仙台市地域企業課題解決マイスター

MEISTER#09

鈴木 利夫
Toshio Suzuki

東北学院大学名誉教授
工学博士

専門分野
内燃機関(熱工学の領域から自動車工学などの分野)

かかわった領域はマイスター随一!?
持てる知識のすべてで地域企業が抱える問題に取り組みます!

東北学院大学名誉教授の鈴木先生の専門は、内燃機関です。「学位論文は伝熱工学なんですよ。その後、エンジンの研究室の助手になって省燃費競技もやってたんです。そこからソーラーカーとか電気自動車もやるようになって。助手についた研究室の先生が亡くなって、その後にお手伝いした先生が微粒化とか燃焼もやられてたこともあって、その研究室の大学院生のお手伝いをするようになって。なんだかいろいろやりすぎて、『専門はなんですか?』って聞かれると、僕もよくわからないんだよね」と、快活に笑います。また、省燃費競技も長く続けてきてたので、高校生、高専学生、大学生が手づくりした自動車で省燃費を競うエコラン大会「手作り自動車省燃費競技大会」(自動車技術会東北支部主催)の開催にも尽力してきました。「もう今は引退してるから、見学に行ってるだけ(笑)」。

御用聞き事業に携わることになったのは、2009年から。渡米する熊谷(正朗)先生に代わり、フェローに就任しました。「熱の専門家は青木(秀之)先生っていう大家がいるんだけど、お忙しいということで僕が入ったんですよ」と話す鈴木先生。印象に残っている案件を伺うと、「いろいろやらせてもらったけど、東洋機械(株式会社)さんは面白かったですね」と話します。これは、同社の路線保守用車ハイブリッド化の試作開発で、従来のディーゼルエンジンによる駆動と電気式モーター駆動の複数の駆動力を持たせることで万が一エンジンが故障した場合でも、他方の駆動力で戻って来ることを可能にするもの。「僕がちょっとお絵描きしたり、シミュレーションをしたり、ちょっとアドバイスしたらみなさん仕事が速くてね。最初の試作でもう動いちゃった。そこからどんどん技術力がついていって、作業効率もうんとあがったみたいで、業務も拡大していってね。もう僕の手には負えないレベルになっちゃった(笑)」。

そのほか、御用聞き事業での成果が人材確保、離職率の低下につながった事例もあります。「作業環境の改善というところで、横江コンクリート(株式会社)さんにお邪魔したんですね。夏の作業現場で気温が上がることが問題となっていて。最初はドライミストを飛ばそうかと思ったんですけど、殺菌していない水をミストにするとレジオネラ菌の問題があるということで、屋根に遮熱塗装を施したんですよ。そうしたら涼しくなって、作業環境がよくなった。コンクリート製造は震災後激務が続いていて人が辞めちゃってたんだけど、横江さんところは『ここはいい』ということで人が入ってきたそうなんですね。しかも後から聞いた話だと、チームで一貫して仕事をするようになって、キツい工程も各チームが均等に担うようになって誰かにだけ負担がいくようなことがなくなったんです」。

今後の御用聞き事業について伺いました。「現場の動画を企業さんに撮っておいてもらって、現状を把握した上で訪問できれば、もっといいかなぁって思うんですよね。そうすれば、もっといろんなところの課題解決ができるかもしれないじゃないですか」。チャーミングな笑顔で、鈴木先生はこれからも地域企業の課題に向き合ってくれることでしょう。

略歴
1981年、東北学院大学大学院工学研究科博士課程後期課程修了。東北学院大学工学部助手、講師、助教授、教授を経て、2021年に同大学名誉教授。2006年自動車技術会フェロー。熱機関(エンジン)や微粒化などの研究の他に、ソーラーカー、ソーラーバイシクルさらに電動カートなどの試作・開発も行う。1998年、国内初の公道を使用して行われた「四国EVラリー」に、東北大学で開発された無線給電システムを搭載したナンバー付車両を製作し参加した。

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