仙台市地域企業課題解決マイスター

MEISTER#02

毛利 哲
Satoshi Mori

宮城大学食産業学群フードビジネス学類 教授
農学博士

専門分野
食品科学、食品分析学、食品加工・保蔵学

食品科学・食品分析のチカラで
もっとおいしく、もっと健康に!

食品科学、食品分析学、食品加工・保蔵学を専門としている毛利先生。「高校生のときに、食べ物と化学の関係性って面白いかなと思って。そんなにちゃんと考えて大学に入ったわけじゃないのですが(笑)、農学部の食糧系のところに行って勉強したら面白くて。ある食品学の講義でね、きゅうりとかメロン、いわゆるウリ科の植物のあのさわやかな匂いが油由来だっていうのをきいて『へぇ~!』って思って。それから油脂化学の道に進みました。今は、油はもちろん、食品全般を取り扱っています」。

食品科学とは、どのようなことを指すのでしょうか。「簡単にいうと、食べ物の成分を分析して『こうすればもっとおいしくなる』とか、栄養成分って意外と壊れやすいので『おいしさと健康を両立させるような加工方法はあるのか』というようなことを研究するんです」。

これまで御用聞き事業でかかわった案件で印象に残っていることを伺うと「たくさんあるからなぁ」と笑いつつ、「最近でいうと、それぞれ別案件ですが、イチジクの葉と古代米をお茶にしたときに、その機能性が高いのではないかということで分析をして、成分表示をする、というお手伝いをしました。また、亘理のあられ屋さんで、お餅の日持ちをよくするためのお手伝いをしたり、石巻で未利用のムール貝を出汁にして活用できないかというお話があったり、気仙沼では明太子の日持ちをよくするにはどうしたらいいか…というお話をいただいたり、本当にいろいろやらせていただいていますね」と話してくれました。

これまで多くの実績を残してきた毛利先生ですが、今後かかわってみたいことについて伺いました。

 「パプリカには機能性フラボノイドの一種であるルテオリンが含まれているんですね。しかしながら、パプリカの中に含まれているルテオリンは、そのままでは体内吸収が非常によくない。せっかくの成分なんだから、これをどうすればよく吸収できるか。それには、酸っぱくして加熱することが有効だということがわかった。でも、あんまり酸っぱいと今度は食べてもらえない。じゃあ、どこまで許容してどう加熱していくか…みたいなせめぎあいを今しています。パプリカはひとつの例ですが、こうした機能性フラボノイドにはブルーベリーのアントシアニンや大豆イソフラボンもよく知られています。これらも調理加工法を提案することで、健康機能性を向上させることができるのではないか…と。そういう提案をやっていきたいなぁと思っています」。

毛利先生に食品分析の面白さについて伺うと「これまで勘と経験だった調理の世界を分析していくことによって、もうちょっと体系的に理論的に裏付けることができるのが面白いですよね。特に加工食品として出す場合は味が均一でないといけないですからね」と話してくれました。

毛利先生は食品分析、食品科学という武器を携え、これからも仙台・宮城の食品を「もっとおいしく」「もっと健康に」していってくれるに違いありません。

略歴
1992年3月東北大学大学院農学研究科後期課程修了。宮城県工業技術センター、宮城県産業技術総合センターを経て、2014年4月より宮城大学食産業学群フードビジネス学類准教授。2022年4月同教授。2017年4月フェロー就任。

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