オイル漬け専門店
Norte Carta
「秋田しょっつる仕立て
しいたけタプナード」

2021年8月16日

オイル漬け専門店Norte Cartaは、仙台市産業振興事業団が主催する
「新東北みやげコンテスト」の受賞企業です。
第7回 「秋田しょっつる仕立てしいたけタプナード」アイディア特別賞
※現在商品名は「とろっとうまみ椎茸タプナード」に変更になっております。


写真:規格外のしいたけを有効活用した「しいたけタプナード」。ANA国際線ビジネスクラスの機内食にも採用されている逸品です


秋田県の食べ物といえば、きりたんぽに稲庭うどん、ハタハタにいぶりがっこ…とさまざまなグルメが挙げられますが、実は秋田は生しいたけの出荷量、消費量ともに日本一の「しいたけ天国」でもあるのです。
そんな秋田の知られざる名産品をオイル漬にして全国へと発信しているのが、2018年に八峰町で創業したNorte Carta(ノルテカルタ)。代表の岡本大介さんは「僕が水産系の会社に在籍していたときに、アワビを使ったオイル漬を作ったんです。お客さまからの評判も良かったし、市場を調べるうちに“オイル漬に特化した商品づくり”っておもしろいかも…と思ったんですよ。というのも、これまでは、食材加工のいくつかのバリエーションのひとつとしてオイル漬があって、いわゆるサブ商品的な扱いが多かった。そういうのじゃなくて、“いろんな食材をオイル漬にする”みたいなことをやりたいなと思ったんです。それこそ、ジャム屋さんとか干物屋さんみたいな感じで、オイル漬専門店をつくろう、と。言ってしまった者勝ちだなと、勢いだけでつくってしまったので、スタート時は商材ゼロだったんですけど」と笑います。

オイル漬専門店をつくると決めた岡本さんでしたが、「原材料を調達しようにもできたばかりの個人事業ということで、まぁそれは難しいですよね(笑)。そんな中で、たまたま知り合いのしいたけ農家さんに会ったときに、『規格外のしいたけで食べきれないものは廃棄している』という話を聞いて。それはもったいない!というのでスタートしたのが、うちのしいたけ商品なんです。農家さんにとっても廃棄するものが収入になるし、うちとしても必要な分だけの仕入れで済むので、ありがたかったです」。


写真:菌床しいたけは、八峰町で生産がさかんに行われている特産品のひとつ

ただ、「なぜ秋田でオリーブオイル漬なのか」という明確な理由付けが必要だと感じていたという岡本さん。「調べてみると、『秋田は県民一人当たりの生しいたけの消費量が日本一』だということがわかって。でも、なんで日本一なのかは周りに聞いてもまだ謎なんですけど(笑)」。

さらには「ヨーロッパでは、オイル漬にアンチョビを使用するんですね。アンチョビってずっと寝かせておくと魚醤になるので、魚醤であるしょっつるをオリーブオイル漬に使うことで“秋田でなければならない理由”になりました。


写真:しょっつるの原料となるのは、秋田県の県魚で県民のソウルフードであるハタハタです

こうして2019年4月に、秋田県産のしいたけを使用した3商品「しいたけタプナード」「しいたけオイル漬」「しいたけバーニャカウダ」を販売開始。「3種類出したのは、1種類では怖いと思ったからなんです。使用しているのは親指大の小粒のしいたけなのですが、商品開発担当者と相談して。そのまま使うものと刻んだもの、ペーストにしたものの3種類を開発しました」。

販売開始直後は展示会などでも「なぜ秋田でしいたけなの?」と、なかなか厳しい反応が続いていたそう。そこで岡本さんは「キャッチ―なものがほしいと思って」、「いぶりがっことチーズのオイル漬」を開発し、販売を開始します。すると、世界が一気に変わりました。


写真:経済産業大臣賞を受賞しただけでなく、テレビ番組で紹介されたことでバズった「いぶりがっことチーズのオイル漬」


この商品が経済産業省大臣賞を受賞して販路が一気に広がったことに加え、テレビ番組で芸能人が「おいしい!」と評したことから瞬く間に品切れ状態に。この「いぶりがっことチーズのオイル漬」がきっかけとなり、しいたけ商品も品薄状態が続いています。また、「しいたけタプナード」もANAの国際線ビジネスクラスの機内食に採用されるなど、一気に注目度が高まりました。

写真:代表の岡本さん。今後も秋田の産品を使用したオイル漬をリリースする予定だとか




写真:タプナードとは、フランス語で「ペースト」の意味。そのままトッピングしたり、牛乳や生クリームで伸ばせばソースにもなる優れものです


岡本さんは「ローカルのものって雑誌やウェブで記事にしやすいけど、地元の人が食べているかというと食べていない現実がある。秋田でも秋田以外の場所でも“日常のちょっといい場面”で使ってほしいと思って開発しました」。

写真:カリッと焼いたバゲットに「しいたけタプナード」をトッピング。ホームパーティーで喜ばれそうなパスタの完成


その意図の通り、秋田から東京をはじめとする大都市から販売が開始され、オンラインでの販売も好評だという「しいたけタプナード」。オイル漬、バーニャカウダと並び、しいたけのおいしさを堪能できる逸品として、プロの料理人たちからも高い評価を受けています。

写真:ズッキーニに粉チーズをまぶして焼き、「しいたけタプナード」をトッピング。最後にオリーブオイルを回しかければ、白ワインにぴったりの一品に

写真:シーフードとの相性も◎。リゾットに添えれば、うま味たっぷりのアクセントになりますよ
◆「シーフードリゾット しいたけタプナード添え」のレシピは、Instagramで公開!


「僕は大阪の出身で、だからこそ秋田を俯瞰できる」と自らを評する岡本さん。「秋田はお酒も食べ物もなんでもおいしい。まだまだ埋もれたこの場所のよい食材を使って、商品を開発していきたいと思います。なによりも地元の農家さんに喜んでいただけるのであれば、時間がかかってでも育てていきたいですね」と、未来に目を向けます。

秋田で生まれた、新たな東北の銘品を、ぜひみなさんもお試しあれ。

株式会社ノルテカルタ

所在地 〒018-2664 秋田県山本郡八峰町八森古屋敷18
TEL 0185-57-3444
URL https://www.nortecarta.com/

取材/2021年6月