仙台市地域企業課題解決マイスター

MEISTER#07

青木 秀之
Hideyuki Aoki

東北大学大学院工学研究科 教授
工学博士

専門分野
化学工学(流動・伝熱・空調・乾燥等のプロセスに関する 省エネルギーや問題解決)

あらゆるジャンルの産業にアクセスできる化学工学で、 産学連携の第一線に立ち続ける

「高校3年生のときに東北新幹線が開通して、仙台を旅行したんです。それがとても楽しくて『東北大に行こう』と思って。化学が好きだったこともあって、東北大学工学部への進学を決めたんですよ」と話す青木先生。

専門は、化学工学です。「学部4年生の研究室配属のとき、本当は白衣を着て試験管を振るような研究をしたかったんですけど、定員オーバーとなり、収めるためのじゃんけんで負けてしまって。最初はちょっと不貞腐れてたんですけれど、院試を受けるころには面白くなってきて、研究室に残ることにしました。そのまま研究を続けて、学部生のときにはやりたくないと思っていたはずの数学や物理学を使っての燃焼の数値シミュレーションを始めて、どんどんハマっていって。プログラミングを自分でして、現象を解明するという研究を始め、当時の助教授だった私の指導教員である三浦隆利先生が『ドクターに進まないか』と誘ってくださいました。三浦先生は地元の産業界との結びつきを大切になさっていた方で、企業の方が技術相談に来ていました。私も2年目ころからそういう場に同席させていただくようになって、化学工学という学問がいろいろな分野にアクセスできる学問なんだなということを知りました」。

准教授になった青木先生は、これまでの実績もあったことから、2006年6月に堀切川一男先生から「寺子屋せんだい」での講演を依頼されます。「そのときに初めて堀切川先生にお会いしました。講演のタイトルが『だれでもできる産学連携~企業のフットワークと化学工学の融合~』だったので、私の話の内容で御用聞き事業に向いていると判断してくださったのかもしれません。フェローのお誘いをいただき、三浦先生も地元企業への支援は惜しまない方でしたから『やってこい』と。当時は学生と一緒に簡単な実験を行いながら、企業さんの課題についての回答をお示ししていましたね」。

御用聞き事業で印象深かった案件を青木先生に伺いました。「日和電気株式会社さんのエアデザイナーですね。この商品は、入れた空気と同量の空気を排出するという実用新案をもっていたんです。主に飲食店、とくに焼肉屋さんなんかで使われていたのですが、これをもっと大規模な空間、パチンコ屋さんのホールで使いたい、と。それで私も一緒に研究してうまく空気の流れをつくるようにしました。燃焼の研究をしているので、大きな空間で空気がどのような動きをするのかコンピューターでシミュレーションすることができるんです」。汚れた空気を濃度が高いまま排気して少ない空気を入れ込むため、省エネルギーなのも特長です。エアデザイナーは、臭いの問題を解決しただけでなく、50%の省エネ効果を得ることができたそうです。

青木先生に今後御用聞き事業でかかわってみたいことについて伺うと「自社で技術をある程度持っていて、それをさらに高めていきたい、技術はあるのになかなか世の中に出ていけないという会社のお手伝いですね。そういう企業さんがあるとしたら、それは非常にもったいない話ですから」と。若き日から地元企業のサポートを行ってきた青木先生は、これからも産学連携の第一線で活躍します。

略歴
東北大工学部に入学後、大学院に進学。1992年3月に化学工学専攻博士後期課程修了、工学博士。その後、工学部助手に採用、工学研究科准教授を経て2011年4月より教授。学生時代は重質油等の噴霧燃焼のシミュレーションに関する研究に従事。その後、数値計算を援用した各種工業プロセスの現象の解明と効率化に取り組む。

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