御用聞き型企業訪問事業のあゆみ
2003年から始まった仙台発の“敷居の低い”産学官連携事業が、「御用聞き型企業訪問事業」。
地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)と地域企業に精通した公益財団法人仙台市産業振興事業団および仙台市がチームとなって、地域のものづくり企業を訪問、困りごとを聞き、アドバイスなどを行うことで技術課題の解決や新商品開発などの支援を行って参りました。
- 2003年
宮城県知事、仙台市長、東北大学総長、東北経済連合会会長の4者による「産学官連携ラウンドテーブル」が設置され、その場で産学官連携によるさまざまな取り組みが合意されました。その中で、東北大学と仙台市および宮城県との間で人事交流が実施されることになり、東北大学の教授が仙台市非常勤嘱託職員の肩書きで派遣されることとなりました。
- 2004年
先に合意された人事交流に基づき、2004年4月、東北大学から江刺正喜教授、堀切川一男教授、河野雅弘教授が仙台市地域連携フェローに就任。堀切川教授が主導する形で、仙台市地域連携フェロー、仙台市、仙台市産業振興事業団の専門家(ビジネス開発ディレクター)および職員からなる支援チームによる「御用聞き型企業訪問事業」がスタートしました。江刺教授は、かねてより構想されていた微細加工技術を核とした産学官連携事業(現 MEMSパークコンソーシアム)を推進。河野教授は未来科学技術共同研究センターの研究プロジェクトリーダーを務めながら、仙台市地域連携フェローとして産学官連携を実践しました。
地域連携フェロー制度
地域企業の技術力向上、新製品開発の促進などを通じて地域経済の振興を図るため地元の大学教員などを仙台市の非常勤嘱託職員として迎え、産学官連携活動を行う制度。
- 2005年
2005年1月から、仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)がコーディネートする地域企業技術者向けのサロン形式セミナー「寺子屋せんだい」がスタート。2024年3月までに150回以上、さまざまなテーマのセミナーが開催されており、地域中小企業技術者間や支援チームなどとのネットワークの構築、情報交換の場となりました。御用聞き型企業訪問事業や寺子屋せんだいで出会った企業との支援チームにより、技術課題の解決や新商品開発などが行われています。
- JANBO Awards 2005 「地域プラットフォーム大賞」受賞
- 「JANBO新事業創出機関賞」ならびに「JANBO新事業創出支援賞」受賞
- 支援先企業 北日本電線株式会社 「JANBO新事業創出賞」受賞
- 2006年
-
日本立地センターの林聖子主任研究員(現 亜細亜大学教授)が、堀切川教授の中小企業訪問支援を「仙台堀切川モデル」と命名。これにより新しい産学官連携のモデルとして、仙台から全国に発信されるきっかけとなりました。
林聖子「仙台堀切川モデルの成功シナリオに学ぶ産業支援機関の産学連携による地域振興」産学連携学会第4回大会講演予稿集(2006.6)。
東北大学から青木秀之教授が仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に就任しました。
- 2007年
-
商品開発や業務改善を進める企業に対し、大学などの研究機関との連携により専門家を派遣、アドバイスを行う産学連携専門家派遣が本格的にスタート。
- 2008年
-
東北大学から齋藤文良教授、東北学院大学から熊谷正朗准教授、宮城大学から大久長範教授が仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に就任し、4名体制に。
- 2010年
-
「ロボット博士(はかせ)の基礎からのメカトロニクスセミナー」がスタート。仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)の東北学院大学熊谷准教授が講師となり、「仕事帰りの社会人が気軽に立ち寄れるメカトロニクスの技術雑学」を解説するセミナーを開催しました。
- 2011年
-
2011年3月11日14時46分ころ、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東日本大震災が発生。仙台市および宮城県内の被害は甚大で、生活はもちろんのこと、仙台都市圏における企業の影響は計り知れないものがありました。地域経済の回復、さらなる発展には企業活動の復興が喫緊の課題であったため、御用聞き型企業訪問事業震災復興版の取り組みを行いました。
2011年7月からは、震災復興駆け込み寺(企業相談)として、課題を抱えた企業を仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)の研究室で相談対応を行いました。また、共同研究や開発案件に限らず、震災復興のためであれば、その内容を問わず対応を行いました。
寺子屋せんだい(震災復興版)では、講演のテーマを復興支援の内容に絞って実施し、大学などの教員以外の講演を「番外編」として実施しました。また、地域企業向けに、大学教授などの研究室や公的研究機関を訪問するラボツアーを開催しました。
京都市およびNPO法人京都シニアベンチャークラブ連合会、財団法人京都高度技術研究所、京都商工会議所の協力のもと、「東日本大震災復興支援特別企画~手を繋ごう、杜の都と京の都~」を開催しました。このほかにも他都市の産業支援機関などと連携し、販路拡大に向けた取り組みを行いました。
地域中小企業者の優れた製品や震災から復旧・復興しつつある仙台の魅力をアピールすることを目的として、全国の中小企業などが一堂に会するイベント「中小企業総合展2011」に“SENDAI PAVILION”を出展。仙台の優れた新技術を持ったものづくり企業やデザイン活用企業、ICT企業が参加しました。 - 2012年
-
- 震災復興緊急販路開拓助成金制度を展開
東日本大震災による津波浸水被害で販路が減退した仙台地域(特に津波浸水で被害を受けた特定被災区域)の中小企業の販路を回復することを目的とした事業が開始されました。この事業では、全国の産業支援機関、共同実施者などと連携を図りつつ、首都圏などで開催される新製品・新技術を持つ開発指向型のものづくり中小企業を対象とした展示会に出展。仙台地域の中小企業の広域的な新製品・新技術のPRやビジネスマッチングによる取引促進を支援することで、風評被害を払拭し、販路拡大を図りました。
- 震災復興都市間連携販路開拓支援事業をスタート
仙台地域のものづくり企業の販路開拓を目的として、全国の産業支援機関などと連携を図りながら、首都圏および関西圏で開催されるものづくり中小企業を対象とした展示会に出展。仙台地域の中小企業の製品・技術などのプロモーションやビジネスマッチングによる販路開拓を支援しました。
- 宮城・仙台富県チャレンジ応援基金(助成金)がスタート
「富県宮城」の実現に向けた取り組みを加速するため、「地域資源などの活用による創業・新事業展開などに係る事業計画」を広く募集し、優れた案件と認められるものに対して事業経費の助成を行いました。
- 「出張御用聞き型企業訪問in神戸市」「出張御用聞き型企業訪問in川崎市」を実施しました
東北大学齋藤教授、青木教授が新たに設置した仙台市地域連携アドバイザー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に就任しました。
- 震災復興緊急販路開拓助成金制度を展開
- 2013年
-
- 震災復興緊急販路開拓支援事業を引き続き展開
- 復興促進プログラム(マッチング促進)に参画
公益財団法人神戸市産業振興財団、京都リサーチパーク株式会社から大手企業とのマッチング会への企業推薦の依頼を受け、「2012オープンイノベーションマッチング in 神戸」、「KRP-KIRイノベーションマッチング会」、「大企業ニーズ提示型ビジネスマッチング」に参加する企業を推薦しました。
- ものづくり中小企業製品開発・ものづくり中小企業実用化評価補助金
該当補助金の採択、不採択の有無にかかわらず希望する補助申請者に対しては、「御用聞き型企業訪問」など、ほかの産学官連携策と連動した総合的な支援を実施。仙台市とものづくり中小企業製品開発・ものづくり中小企業実用化評価補助金申請書(写し)の提供に関する協定を締結しました。
【ものづくり中小企業製品開発・ものづくり中小企業実用化評価補助金とは】 市内のものづくり中小企業による新製品・新技術の試作開発や、大学や宮城県産業技術総合センターなどの公設試験場と連携した実証評価などを支援することを目的とする補助制度。
- 2014年
-
- 「御用聞き型企業訪問事業10周年記念イベント」を開催
「産学連携フォーラム~震災から立ち上がる地域企業と産学連携~」と題したイベントを開催しました。
仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に宮城大学から鈴木康夫教授、東北工業大学から坂手勇次教授が就任しました。宮城大学の大久教授が仙台市地域連携フェローから仙台市地域連携アドバイザー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に就任しました。
- 「御用聞き型企業訪問事業10周年記念イベント」を開催
- 2015年
-
- 寺子屋せんだいクリニックを開催
ものづくり企業の技術的な発見や開発の支援を行うため、仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)による特別技術相談会「寺子屋せんだいクリニック」を開催しました。
- 寺子屋せんだいクリニックを開催
- 2016年
-
- 中小企業支援機関連携フォーラムを開催
- 2017年
-
仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に宮城大学の毛利哲教授が就任しました。宮城大学の鈴木康夫教授が仙台市地域連携アドバイザー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に就任しました。
- 2018年
産学官連携による企業支援と地域産業の活性化に尽力し、仙台市の産業経済の発展に寄与したことから、仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)の東北大学・堀切川教授が仙台市市政功労者表彰を受けました。
- 2019年
仙台市地域連携フェロー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に東北大学電気通信研究所の荘司弘樹特任教授が就任しました。東北学院大学の鈴木利夫教授が仙台市地域連携アドバイザー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に就任しました。
- 次世代放射光セミナーの開催
次世代放射光施設(ナノテラス)の産業利用可能性を高めるため、次世代放射光施設の概要・産業利用可能性を学ぶセミナーを開催し、利活用促進を図りました。
【次世代放射光施設(ナノテラス)とは】 東北大学青葉山新キャンパス内に建設された次世代放射光施設。施設では、最先端の計測装置を備え、今まで見ることが難しかった、ナノレベルで物質の状態を可視化し、画像として見ることができます。
- 次世代放射光セミナーの開催
- 2022年
東北大学の堀切川教授が仙台市地域連携アドバイザー(現 仙台市地域企業課題解決マイスター)に就任しました。
- 2023年
仙台市地域連携フェロー、仙台市地域連携アドバイザーの皆さまに「仙台市地域企業課題解決マイスター」として就任いただき、ものづくり企業のバックアップ体制を強化しました。