ムードセンターまつむら
「よいがらす」

2022年8月8日

ムードセンターまつむらは、仙台市産業振興事業団が主催する
第8回 新東北みやげコンテストの受賞企業です。

優秀賞「よいがらす」


宮城が世界に誇る銘酒「浦霞」(株式会社佐浦)。その蔵元である浦霞酒造の酒「寒風沢」と、寒風沢島の砂で作ったグラスをセットにしたのが、「よいがらす」。仕掛け人は、「ムードセンターまつむら」の松村洋さんです。


松村さんは、「このグラスは、秋保のガラス工房『海馬』の村山(耕二)さんに作ってもらったんです。ある時、村山さんの展示があって、立ち話をしていて、『寒風沢島で、佐浦さんがお米を作っているそうなんですけれど、寒風沢島の砂でもガラスって作れるんですかね?』って聞いてみたんですよ。そしたら『できるよ』『じゃあ、やりたいね』って話になって。とはいえ、商品開発って大変な作業だから、とにかく企画書を書いちゃえ、と企画だけ進めました。水と米と人がお酒を造っていること、東北には、お米を自分のところで作っているところもある。それじゃあ、お米を作っている酒造さんならその田んぼの土や砂、水ならその水源の砂を使ったりできればよいな、と思ったんです」。広告代理店出身で、フリーランスになってからもCMディレクターからプランナーまで幅広くこなす松村さんは、日本酒とそのお酒づくりに欠かせない大地で酒器を作り、ひとつの物語を編もうとしたのです。


「こんなアイディアがあって…と、いろいろな人に話をしていたんですよ。そうしたら、『株式会社インアウトバウンド仙台・松島』さんから『やりましょう』と言ってもらえて。僕、もともと塩竈市で観光の仕事をやらせていただいたこともあって、インアウトバウンド仙台・松島さんから『佐浦さんと一緒なら、開発費用も工面しましょう』と。しかも佐浦さんも『ぜひ』と言ってくれて、作れることになったんです」。


その後、海馬の村山さんと一緒に寒風沢島に赴いた松村さん。村山さんは、米を収穫した後の田んぼと砂浜からガラスの原料となる砂を採取し、工房に持ちかえりました。
松村さんは「最初に色を決めたんです。ガラスを溶かすときに、酸化させるか、還元させるかで色が変わるんですね。薄いビール瓶のような茶色と、この緑色っぽい色が出たんですが、すぐに、この色がいいなって思って。緑色と黄色があって、光に透かすとブルーっぽかったりもする。稲穂、植物とか、こっちの色の方がイメージも膨らむな、と思って。地域の景色が浮かんでくるようなものを作れると思いました」。



ニュアンスのある色合いのグラスは、全部で3種類。「鹽竈ザクラ」「稲穂」「海の波紋/浦戸」です。「もともとある吹きガラスには、型があるんですね。吹きながら回転させて捻りを入れるんですけど、村山さんにサンプル集を見せてもらったときに、その場で考えました。花弁のように見えるな、とか。波紋のようにきれいに見えるな、とか。そのイメージを村山さんにお伝えして作ってもらったんですよ」。

もちろん、ガラスはひとつひとつが手作り。「だから全部で30個しか作っていないんです。ありがたいことに、『鹽竈ザクラ』は完売しました。『稲穂』も『海の波紋/浦戸』も売れていて、本当にありがたいかぎりです」。


制作時を思い出して松村さんは「ガラス製品を作ったこともなかったで、色を決めたり、形を決めたり、とにかく決めなきゃいけないのが大変でした」と笑います。
「普段やっている、クライアントさんのいる仕事は、最終的には誰かが決めてくれます。でも、こればっかりは、自分でやらなきゃいけなくて。『これでいいのかな』『こうしたいよね』とか話しながらやっていって、楽しかったです」。


そして「今後は、この形でいろいろな蔵元さんともやってみたいですよね。村山さんが言ってたんですよ。『ケイ素が含まれてる砂なら何でもガラスになる』って。『ガラスって、エコな素材の中でも究極で、何度割れても何回でも溶かして使える。こんなにサスティナブルな素材ってないんだよ』って」。

エコ素材のガラスたちは、これからどんな“ものがたり”を編んでいくのでしょう。



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ムードセンターまつむら

所在地 〒980-0821 仙台市青葉区春日町58阿部重ビル201
TEL 070-6131-3931

取材/2022年6月



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