宮城なつかしごはん
子どものころは好きじゃなかったのに、帰省して久しぶりに食べてみると、なんだかおいしいと思えてしまう。そうしてまた、気がつくと食べたいなあって思っていたりする。土地に伝わる「なつかしごはん」はさまざまあって、思う気持ちもさまざまで。
宮城県にも、あちらこちらになつかしごはんが隠れています。それぞれの地域ごとに他の地域にはない料理が新旧さまざまあるようで、「宮城県の郷土料理は?」とたずねると、「なんだろう???」と首をかしげてしまう人が多いみたい。
これからご紹介する料理、あなたはご存知でしょうか?どれも素材を大切においしく食べようという気持ちが詰まったものばかり。 忙しかったりすると、日々の食事はつい手を抜きがちですが、こういう料理はしっかりと次の世代につないでいきたいと思うのです。
|おくずかけ
とろりとしていかにも体が温まりそうですが、お盆の頃に食べられているれっきとした夏の料理。その証拠に、夏野菜がたっぷり。温かくして食べるのは、比較的夏が涼しい宮城県で体が冷え過ぎないようにという工夫だったのかもしれません。具だくさんの汁の中に必ず入っている麺が大好きだった、という声がよく聞かれます。つるつるとのどごしのよい麺がよく合います。
|油麩丼
精進料理にルーツを持つ油麩は、元々はお盆にだけ食べられていた夏の食材。登米地方を中心に煮物や味噌汁の具として古くから親しまれてきましたが、丼として食べられるようになったのはここ30年くらいのことだといいます。油で揚げた麩の香ばしさと食感、お肉なしでも満足できるボリュームの、おいしく満腹な一品です。
|あざら
こちらは三陸、気仙沼地区周辺のみで受け継がれてきたと言われている一品。材料は、時間が経ってすっぱくなった白菜漬け、目抜けのアラ、酒粕。これらを刻んでグツグツ煮た、見た目によいとは言えない料理ですが、材料どうしが旨みを引き立て合い日本酒にぴったり。つくり手である地元のお母さんたちは「白菜はすっぱいのがいい」と口をそろえます。食べものを無駄にせずおいしく食べきろう、という気持ちが詰まった料理です。
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本場・気仙沼のあざらを味わいたいという方には、斉吉商店さんの「目抜あざら」がおすすめ。わざわざ仙台から気仙沼へこの「目抜あざら」を求めていらっしゃる方もいるのだとか。
※現在、目抜あざらは常時販売は行っておりませんのでご了承ください。
料理教室「紫山のごはん会」主宰
フードクリエイター 佐藤千夏
2002年より創作料理の教室を自宅で開催、素材を活かしたシンプルなレシピとセンスあるテーブルコーディネートが話題に。ほかに商品開発やセミナー講師、料理写真スタイリングなどで活躍中。
HP http://www.mgohankai.info