仙台市地域企業課題解決マイスター

MEISTER#01

熊谷 正朗
Masaaki Kumagai

東北学院大学工学部機械知能工学科 教授
博士(工学)

専門分野
メカトロニクス、ロボット工学

機械工作からソフトウェアまで幅広く提案
かつての工作少年が企業の「つくりたい」を応援します

仙台生まれ、仙台育ちの生粋の仙台っ子である熊谷先生。フェロー就任のきっかけを伺うと、「地域連携フェロー制度が始まって、御用聞き事業が順調になってきた際に東北学院大学にも声がかかり、時の上の先生から『熊谷、お前どうだ?』といわれたのがきっかけでフェローになりました。辞令交付式に行ってみてビックリしたのが、周囲が大先生ばかりだったこと。15年経った今でも若造です」と笑います。

フェローとしての活動については「BDDとして活躍されていた村上(雄一)さんが私の使い道を考えてくれていましたね」と話します。「私の分野は、基本的にロボット、メカトロの開発系です。普通、研究をやるときには原理、理論があって検証できる最低限の実験をしたら論文を書いて次のステージに進むのですが、私が工作少年上がりだったこともあって、つくる方が好きで。工夫すれば性能がまだ上がると思ったら性能を上げる方に走っちゃうんです。実機をつくったり性能をあげたりするのって、手間や時間がかかる割には論文になりにくくて。それで東北大学の研究室から学院に来た時にタガが外れて(笑)。学院の学生さんたちといろんなものをつくっていく中で、大学生として勉強した機械工学と趣味でやっていたソフトや電子回路をさまざまに使う経験が増えていったんです。その結果、メカでも電気でもソフトでも一応話は分かるよ、という立ち位置になったけど、私だから分かるという尖った分野的専門性はない。そこが、私がほかの先生方と違うところで、『こういう解決方法でこの商品が生まれました』とならないのが、御用聞き事業黎明期の私の課題でした」。

そこで熊谷先生が始めたのが「メカトロニクスセミナー」。「世の中の技術系のセミナーは“プロをもっとプロにする”というものが多くて、どうやったらプロの領域に手が届くのかというものはなかった。そこで、まずはメカトロに興味を持ってもらうものを目指しました。受講の要件としては、高校生程度のなんとなくの知識があるということで、セミナーでは数式は最大限使わないようにしました」。

このメカトロ講座は、その後御用聞き事業の一環として、「出前講座」という形に進化します。
「普段やっていることの再確認、再勉強をしたいという使い方もありますし、ある程度大きい会社さんだと隣の部署のことがわからないということもあるので、異なる分野の方々も含めて関係者がまとまって参加するセミナーを行いました。いわゆる人材育成の形でご利用いただいたという感じですね。多い企業さんでは5回以上お邪魔したこともありますよ」。

プロジェクトアドバイザーの立場で企業訪問することもあるという熊谷先生。「企業のエンジニアの方のほうが私よりもプロフェッショナル。私は背中を押すだけです」と謙遜しますが、仙台市の工藤電機株式会社が次世代放射光施設「ナノ・テラス」へ納入した電源装置は、熊谷先生のアドバイスもきっかけになって実現したもの。「だから、ナノテラスには1ナノくらいかかわってるっていってるんです」と笑う熊谷先生。かつての工作少年は、幅広い知識をもって仙台の企業のものづくりのバックアップをしています。

略歴
2000年東北大学大学院工学研究科博士課程後期3年の課程を修了。東北大学助手、東北学院大学工学部講師、助教授、准教授を経て2013年より教授。2008年4月フェロー就任。2009年9月から翌8月まで米カーネギーメロン大学在外研究。

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