まります。何か問題が起きた場合でも、全員が協力して解決する姿勢を養うことができます。
対外的にルールを定める
社内ルールとは別に、コラム#6でお伝えしたとおり、「テレワーク勤務規定」の策定が必要です。働き方や対象労働者を定義し、必要に応じて服務規定やテレワーク利用申請について考えます。諸手当や人事考課についても、明示しておくことが重要です。就業規則として定めておけば、従業員も不安なく就労できますし、適切な労務管理が行えます。

テレワークに必要な就業規則のルール

結局どこに相談すればいいの?

ここまで、セキュリティやIT技術の話、運用ルールや就業規則等、検討の必要がある事項が多方面にわたることをお伝えしました。

IT技術や利用方法はITベンダーが相談に応じてくれますが、セキュリティに関しては、経産省が推奨する資格のITコーディネータ保有者を頼るとよいでしょう。また、就業規則や人事考課等の労働管理は、社会保険労務士に相談すべきです。あるいは、メリットと引き換えとなる投資規模の面で、投資対効果の相談がしたい場合、ITに詳しい中小企業診断士が今後の経営戦略を併せて、共に考えてくれるでしょう。

おわりに

今回は少し専門的な話が多くなり、わからない面もあったかもしれません。仙台市中小企業応援窓口では、先述した有資格者を何人も取り揃えております。ぜひ、「まずは話を聞いてみる」というところから始めてみませんか?お気軽にご相談ください。

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高木 順

中小企業診断士・ITコーディネータ

高木 順

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