「Geisha&Co.」の代表・今野幸治さんは、20年以上の海外生活を経て、2021年に日本へ帰国。海外から見た日本文化の素晴らしさを感じていた彼は、縫製のプロである妹の幸恵さんと共に、着物や帯のアップサイクル事業を立ち上げました。新業態へのチャレンジとあって、ブランディングや販路開拓も手探りのままスタート。そんな時に見かけたSNSがきっかけでオーエンとつながり、専門家の支援も販路も広がっていきました。
オーエン活用のポイント
- 展示会や空港免税店など、国内外の販路開拓を支援
- ブランドの価値や訴求力を高めるリブランディング
- ECサイトの構築や販促ツールの制作をサポート
01 どんな事業を行っていますか?
2022年2月に設立した「Geisha&Co.」(ゲイシャアンドコ)では、着物や帯の生地を使ったバッグやインテリア雑貨を製造・販売しています。2023年1月には新ブランド「obico」(オビコ)をローンチし、ECサイトやセレクトショップでの販売のほか、空港や百貨店などの催事でポップアップストアも展開しています。
代表である私・今野幸治は、26年間海外で暮らし、2021年に日本へ帰国しました。海外生活では改めて世界に誇れる日本文化の素晴らしさや美しさを感じ、その魅力を広く発信しようと立ち上げたのが「Geisha&Co.」です。国内外でSDGsへの関心が高まっていたタイミングでもありましたし、日本では押し入れに眠っている着物や帯が多いと知り、それらを日常に取り込めるような商品にアップサイクルしようと考えました。
商品の製作やデザインを担当しているのは、妹の今野幸恵。長きにわたり縫製や婚礼衣裳に携わってきた経験を生かし、クリエイティブディレクターを務めています。
02 オーエンを利用したきっかけは?
なにげなくインスタグラムを見ていたら、仙台市産業振興事業団が「東京インターナショナル・ギフト・ショー春2022」の出展者を募集していたんです。当時はこの展示会の存在すら知らずにいましたが、応募要件が「SDGsに対応した商品」、しかも参加費が無料だったので、「やってみようかな」くらいの軽い気持ちで申し込みました。
それから応募書類の審査を経て、ギフト・ショー出展へ。イベント当日のサポートだけでなく、事前準備や出展後のフォローアップまで、事業団の経営支援課の皆さんやオーエン在籍のマーケッター・倉島史明さんに支援していただきました。
私はしばらく日本を離れていましたし、海外では飲食業界で働いていたので、バッグや雑貨の製造・販売について相談できる人がいませんでした。しかしギフト・ショーへの出展を機に、オーエンにはさまざまな分野の専門家がいらっしゃると知って。それならこの先もお世話になろうと、新サービスの開発や補助金についてもご相談することにしました。
ギフト・ショー出展などを支援する「首都圏展示会出展による販路開拓支援事業」はこちら
03 どのような支援を受けましたか?
まずはオーエンが実施している「新商品/新サービス開発支援」に応募し、ECサイトの改修とリブランディングに取り組みました。
最初にご相談したのは、新サービスの構想です。着物の帯を使ったバッグをオンラインで販売するにあたって、帯の柄と裏地の色を選べるセミオーダーシステムを構築したいと考えていました。帯と裏地の組み合わせをサイト上で確認できるシミュレーションツールを導入したかったのですが、膨大な費用がかかると他所で聞いたことがあったので、オーエンに相談する前は諦めかけていたんです。しかしWebディレクターの高田次朗さんが低予算で導入できる方法を提案してくださったおかげで、思い描いていた理想を形にすることができました。
このECサイトの立ち上げに伴い、海外での販売も視野に入れたリブランディングを行いました。それまでは「Geisha&Co.」として事業を展開していましたが、ブランド名を「obico」に一新。ECサイトでもブランドイメージや日本の美しさをしっかり伝えられるよう、デザイナーの草野裕樹さんが工夫を凝らしてくれました。
新ブランドobicoをローンチしてからは、販路開拓に力を注ぎました。ギフト・ショーの出展でお世話になった倉島さんに引き続きサポートしていただき、仙台空港の催事や国際線免税店での販売も実現。仙台空港に初出店する際にはプレスリリースや事前準備もフォローしてくださり、特にテレビで取り上げてもらった後は、たくさんのお客様にご来店いただきました。
リブランディングでコンセプトやターゲット層を明確にし、ECサイトや販促物のデザインにも反映。
04 実際に専門家から支援を受けた感想は?
私と妹だけでは成し遂げられないスピードで、ブランディングから販売までさまざまな環境を整えていただきました。相談前は仙台市産業振興事業団という名前からお堅いイメージを抱いていましたが、実際に関わってみるとアットホームな雰囲気。決して上から目線ではなく、「一緒に作っていきましょう」という感じで、こちらの要望なども細かく聞いていただけたのがありがたかったです。
商品開発の大切さはもちろんのこと、その後の販路開拓も重要だと学びました。私にはマーケティングの知識やコネクションがなかったので、倉島さんが手厚く伴走支援してくださったことに感謝しています。仙台の百貨店やセレクトショップをはじめ、インバウンド需要を想定した空港、東京・六本木の日本工芸品店、在日アメリカ関係施設、大阪や川越での販売企画などobicoのターゲット層に沿った販路をご紹介いただいただけでなく、リサーチから現地でのプレゼンテーション、製造課題にいたるまで倉島さんが同行してくれました。些細なことでも相談しやすいので、いつも助けられています。
05 今後、どのようにオーエンを利用していきたいですか?
特にギフト・ショーへの出展は次のステップにつながるものだと実感しているので、またチャンスがあれば挑戦したいと思っています。その他にも条件の合う補助金などがあれば活用していきたいので、これからも末永くご支援いただけたらうれしいです。
そして現在、関東や中部圏の老舗ハンドバッグメーカーさんや雑貨・工芸の作り手さんとも連携を始めているところです。安定した生産量とクオリティーを確保できるようになれば、さらなる販路拡大も期待できます。インバウンドも含めて海外の販路も広げていけるよう、今後もオーエンの皆さんにご相談しながらobicoの価値を高めていきたいと考えています。最初のギフト・ショー参加からオーエンの皆さんにはお世話になりっぱなしなので、私たちも早く成果をあげて「やりましたよ!」とご報告したいです。
マーケッター 倉島 史明
支援担当者からコメント
コロナ禍により26年の海外生活を終え、故郷仙台へ帰る決心。帰って来た日本もコロナ禍の例外にはありません。その厳しい状況下、徒手空拳、兄妹で起業を志した今野さん。そのご縁は私にも強い使命感を与えた印象的なものでした。そしてこの理想実現のため私たちは極めて実践的な工程を共有し、多面的な検証を繰り返し、前年売上比を5.7倍に引き上げるに至りました。これは偏に今野さん兄妹の揺るがない“志”による賜物です。そして次のステップでは更に明確で進化した姿の実現を目指し共に励んでいます。
このようにオーエンはいつでも安心出来、そして心強い“ふるさと”のような存在、そんなで支援機関であり続けたいと思っています。
今回ご紹介した企業
インタビュー・ライティング/三日月エディット 野原 巳香
撮影/渡邉 樹恵子
記事中でご紹介した支援メニュー
首都圏展示会出展による販路開拓支援事業
SDGsをテーマとして首都圏への共同出展の支援等を実施します。「SDGsに取り組んで販路開拓をしたい」「SDGsに対応した商品を開発したのでPRしたい」等の課題をお持ちの皆様は、ぜひ本事業にご参加ください。
新商品/新サービス開発支援
コロナ禍を乗り超え、付加価値の高い新商品またはサービスの開発を行おうとする事業者を対象に、マーケッターやデザイナーなど複数の専門家によるチーム支援を実施します。